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☆ 秘密
しおりを挟む「あっ」
綱吉は手嶌の胸に倒れこんだ。
「ご、ごめ……」
酔っているせいか?
手嶌の綱吉を見る視線が熱を帯びる。
(せんせ……様子、へん?)
綱吉はまだ握る手嶌の手を払いのけようと
する……が、ぎゅっとより強く握られた。
「いたっ 痛いってれい……」
背中に手が回されきつく抱き寄せられる。
そしてベッドにクルっと逆転し、
手嶌が覆い被さった。
「ち、ちょっと、センセっ」
「チッ ―― 今さら、先生、かよ……」
「んっ、やだっ」
噛みつくようなキス ――
「せ、先生って―― んんっ」
(あ……だめだ。頭、ジンジンする……)
お酒と煙草の匂いがまた綱吉をより麻痺
させていく。
手嶌の手が馴れた手つきで綱吉の
パジャマのボタンを外ずした。
少し抵抗をするが、綱吉のピンクの突起を
手嶌の指の腹で転がされるとピクンっと
反応した。
「や、センセ……」
チュッっとその部分をついばまれる。
「んっ ――」
ピチャピチャといやらしい音が響き、
ジンジンする快感に綱吉はプルプルと
体を震わせた。
(あの時は勢いで”好きだ”なんて言っちゃった
けど、まさかあなたがうちのがっこの先生に
なるなんて思ってもいなくて……)
「だめ、せんせ止めて」
「もう少しだけこのまま……」
「え……?」
「このままで」
耳元で囁く。
「てしま――せんせ?」
「お前をこうして抱いてると、何だかな、俺の内面が
浄化される気がする」
「……」
「嫌なこと……忘れられる気がするから」
(歓迎会、行ってたんじゃないの?
何かあったのか?)
聞けないまま手嶌の再び動き出す舌の感触に
綱吉は両手で口を塞ぎ、漏れてしまう声を
ぐっと我慢した。
するとふと手嶌が動かなくなる。
「……れ?」
ZZZ……
手嶌は綱吉に抱きついたまま眠っていた。
「寝てる……よ」
綱吉はそのままハァ――っと
溜息をつきおでこに手をあてた。
なんだか気がぬけたというか、
ほっとしたというか……
手嶌の安心しきって眠っている顔を見て
綱吉はフッと微笑んだ。
「意外に手のかかる小父さんだ」
そう言って胸に抱きついて離れない手嶌の髪を
やんわりと優しく撫でた。
*** *** ***
「……あれ?」
手嶌はガバっと布団から起き上がる。
と、同時に二日酔いの酷い片頭痛にいきなり
襲われた。
「―― っつ。いってぇ」
(オレ、1人でここまでこれたのか?)
「……法要の席は早々にお暇して、そのままヒデと
フィガロに雪崩込んで浴びるほど飲まされてぇ……
なんとか自力で……あれ~……自力で帰れたん
だっけ?」
そこからの記憶が……ない。
「うむむむ……」
階段を降りて食堂に行くと、いつもは朝早い
綱吉が1人で朝食を摂っていた。
「……よぉ」
声をかけると綱吉は少し赤い顔で
「おはよ」と言った。
今日のメニューはコーヒー・サラダ、
ピザトースト。
「食べられそう?」
「え?」
「昨夜は随分飲んでたようだけど」
「えっ! なんで知ってるんだ?」
「昨日のこと……覚えてないの?」
「……実は全然。ははは。俺なんかお前に
迷惑かけた……かな?」
綱吉は溜息をつき胃薬とお水をテーブルに置く。
「別になにも。ただお酒臭いから飲んだなって
思っただけ」
「ははは。そんなに臭うか? 」
手嶌は自分の手にハーっと息をふきかけ、
クンクン自分の吐いた息を嗅ぐ。
「二日酔いだからって仕事、サボっちゃだめだよ。
じゃ、俺先にいくから」
「ええー。待っててくんねぇのかよ」
「誰が待つか、バーカ」
(人にあんな事、したくせに)
まぁ、でも覚えてなくてよかったかもなぁ。
昨日のことは俺の中だけの秘密だ。
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