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1 心機一転
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2023年4月某日 午前8時半すぎ
高校卒業後、初めての出勤という事で一時はどうなる事かと思ったが、実際動き始めるとそう身構える程の事でもなかった。
(就活スタートが遅すぎて、高卒の新卒入社志願に間に合わなかったという、 何とも恥ずかしい原因で身分はまだ゛インターン゛のままです)
「ふぁ~~~~………」
6階フロアの給湯室で淹れたてのコーヒーを飲みながら壁にもたれ掛かり、朝から思いっきり大きなアクビの連発
「クスッ――絢音ってば寝不足? あ―― もしかしてぇ~~? 週末は彼氏とラブラブだったとかぁ」
朝からキラキラ笑顔全開の先輩・河野可奈ちゃん。
可奈ちゃんが、みんなのコーヒーにザブザブと砂糖とミルクを入れながら、寝不足の原因を聞いてきた。
それにしても……コピー取りとお茶くみは女子スタッフの仕事、だなんて誰が決めたのよ。
はた迷惑だったらありゃしないわ。
「ラブラブ? まさかぁ~~んなワケないよぉ~~。引っ越し荷物がなかなか片付かなくてねぇ」
そう言いつつまた大アクビ。
「あ、そっか、絢音。いよいよ本格的な同棲始めたんだっけね」
「うん、まぁね」
「いいなぁ~、私も早いとこ女子寮から脱出したいっ」
「―― おっ! おはよ、うさちゃんに可奈ちゃん」
給湯室側に立つ可奈ちゃんと廊下を挟んで壁に寄り掛かる私
その間を安東専務が通過して、奥の男子トイレに入って行った
「「おはようございまーす」」
2人で後ろ姿に挨拶をした。
「チビうさ――――っ! あやねぇー! 居るかぁ――?」
…………この声
三上 勇人(みかみ はやと)さんは。
嵯峨野書房京都本店の各部署をまとめる統括部長さんである。
で、去年、父・絢治が心筋梗塞で倒れたとの知らせを受けた時、ベッドインしていたマッチングアプリで出逢ったという名も知らぬ親切な男性が、実はこの三上勇人なのだ。
会社で顔を合わせた時は、もう……目がテンになるくらい驚いた。
せめてもの救いは彼が本社勤務だって事。
それにこの人、亡くなった母の妹、つまり私から見れば叔母・薫子さんの元旦那さん。
彼と最後に会ったのは2人の息子の有利が3歳の時で今からざっと15年前だったから、おそらく彼も私が元・姪の絢音だとは気付かなかったんだと思う。
……にしたってマジ、こんな偶然は心臓に良くない。
これは後で聞いた事だけど、初めて会ったあのホテルで清水さんからの急報を受け、私を和泉家へ送った事で私が元・姪の絢音だと気が付いたらしい。
「もう……居ますよ、ここに……」
小さい声で返事をする私を横目にクスリ……と小さく笑う可奈ちゃん。
「放っておくと、どんどん声が大きくなりますよ~? アハハ……」
彼女が淹れてくれたコーヒーをトレーにメンバー分乗せ、企画課内へ入って行く。
「おはよ~ございまぁす、統括」
「おぉ、チビうさ、相変わらず今日もちっこいなー」
お言葉ですが、毎日体のサイズが変わったら、即・奇人変人の仲間入りでしょ。
余談だが、この゛チビうさ゛ってあだ名。
私がアニメの『美少女戦士セーラームーン』に出てくるキャラに似てるし、ちっこくて人見知りなうさぎそっくりだからって、本社へ入社挨拶に行った日僕に付けられた。
高校卒業後、初めての出勤という事で一時はどうなる事かと思ったが、実際動き始めるとそう身構える程の事でもなかった。
(就活スタートが遅すぎて、高卒の新卒入社志願に間に合わなかったという、 何とも恥ずかしい原因で身分はまだ゛インターン゛のままです)
「ふぁ~~~~………」
6階フロアの給湯室で淹れたてのコーヒーを飲みながら壁にもたれ掛かり、朝から思いっきり大きなアクビの連発
「クスッ――絢音ってば寝不足? あ―― もしかしてぇ~~? 週末は彼氏とラブラブだったとかぁ」
朝からキラキラ笑顔全開の先輩・河野可奈ちゃん。
可奈ちゃんが、みんなのコーヒーにザブザブと砂糖とミルクを入れながら、寝不足の原因を聞いてきた。
それにしても……コピー取りとお茶くみは女子スタッフの仕事、だなんて誰が決めたのよ。
はた迷惑だったらありゃしないわ。
「ラブラブ? まさかぁ~~んなワケないよぉ~~。引っ越し荷物がなかなか片付かなくてねぇ」
そう言いつつまた大アクビ。
「あ、そっか、絢音。いよいよ本格的な同棲始めたんだっけね」
「うん、まぁね」
「いいなぁ~、私も早いとこ女子寮から脱出したいっ」
「―― おっ! おはよ、うさちゃんに可奈ちゃん」
給湯室側に立つ可奈ちゃんと廊下を挟んで壁に寄り掛かる私
その間を安東専務が通過して、奥の男子トイレに入って行った
「「おはようございまーす」」
2人で後ろ姿に挨拶をした。
「チビうさ――――っ! あやねぇー! 居るかぁ――?」
…………この声
三上 勇人(みかみ はやと)さんは。
嵯峨野書房京都本店の各部署をまとめる統括部長さんである。
で、去年、父・絢治が心筋梗塞で倒れたとの知らせを受けた時、ベッドインしていたマッチングアプリで出逢ったという名も知らぬ親切な男性が、実はこの三上勇人なのだ。
会社で顔を合わせた時は、もう……目がテンになるくらい驚いた。
せめてもの救いは彼が本社勤務だって事。
それにこの人、亡くなった母の妹、つまり私から見れば叔母・薫子さんの元旦那さん。
彼と最後に会ったのは2人の息子の有利が3歳の時で今からざっと15年前だったから、おそらく彼も私が元・姪の絢音だとは気付かなかったんだと思う。
……にしたってマジ、こんな偶然は心臓に良くない。
これは後で聞いた事だけど、初めて会ったあのホテルで清水さんからの急報を受け、私を和泉家へ送った事で私が元・姪の絢音だと気が付いたらしい。
「もう……居ますよ、ここに……」
小さい声で返事をする私を横目にクスリ……と小さく笑う可奈ちゃん。
「放っておくと、どんどん声が大きくなりますよ~? アハハ……」
彼女が淹れてくれたコーヒーをトレーにメンバー分乗せ、企画課内へ入って行く。
「おはよ~ございまぁす、統括」
「おぉ、チビうさ、相変わらず今日もちっこいなー」
お言葉ですが、毎日体のサイズが変わったら、即・奇人変人の仲間入りでしょ。
余談だが、この゛チビうさ゛ってあだ名。
私がアニメの『美少女戦士セーラームーン』に出てくるキャラに似てるし、ちっこくて人見知りなうさぎそっくりだからって、本社へ入社挨拶に行った日僕に付けられた。
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