『ギブ・アンド・テイク(Give and take)』

NADIA 川上

文字の大きさ
35 / 83

34 認めたくないけど、私は彼に惹かれ始めてる?

しおりを挟む

 あれから ――。
 
 会社の応接室を後にして、一体どうやって自分のマンションへ戻って来たのか?

 よく覚えていない。

 それだけ、三上さんとの口付けは鮮烈で衝撃的で……カウントダウンに行けなかったお詫びがてら遊びに来た利沙が電気を点けてくれるまでカウチソファーで呆然と座っていたんだ。


「どうしたの? 何かあった?」


 って聞かれ。


「別に何もないよ」


 なんて、答えても。

 この時の私の様子は誰が見ても普通じゃなくて、何かあったのは一目瞭然。

 長い付き合いの親友には最初からバレバレで……。

 私は利沙が淹れてくれたホットココアを飲みながら、今日会社で何があったかを

 ポツリポツリと話し始めた。


「……私この前フィガロで彼と鉢合わせた時も思ったんやけどさ……三上さん、絢音の事、本当に好きなんやない?」

「ご冗談をっ。茶化されてるだけ。ちょうどいい暇つぶしの道具やて、遊ばれてるだけやし」

「せやけど、何の興味もない女の事、わざわざ休みの日に普通呼びつけたりするかしら」

「さぁね、最初から彼は普通じゃなかったし、やる事なす事大体規格外だから」


 利沙には曖昧にそう言ってごまかしたけど。
   
 夜、床に就いても、応接室でじっと覗き込まれた時の三上さんの強い視線が脳裏にちらついて。

 ほんの一瞬触れただけのあいつの唇の感触がはっきり残っていて。 
 なかなか寝付けず、ものの見事に寝不足で寝坊。

 今日は休日出勤で日比谷支店のブックカフェ勤務です。

 年末のお休みで行楽地へ向かう人々で超満員の電車に揺られ、遅刻一歩手前でタイムカードを押す事が出来た。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

処理中です...