溺愛! ダーリン

NADIA 川上

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予期せぬ発情

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 秋の長雨もようやく収まり、
 凍えるような木枯らしの到来と ――
 進路希望票の提出を急かされている今日この頃……、

 マモとクニ以外、まだ卒業後の進路は決めて
 いなかった。

 綱吉・柾也・あつしは高校 ―― いや、中学からの
 5年間を通し特に熱中出来る事なんかなかったから。

 高校も2年の2学期後半に突入し、諸先輩方が
 受験 or 就活一色になっていくのを、
 どこか醒めた目で見過ごしていた。




 外履きのスニーカーに履き替え、
 昇降口から出たところで ――
 
 『ツナ』と声がかかった。
 
 声の方に振り向くと階段を一段抜かしで
 柾也が降りて来た。
 
 
「これから何か用事あるか?」

「別にないけど」

「じゃさ、おふくろと親父の結婚記念日のプレゼント
 買うの付き合ってよ。お礼に何か奢る」
 
「オッケー」


 そう言えば柾也と出かけるのは久しぶりだ。  


 
 新宿から山手線に揺られること10分少々。

 渋谷に到着。
 目的のプレゼントはお揃いの腕時計を買った。
 ついでに洋服が見たいって綱吉が言い。
 2人は公園通りから代々木公園へ抜け、
 原宿・竹下通りへ。
 
 ちょうど今の時期、修学旅行シーズンたけなわ、
 という事で。
 ひと目でそうとわかる学生達でけっこう混雑して
 いる。

 その他カップルや家族連れを横目に、
 とりあえず飯という話になる。


「何食べるー?」


 柾也に聞かれ、綱吉は黙り込んでしまう。 

 めったに外出しないので、
 何を食べたいかと聞かれると正直悩む。

 ここ竹下通りには若者向けの洋服屋とか
 雑貨屋の他にも気軽に立ち食い出来るような
 軽食スタンドからチープな飲食店まで林立しており、
 目移りしてしまう。

 
 慣れない人ごみにめまいを覚える。

 ぐらりと視界が歪み、
 綱吉は隣りに立つ柾也の腕を掴む。


「ツナ?」


 心配気な彼の声に、頭を振って大丈夫と答える。


「本当に? お前、めっちゃ顔色悪いぞ」


 腰を抱かれ、顔を覗き込まれた時、
 身体の奥底で何かが膨らんでいくのを感じた。


「つな?」


 アルファの匂いが鼻孔をくすぐり、
 綱吉は自分を抱きかかえる人物を見上げた。

 欲しい。
 目の前にいるこのアルファが。

 身体の奥底から広がったこの熱を、
 アルファなら解放してくれるはずだ。
  
 ――と、本能的に感じた。


「お前……もしかして」


 辺りのざわつきが遠くに聞こえる。


「とりあえず、ここはまずいから移動するぞ」


 その言葉の直後、あたりの風景が歪む。
 

「しっかりしろ」

「ご、めん、めーわく、かけて……」
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