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今、そこに迫る危機
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山城清吉という男は見た目スマートで紳士的だが、
ひと皮剥けば真正のサディスト。
綱吉のような清潔かつ世間知らずなお坊っちゃんを、
主食としている男だった。
(あのバカ何処にいる……?)
綱吉は2~3軒先の店と店の間の路地に
引きずりこまれていた。
本性を表した山城が綱吉の手をねじり上げ
壁に体を押し付ける。
「ちょっ、な、なにを ――」
綱吉は腕の軋む音に顔を歪めた。
「久々の上玉を早々逃がすかよっ! 可愛い顔して、
結構淫乱そうだねぇ~、キミ」
綱吉の股間をもう一方の手で鷲掴む。
「やだぁっ!!」
「俺と楽しもうぜ」
乱暴に揉みあげられる。
「痛いっ! や……止めてっ!」
自分のネクタイを外し後ろ手に縛られる。
青くなる綱吉。
「お金ならコートの内ポケットに入ってるし。
それ全部持ってきなよ」
「金なんかいらない。欲しいのはキミのか・ら・だ」
青くなる綱吉にさらにゾクゾクする男。
顔を背けた綱吉の顎をぐいっと持ち上げ
その唇に激しくキスをする。
「うっ ―― やっ (きもちわる)……っ」
きつく唇を吸いながらすでに固くなった股間を
綱吉の太ももに押し付けた。
そこへ、やっと手嶌が到着。
「なぁ、山城。悪いけどそいつまだ俺のなんだわ。
勘弁してよ」
「え~っ、マジかよ?」
「大マジ。今度キレイどこ紹介するからさ。ね?」
「ちぇっ。久々の上玉だったのによ」
そう言って綱吉の顎から手を放し男は去って
行った。
ハァ……と、綱吉は溜息をつくとフラッと
座り込む。
「だから言わんこっちゃない……立てるか?」
「あ ―― えっと……」
手嶌は綱吉の返答を待たず、
綱吉を抱きかかえて歩き出す。
「あ、コレ、チョー恥ずい……」
「しっかり捕まってろ。振るい落とすぞ」
そう言われ、仕方なく綱吉は手嶌の肩口に
しがみついた。
*** *** ***
この界隈では知らぬ者がいない程の人気者・
手嶌竜二が、ちんちくりんの綱吉をお姫様抱っこ
して通りを悠然と進んでゆく様に、
人々は皆、驚きと羨望の入り混じった視線を注ぐ。
「あ、あの……も、歩けそうだから降ろして、
頂けますー?」
「ついでだから家まで送ってやる」
と、停車中の愛車の助手席へ綱吉を座らせ、
自分は運転席へ。
***** ***** *****
―― 数十分後
手嶌が運転する車は今泉家へ無事到着した。
しかし、少し酔いの冷めた綱吉は未だ
ご機嫌ナナメで……小声でぶつくさ文句を言う。
「って、ホントに自宅かよ? 信じらんねぇ。
今日はバレンタイン、なのに……」
「ん? どしたー?」
「……何でもない。おやすみ」
急にぐぐっと涙がこみ上げてきて、
それを悟らせまいと、車外へ出て足早に
玄関へ向かう。
車内に残った手嶌は、しばらく綱吉の後ろ姿を
目で追い、何やらとても複雑な表情。
玄関に着いた綱吉だが、その場に立ち尽くし
中へ入ろうとしない事に、”??”と
眉をひそめ、自分も車外へ出て綱吉の元へ急いだ。
カツ カツ カツ カツ ――
足早にやってきた手嶌を見て綱吉は、
慌てて涙を拭った。
「な、何だよー」
「いや、気分でも悪くなったのか、と思って……」
綱吉は何やら口の中でゴニョゴニョと呟くように
言ったが、手嶌には聞き取る事が出来なかった。
「あー? 何だって?」
「だーかーらー……(急に気弱そうな小声に)家の
カギ、落としたみたい……」
「!!―― しょうがないから誰か起こせよ」
「父さん達は温泉、純弥は合宿、タキさんも休み
取ってて……*日まで俺だけなんだ」
「って、なんでそんな時うちの鍵無くすかなぁ……」
「もうっ、自分で何とかするから、手嶌は帰って
いいよ」
「夜中の12時だぞ。こんな時間に何とかなるワケ
ねぇだろ」
「なんなかったら、友達んちとかネカフェだって
あるし。とにかく俺がどうなろうと手嶌には
カンケーないから」
と、綱吉は手嶌の脇をすり抜け通リの方へ行こうと
するが、手嶌は綱吉の腕を掴んだ。
「離せよ」
「嫌だ。気が変わった。今夜は俺のうちに泊まれ」
そう言って、問答無用で綱吉を引っ張り、
車へ戻る。
「俺も嫌だ。あんたの家に泊まるくらいなら
野宿した方がマシ」
(ばかバカ、俺の大馬鹿!
せっかく誘ってくれたのに ――っ)
素直になれない綱吉が手嶌の手を振りほどいた時、
遙か頭上からふわふわした淡雪が……
綱吉は頭上を見上げ呆然と呟いた。
「う、そ、だろ……」
そんな綱吉を尻目に手嶌は運転席に戻って、
「本降りになると積もるぞ。どうするー?
