8 / 14
第二章
2
しおりを挟む
警察官が来てくれたものの、既に元夫はいなくなっていた。追いかけてくれた警備員さんも戻ってきていた。
「すみません、途中で見失ってしまいました」
「全然大丈夫ですよ」
あんなに、すぐ行ってくれていたのに。疑念感が拭えない。頭の中がモヤモヤしていて、何だか違和感を覚えている。
「あの、被害届だけ、出しても良いでしょうか?」
「署まで来ていただければ可能です」
パトカーで警察署まで連れて行ってもらい、わたしは被害届を提出した。
家に帰っても、怒りと絶望が同時に押し寄せてきた。涙が出てくると言うより、悔しくてやりきれなくて、地団駄を踏みたい感情に近い。何としてでも娘を見つけ出さなきゃ。
ブロック欄から元旦那を見つけて解除した。チャットを送ってみても、既読すら付かない。連絡をすると、返事は来ない。電話をかけてみると、すぐに出てくれた。
「莉子のこと、知らないよね? 何もしてないよね」
「なんのこと? そもそも仕事中だから、そんなことできない」
おかしい。たしかに元旦那の姿だったのに。何があったのだろう。わたしの頭がおかしくなってしまったのか。
しばらく、悶々とする日々が続いていた。
自分でも思い当たるところを探してみたけれど、見当たらない。途方に暮れて、倉敷駅前通りの交番を訪れた。
「以前に娘のことで捜索願を出した秋月ですが、現在はどのような状況でしょうか?」
若い警察官が出てきた。通報のときに来てくれた人だ。書類を見ながら、思慮深い表情で考え込んでいる。
「捜索はしてるんですけど、なかなか証拠品も見つかってない状況です」
「そうですか」
やはり警察に相談しても、どうしようもなかった。交番を出て、駅前を落ち込みながら歩いていた。正義感の気力だけで動けている。
(とにかく、莉子を助けなきゃ……。警察を頼れないとなると、わたしだけで探すしかないのか)
気分が沈みつつも、責任感だけが付きまとっていた。家に帰ったらポスターでも作ろうかな。そう思いながら、警察署の前で肩を落としながら意気消沈しながら歩いていた。
自分のお腹がぎゅるぎゅると鳴って、昼ご飯を食べてなかったなと気が付く。そこで、公園に座って朝食用に買っていた菓子パンを食べることにした。
きれいな夕日が雲に隠れていて、どんよりとした気持になる。パンから目を離した隙に、鷹が飛んできて、わたしのパンを奪っていった。
「ちょっと待って!」
追いかけていくけれど、鷹のスピードには負けてしまった。手にはかじられて中途半端に千切れた菓子パンだけが残っている。今日はうまくいかないな。
こんな日もあるかな。気持が全く切り替えられず、気分が落ち込む一方だった。ふと前を見てみると神社が見えた。入口付近に看板が出ている。
「お祓い受付中……?」
(根本的な解決にはならないかもしれないけれど、気晴らしにはいいかも)
弥生は神社の境内に入った。お正月にしか来たことがなかったから、あまりの静けさと本殿の大きさに恐れおののいている。
しばらく歩くと、目立つ案内看板が目に付いた。受付に到着すると、高校生ぐらいで金髪の若い女性がいた。
(神社なのに、こんな若い子でしかも派手髪のひともいるのか)
驚きながらも静かに声をかけた。
「すみません。お祓いをお願いしたいのですが」
「分かりました。こちらに来られるのは初めてでしょうか?」
意外にも、しっかりと対応してくれて安心した。
「はい、そうです」
「では、軽くご説明しますね。」
受付の奥にある建物のふすまを開けてくれた。どれを選んでも同じだろうと感じたから、真ん中にあるスリッパに足を通した。
「おじいちゃーん、ちょっと来て」
「すみません、途中で見失ってしまいました」
「全然大丈夫ですよ」
あんなに、すぐ行ってくれていたのに。疑念感が拭えない。頭の中がモヤモヤしていて、何だか違和感を覚えている。
「あの、被害届だけ、出しても良いでしょうか?」
「署まで来ていただければ可能です」
パトカーで警察署まで連れて行ってもらい、わたしは被害届を提出した。
家に帰っても、怒りと絶望が同時に押し寄せてきた。涙が出てくると言うより、悔しくてやりきれなくて、地団駄を踏みたい感情に近い。何としてでも娘を見つけ出さなきゃ。
ブロック欄から元旦那を見つけて解除した。チャットを送ってみても、既読すら付かない。連絡をすると、返事は来ない。電話をかけてみると、すぐに出てくれた。
「莉子のこと、知らないよね? 何もしてないよね」
「なんのこと? そもそも仕事中だから、そんなことできない」
おかしい。たしかに元旦那の姿だったのに。何があったのだろう。わたしの頭がおかしくなってしまったのか。
しばらく、悶々とする日々が続いていた。
自分でも思い当たるところを探してみたけれど、見当たらない。途方に暮れて、倉敷駅前通りの交番を訪れた。
「以前に娘のことで捜索願を出した秋月ですが、現在はどのような状況でしょうか?」
若い警察官が出てきた。通報のときに来てくれた人だ。書類を見ながら、思慮深い表情で考え込んでいる。
「捜索はしてるんですけど、なかなか証拠品も見つかってない状況です」
「そうですか」
やはり警察に相談しても、どうしようもなかった。交番を出て、駅前を落ち込みながら歩いていた。正義感の気力だけで動けている。
(とにかく、莉子を助けなきゃ……。警察を頼れないとなると、わたしだけで探すしかないのか)
気分が沈みつつも、責任感だけが付きまとっていた。家に帰ったらポスターでも作ろうかな。そう思いながら、警察署の前で肩を落としながら意気消沈しながら歩いていた。
自分のお腹がぎゅるぎゅると鳴って、昼ご飯を食べてなかったなと気が付く。そこで、公園に座って朝食用に買っていた菓子パンを食べることにした。
きれいな夕日が雲に隠れていて、どんよりとした気持になる。パンから目を離した隙に、鷹が飛んできて、わたしのパンを奪っていった。
「ちょっと待って!」
追いかけていくけれど、鷹のスピードには負けてしまった。手にはかじられて中途半端に千切れた菓子パンだけが残っている。今日はうまくいかないな。
こんな日もあるかな。気持が全く切り替えられず、気分が落ち込む一方だった。ふと前を見てみると神社が見えた。入口付近に看板が出ている。
「お祓い受付中……?」
(根本的な解決にはならないかもしれないけれど、気晴らしにはいいかも)
弥生は神社の境内に入った。お正月にしか来たことがなかったから、あまりの静けさと本殿の大きさに恐れおののいている。
しばらく歩くと、目立つ案内看板が目に付いた。受付に到着すると、高校生ぐらいで金髪の若い女性がいた。
(神社なのに、こんな若い子でしかも派手髪のひともいるのか)
驚きながらも静かに声をかけた。
「すみません。お祓いをお願いしたいのですが」
「分かりました。こちらに来られるのは初めてでしょうか?」
意外にも、しっかりと対応してくれて安心した。
「はい、そうです」
「では、軽くご説明しますね。」
受付の奥にある建物のふすまを開けてくれた。どれを選んでも同じだろうと感じたから、真ん中にあるスリッパに足を通した。
「おじいちゃーん、ちょっと来て」
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる