アンフェア

NADIA 川上

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試練

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  あの市民ホールで行われていた妙な催し物が
  終わって、ヤクザ者とも一般人とも見れる男達に
  ウエスト・エンドにある”聡明会”本部へ連れて
  来られてからというもの実桜はほぼ連日、
  様々な器具を付けられ検査をされた。

  妊娠してはいないか?
  妙な病気を持っていないか?
  これから施行が予定されている生体実験にも
  耐えられるか? 等など……様々な角度から
  検査されているのだが、内診のための器具を身体に
  挿れられただけで『ぎゃっ』と悲痛な叫びを上げ、
  この場から逃げ出そうとしたので、大の男が
  3~4人がかりで押さえつけ,初めての診察は
  這々の体で終わった。

  これから、この器具より大きなモノを毎日
  咥えなければいけないとなれば、
  内心憂鬱だが、 そんなことを顔に出せば
  ”即刻薬漬けにされる”と噂に聞き、
  黙って連中の言いなりになっている。



「―― 無理だろな」

「へ?」


  クルリとカルテを書きながら振り返った医者。
  カルテをペンでつつきながら、ため息をついた。


「機能的にゃ全く異常はない。しかし、如何せん
 身体が成熟してない」

「……そんな」


  付き添っていたバーコード頭の男が、
  ガックリと肩の力を落とす。
  その反応に眉をしかめるが、言葉に出さずに、
  ただ医者を見ていた。

  まだ20代後半くらいの若い医者だが、
  そこそこ経験はあるのだろう。
  スラスラと淀みなく、検査をしていく姿に、
  経験を感じた。


「私の見たとこ、この娘は社長お気に入りの
 モルモット”桔梗”以上の能力を持っているやも
 知れぬ。しかし、社長がどうしても早くってなら、
 なるべく質のいい成長促進剤でも使って
 十分蕩けされておやり、って伝えとくれ」

「分かった」


  トン、とペンがカルテの上に落ちて音がなる。


「おい、娘。覚悟しておけよ」

「??」

「これから成長剤を飲むんだったらかなり辛いぞ」

「せいちょう、ざい?」


  実桜には初めて聞く薬の名前だった。


「大雑把に言ゃあ、手っ取り早く体だけでも大人の女に
 しようって、便利なクスリさ」


  ニヤリと笑いながら近くの棚から小さな錠剤を取り出す
  医者に、背筋が寒くなる。

  ……知っている、この瞳。

  欲に駆られた、雄の瞳。

  とっさに椅子から立ち上がろうとした実桜を、
  付き添いの男が両脇から腕を回してガードする。


「―― やっ!」

「……セリに出された時から目をつけていたんだ。
 今時の子どもは、どんな味がするのかって」


  水差しからコップに水をくみ、
  医者は水を口に含んでから薬を口に入れ。
  そして。


「ぃやっ……!」


  口元を掴まれ、
  鼻を摘まれ強引に重ねられた口から
  水と成長剤が流し込まれる。
  息苦しさにたまらず嚥下すると、
  すかさず滑り込んできた舌に身体が硬直する。

  いや、だ。

  ねっとりと歯肉をなぞられ、舌を絡ませられる。
  顔を背けようにも、顎をがっちり掴まれているため
  動かす事も出来ない。

  両脇から押さえつけている男の鼻息が
  荒くなってきているのを感じて、冷や汗が出る。


「……なぁ先生、俺らも……」

「ちっ、しゃあねぇなぁ」


  シュル、と首もとからネクタイを取ると、
  それを男に渡した。
  何も言わずに男は実桜の手首を1つに縛り上げる。


「やっ……!」


  それを目で確認すると、ベッドへ実桜を運び、
  ネクタイをベッドの柵に括りつける。


「や……お願い許して……!」


  実桜の白いワンピース。
  簡素な作りのワンピースは、
  呆気なく男達の手で引き裂かれる。

  怖い。
  
  養父母宅の座敷牢で薬を飲まされて、
  ただ他人のセックスを見ていた時には感じなかった
  恐怖。
  間もなく自分が、あの時のような事をさせられる。
  見ていた立場と、実際にその立場に立った違いは、
  雲泥の差だ。


「いっ……」


  無遠慮に少し膨らみ始めた胸を撫で回す。
  医者の鼻息が胸にかかる。
  ぞっとする間もなく、今度は男が実桜の唇を塞ぐ。
  啄むように少しずつ重ねながら、
  少しずつ唇を押し付ける。
  それでも唇を開けない実桜に痺れを切らしたのか、
  強引に舌をねじ込んできた。


「や……あっ ―― う……」


  胸を揉まれても痛みしかなく、
  身体を捩ろうにもキスをされて固定されている上に
  手首を拘束されている。
  唯一動かせる足を動かそうとすれば、
  医者がそれを予測したようにベッドに上がって
  跨がり抑えた。


「……っんん!」

「何だ、薬がなくても乳首は感じるのか?」


  頂に、ざらついた舌を感じて、背筋が伸びる。
  違う、といいたくて反論しようにも、
  口は塞がれているし顔を振ることすら出来ない。


「こんな幼い身体、興奮するわけないと思っていたが。
 なかなか良いものだな」

「やっ、やだっ!助けて……!」


  つぅ……と口から銀糸を垂らして涙を流しながら、
  真っ赤な顔で懇願する実桜は、
  確かに大人と子どもの危ういバランスの色気を
  携えていて。

  無意識に、2人の男がごくりと生唾を飲む。

  何も分かっていない。
  その姿が、声が。
  どれだけ、男たちの欲情を煽っているか。

  可能なら、すぐにでも無茶苦茶にして哭かせて、
  孕ませたいくらい。
  大人の女性には出せない、
  微妙な危うさの上になりたっている色気を。


「い、や……やだ、やめ…っ」


  その微かな色気に溺れるように、
  男達は同時に実桜の左右の頂に吸い付く。
  実桜の抵抗すら欲情に変えて。
  男達はひたすら実桜の身体に溺れていった。

  これが、初めてこの娼館で男の欲情に
  晒された時のこと。
  それは幕開けでしかなく、
  これからが本番だということも。

  悲しいくらい理解していた。
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