雪のナカ野宿決行するかぁ?」
「……」
ひと皮剥けば真正のサディスト。
綱吉のような清潔かつ世間知らずなお坊っちゃんを、
主食としている男だった。
(あのバカ何処にいる……?)
綱吉は2~3軒先の店と店の間の路地に
引きずりこまれていた。
本性を表した山城が綱吉の手をねじり上げ
壁に体を押し付ける。
「ちょっ、な、なにを ――」
綱吉は腕の軋む音に顔を歪めた。
「久々の上玉を早々逃がすかよっ! 可愛い顔して、
結構淫乱そうだねぇ~、キミ」
綱吉の股間をもう一方の手で鷲掴む。
「やだぁっ!!」
「俺と楽しもうぜ」
乱暴に揉みあげられる。
「痛いっ! や……止めてっ!」
自分のネクタイを外し後ろ手に縛られる。
青くなる綱吉。
「お金ならコートの内ポケットに入ってるし。
それ全部持ってきなよ」
「金なんかいらない。欲しいのはキミのか・ら・だ」
青くなる綱吉にさらにゾクゾクする男。
顔を背けた綱吉の顎をぐいっと持ち上げ
その唇に激しくキスをする。
「うっ ―― やっ (きもちわる)……っ」
きつく唇を吸いながらすでに固くなった股間を
綱吉の太ももに押し付けた。
そこへ、やっと手嶌が到着。
「なぁ、山城。悪いけどそいつまだ俺のなんだわ。
勘弁してよ」
「え~っ、マジかよ?」
「大マジ。今度キレイどこ紹介するからさ。ね?」
「ちぇっ。久々の上玉だったのによ」
そう言って綱吉の顎から手を放し男は去って
行った。
ハァ……と、綱吉は溜息をつくとフラッと
座り込む。
「だから言わんこっちゃない……立てるか?」
「あ ―― えっと……」
手嶌は綱吉の返答を待たず、
綱吉を抱きかかえて歩き出す。
「あ、コレ、チョー恥ずい……」
「しっかり捕まってろ。振るい落とすぞ」
そう言われ、仕方なく綱吉は手嶌の肩口に
しがみついた。
*** *** ***
この界隈では知らぬ者がいない程の人気者・
手嶌竜二が、ちんちくりんの綱吉をお姫様抱っこ
して通りを悠然と進んでゆく様に、
人々は皆、驚きと羨望の入り混じった視線を注ぐ。
「あ、あの……も、歩けそうだから降ろして、
頂けますー?」
「ついでだから家まで送ってやる」
と、停車中の愛車の助手席へ綱吉を座らせ、
自分は運転席へ。
***** ***** *****
―― 数十分後
手嶌が運転する車は今泉家へ無事到着した。
しかし、少し酔いの冷めた綱吉は未だ
ご機嫌ナナメで……小声でぶつくさ文句を言う。
「って、ホントに自宅かよ? 信じらんねぇ。
今日はバレンタイン、なのに……」
「ん? どしたー?」
「……何でもない。おやすみ」
急にぐぐっと涙がこみ上げてきて、
それを悟らせまいと、車外へ出て足早に
玄関へ向かう。
車内に残った手嶌は、しばらく綱吉の後ろ姿を
目で追い、何やらとても複雑な表情。
玄関に着いた綱吉だが、その場に立ち尽くし
中へ入ろうとしない事に、”??”と
眉をひそめ、自分も車外へ出て綱吉の元へ急いだ。
カツ カツ カツ カツ ――
足早にやってきた手嶌を見て綱吉は、
慌てて涙を拭った。
「な、何だよー」
「いや、気分でも悪くなったのか、と思って……」
綱吉は何やら口の中でゴニョゴニョと呟くように
言ったが、手嶌には聞き取る事が出来なかった。
「あー? 何だって?」
「だーかーらー……(急に気弱そうな小声に)家の
カギ、落としたみたい……」
「!!―― しょうがないから誰か起こせよ」
「父さん達は温泉、純弥は合宿、タキさんも休み
取ってて……*日まで俺だけなんだ」
「って、なんでそんな時うちの鍵無くすかなぁ……」
「もうっ、自分で何とかするから、手嶌は帰って
いいよ」
「夜中の12時だぞ。こんな時間に何とかなるワケ
ねぇだろ」
「なんなかったら、友達んちとかネカフェだって
あるし。とにかく俺がどうなろうと手嶌には
カンケーないから」
と、綱吉は手嶌の脇をすり抜け通リの方へ行こうと
するが、手嶌は綱吉の腕を掴んだ。
「離せよ」
「嫌だ。気が変わった。今夜は俺のうちに泊まれ」
そう言って、問答無用で綱吉を引っ張り、
車へ戻る。
「俺も嫌だ。あんたの家に泊まるくらいなら
野宿した方がマシ」
(ばかバカ、俺の大馬鹿!
せっかく誘ってくれたのに ――っ)
素直になれない綱吉が手嶌の手を振りほどいた時、
遙か頭上からふわふわした淡雪が……
綱吉は頭上を見上げ呆然と呟いた。
「う、そ、だろ……」
そんな綱吉を尻目に手嶌は運転席に戻って、
「本降りになると積もるぞ。どうするー?
雪のナカ野宿決行するかぁ?」
「……」
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