溺愛! ダーリン

NADIA 川上

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嫉妬

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 同じ日の夜 ――、 
 新宿2丁目クラブ『コミットプレイス』

 今宵はサタデーナイトスペシャル!


 学校じゃ”ダサ男”とあだ名されるほど、冴えない
 中年オヤジを装っている手嶌もここでは素に還って
 四方をイケメンに囲まれ、超ハイ(アゲアゲ)な
 気分で踊っている。

 人はそんな彼を ”2丁目の種馬”と呼ぶ。


 綱吉も合コンからの流れでメンバー達と
 一緒に来ていて、そんな手嶌を仏頂面で見ながら、
 ドリンクカウンターにもたれコーク・ハイを
 チビチビ飲んでいた。


 『―― その気があったら2丁目へおいで? 
  たいてい俺は《コミットプレイス》って
  クラブにいる』
   
   
 ま ―― あんな社交辞令にホイホイ乗って
 来ちゃった俺も、俺だけど……にしたって!

 あんな気のあるような言葉で人を誘っといて、
 自分はキレイどこに囲まれいい気なもんだな?!

 それに、俺と一緒の時よりめっちゃ楽し気な手嶌にも
 超ムカつく。
  
 何気に自分は蔑ろにされているようで、
 綱吉はかなりヘソを曲げていた。


 その時 ―― 『ハ~イ』と、声をかけてきたのは
 隣に座ったブロンド短髪・チビT・マイクロミニの
 ニューハーフ。


「ハ~イ、ごきげんよう。良かったら、何か奢らせて
 くれない?」

「ありがと、じゃ、バドワイザーを」


 そこへ、バーテンダーのアルバイト中の柾也が
 邪魔に入った。


「あー、ごめんよ、ミンキーちゃん、こいつまだ未成年
 なんだ」

「あらそう、ざ~んねん」

「チッ。てめぇだってガキの癖して」

「将来有望な特待生が、こんなとこで夜更かしなんか
 してていいの?」
 
「お説教はうんざり。何なら、柾也が今夜の相手
 してくれる?」
 
「じょーだんは止めてくれ。手嶌と沙奈ちゃんに
 殺される」
  
「……いいねぇ、皆んな幸せそうで……」


 妙に実感がこもった、そんな綱吉の言葉に
 柾也はちょっと眉をひそめ。
  
  
「んっと、素直じゃねぇんだから……」

「なにがぁ」

「んな、ぐだぐだ悩んでんなら、思い切って告って
 見たらいいじゃん」

「告る? 誰が誰によ」

「あのな……」

「人がこんな思いしてるってのに……


 と、ダンスフロアで踊る手嶌に目を戻し、
  

「なんであいつらはあんなに楽しそうなん?? 
 めっちゃムカつくっ!」
 
「アハ、ハハハ……(八つ当たりか)」   
  
     
「ハ~イ、お久しぶりツナちゃん」


 綱吉はたまたま隣にやって来た、ノンケの瑛に
 声をかけられた。
  

「あー、瑛ちゃん! 踊らない?」    

「ん、いいよー」


 綱吉と瑛はダンスフロアーへ。


「ったく、いくら寂しいからってあいつは……」


 綱吉と手嶌とそのパートナーの若い男、
 3人3様、
 互いを目一杯意識しているが、
 踊る相手は別々だ。  
  

「ねぇ、瑛ちゃんって、男は全くダメなの?」

「んー、基本的には”勃てば”オッケーだけど」

「じゃあ ―― 俺で試してみる?」


 思わず綱吉の顔を凝視する瑛。
  
  
「……本気、なの?」


 綱吉、自分から瑛の首筋へキスしながら、
 手を瑛の股間へ。
  
  
「(ワオ)……ホテル? それとも……」


 綱吉は瑛を店内奥”ヤり部屋”と呼ばれてる
 VIPルームへ引っ張っていく ――。

 すると後方からヌッと手が現れ、
 リーチの長い腕が綱吉の胸元に巻きついた。

   
「お、おい ―― 邪魔すんなよー」


 その長い腕は手嶌だった。


「わりぃな、こいつは俺のもんなんだ」


 と、問答無用でそのまま綱吉を”ヤり部屋”の
 方へ誘う。
  
  
「教師とセッ*スなんて、興醒めもいいとこ」

「そりゃあ良かった。俺も同じだ。乳臭いガキとじゃ
 勃つもんも勃ちゃしねぇ」
 
「はぁっ?!」 


 手嶌の向かったのは”ヤり部屋”のすぐ横にある、
 従業員用の通用口。  


「お子様は早う家へ帰って宿題して歯ぁ磨いて、ママの
 おっぱいでも飲んでさっさと寝ろ」


 綱吉はその言葉に激昂して、
 手嶌を「大きなお世話だっ!」と、
 突き放す。


「大火傷してからじゃねぇと分からないか? 
 ここはお前みたいなケツの青いガキがいていい所
 じゃない」

「貴重なアドバイスありがとうございます。
 次は十分気を付けるよ。
 じゃ、あんたもいい夜を」


 と、元いたダンスフロアーへ足早に戻って行く。


「チッ。勝手にしろっ!!」 


*****  *****  *****


 手嶌からあんな風にあしらわれ、
 綱吉は半ば捨て鉢になって、
 自販機で買った安酒を煽る。


 (悪かったな。どーせ俺はケツの青いガキだっ)


 たて続けに2本空にして、時間を見る。


 (店、変えようかなぁ ――)

     
 時計の秒針が、2重3重に見える。


 (あ、れぇ……?)


 目を擦る。


 (まずい。少し飲みすぎたか? 
  今夜は帰ろう)


 綱吉はふらりと立ち上がり、カウンターの中の
 バーテンダーに声をかける。
  
  
「浜田さぁん? お勘定、ここに置いておくね~」

「毎度ありー。でも、大丈夫か? ツナ。
 随分と足元ふらついてるようだけど」
 
「ん、大丈夫。適当に歩いて、そこいらでタクシー
 拾う。お休みなさい」
 
「おやすみー」


 綱吉はそのままフラフラとした足取りで歩き出す。


 すると周囲がグルグルと回り、
 よたっと壁に手をついた。


 (マズい……完全に足にきてる)


「あの……」


 をかけられ、ふと振り返った。


「良かったら送ってあげようか?」


 話しかけてきた男は髪の長いスリムな
 背の高い男。

 あんまり好みのタイプではない。
  

「いえ……お構いなく。どこかでタクシー拾います
 から。ご親切にどうも」


 そう言って出ていく綱吉の後をその男が追った。



「―― ふぅ~っ、浜ちゃん水ちょうだい」


 そう言って手嶌がやってくるとマスターが
 慌てている。


「竜二、大変! 綱吉の出たあと清吉が追いかけ
 てったわよ?」

「あぁっ?? 嘘だろ」

「ほんとよ」


 手嶌は慌てて綱吉の後を追いかけた。
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