溺愛! ダーリン

NADIA 川上

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覆水盆に返らず

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 どれ程快楽の海に沈んでいたのだろうか。

 気がつくと、身体の節々が痛くて仕方なかった。

 久しぶりにゆっくり眠れたらしく、
 頭は大分クリアになっていた。

 空いたカーテンから差し込む日の光が
 眩しくて仕方ない。

 時計をみると、午前7時を指していた。


 結局、柾也にはあの日1日抱き倒され。

 自分の寮室へ戻って行く途中、
 東から昇った朝日がエントランスホール
 明るく照らし始めていた。



「―― 朝だよ!! ツナくん」

「ん……あと10、分……だけ……」

「だーめっ! いっつもそんなこと言って
 時間通り起きた試しないじゃん」


 朝っぱらに煩いの何のって……
 こいつはルームメイト、帰国子女で
 俺と同じく9月に編入した安倍 めぐみ
 
 
「う~ん……じゃ、あと ――」

「今すぐ起きないと今朝は朝ごはんなしだよ? 
 あーぁ、せっかくツナくんの大好きな特製中華粥
 作ったのになぁ……」


 寮にも食堂はあるが、寮室にも簡素なキッチンが
 付いており、寮の賄い食か自炊かは入寮生個人の
 裁量に任されている。

  
「あ”ーーっ。ったく、起きればいいんだろ。
 起きれば」

「……ツナくん。昨夜はまた河本先生のとこに
 行ってたの?」
 
「ううん、昨夜は別口」


 スリリングさが堪らない、と言い、
 いつも施錠なしで関係を迫る河本が拒み切れず、
 美術室でイタしていたのを、このめぐみに
 目撃されたことがある。
 
 以来、めぐみには全て打ち明け
 消灯時の点呼や教室で出席を取る時など
 協力して貰ってる。

 美術講師の河本、妻子持ちの40男。
 
 お互い ”遊び” と、割り切っているから、
 続いてきた、そんな関係。
 

「停学が明けたばかりなのに、そんなんでいいの?」


 めぐみは塾も一緒だから仲がよく、
 自分の後ろ暗い過去を知っても離れていかなかった
 数少ない友である


「へへ ―― 俺って案外流され易かったみたい」

「笑い事じゃないでしょ」


 まだ何か言いたそうなめぐみに


「着替えてから行く」


 と、言葉を遮る。
 めぐみは”しょうがないなぁ”といった感じで
 軽くため息をついて。


「そ、じゃ早く来てね。」


 めぐみが心配顔で私室を後にしたのを見て、
 制服に着替えて顔を洗い、LDKに行くと
 めぐみは既に朝食をテーブルに並べていた。


「何か手伝う?」

「んじゃ、玉子スープ、器に入れてくれる?」

「了解」


 基本的に2人は朝は自炊する。
  
 昼は学食で、2学期になってから夜は自分で
 何とかする事に決めた。
 (実はめぐみもオメガだ。中3の時学祭で偶然 
  ”魂の番”が見つかった。故に、
  夜はそのパートナーと夕食を摂る)

 もっぱら調理担当はめぐみ。

 手先が超器用で料理もプロ並みな腕前なのだ。

 綱吉はめぐみから言われた通り、
 スープを器に入れテーブルに置いた


「―― さ、食べよっか」

「うん」


 2人向い合ってダイニングテーブルにつき、


「「いっただきまぁす!」」


 手を合わせて食べ始める。

 朝食を済まして食器を洗い寮を出て登校。

 めぐみとはクラスが違うため昇降口で別れる。
 この学校は第2の性に関係なく、
 成績優秀なれば”特進クラス”と呼ばれている
 S組へも入れる。

 大企業の社長令息や令嬢・大物政治家の御曹司
 等が多く在籍する為、S組は家柄重視だが。

 綱吉のように全校生徒の2割にも満たない割合
 なれど、全額給付型の奨学金を受けている生徒は
 無条件で入る事が出来る。


 教室に入り自分の席に座って、
 もう”愛読書”と化してしまった、星蘭大学医学部
 受験用の赤本を開く。

 土曜の午後に発情して以来、2夜続けで抱かれて
 いたせいか、発情の影響はかなり薄れてはいたが、
 今日は念の為に単位がぎりぎりの化学と古文の
 授業だけを受けて、早退するつもりだったけど……。
 
 キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン ――――
 
 何となーく座ってるうち、既に4時限目が終わった。
 
 
 でも昼休み明けの5時限目は通称”イヤミ”こと
 速水の数学。
 別に数学は嫌いじゃないが、担当教師がとにかく
 大の苦手だ。って事で ――
 
 たまり場にしている第二倉庫・通称”二倉”へ
 直行しダベっていた。
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