2 / 5
2
しおりを挟む
ちなみに私は女遊びに興味がない。勃起もしない。抱きたいとも思わない。たまに自慰はするが、面倒くさい。自分の陰茎が気味悪く思う。なんでこんなものついてるんだ? そんなことをたまに思う。私は少しいかれている。麻雀の動画を見ながら自慰したことがある。女より麻雀のほうが魅力的だ。たまに雀荘の人に、莫迦みたいに強いんだから、プロになればいいと言われた。私はそれよりも雀荘のメンバーのほうが強いし、かっこいいと思う。凌ぎの削りあい。けれど、雀荘のメンバーになったら、大好きな麻雀が嫌いになるかもしれない。それよりも地道に金を貯めて、山形の十四代の日本酒とか、岩手の酒とか、新潟の酒に金を払って、薙と飲んでいたい。
七月の休日、私は煙草をのみながら、外を歩き、東京の暑い夏を堪能していた。野良猫がにゃーと鳴く。私は歩き煙草をしながら、疲れたら、街灯にもたれて、紫煙を燻らせる。親はこんな私を見限っている。将来も希望もない、こんな私を見て、贖いの子を産んだと思っているのだろうか。私の遺伝子はいらない。下らない、糞みたいなものだ。万人に生きる価値があるとは思えない。外交官とか、大学の教授とか、国会議員とか、そんな偉そうな人間も下らない部分があるに違いない。いやこんな私よりよっぽど生きる価値があると思う。優生思想を持っているのかな? 私は。私ほどいらない人間はいないと思う。ふと、パチンコ店に入って、三千円負けて帰る。浅草の競馬場に行って、3連単の万馬券を買って、当たれば五十万。当たるわけがない。外れた。これでまた金が消える。適当に居酒屋に入り、蕎麦を食べる。そして、日本酒を冷で二合飲む。私の人生に価値はないかもしれない、けれど、私は生きていて楽しい。
人生に楽意を見いだせれば、それだけで生きていていいと思う。別段私は誰かに迷惑をかけているわけでもない。犯罪もしていない。若干の優生思想はあるかもしれないが、ちょっと普通とはかけ離れているかもしれないが。私は酒を飲み煙草をのむ。それだけで幸せだ。僥倖を捉えた虎のようだ。
さて、ほろ酔いで雀荘にでも行こうか。軍資金は三万。テンピンなら負けても四局打てるだろう。放浪だ。私の人生は放浪だ。それでいいのだ。
入ったことのない雀荘に、入ってみる。雀荘のメンバーが懇切丁寧にルールを説明してくれる。ルールを聞いてから、雀荘にいるメンツの打ち筋を見る。この人は今日ツイている。打ち筋は下手。ちょっと酔いながらそんなことを思う。軽くアイスコーヒーを飲み、灰皿に灰を落とす。あ、この人は強い。高い手を張っているが、丁寧に降りた。私ならいく。そして局が流れると、当たり牌だった。老人だった。打ち方で強さが少し分かる。綺麗な手つき、丁寧な打牌。今日は打たない方がいい。
「すいません、ちょっと今日は休みます。すいません、珈琲頂いておいて」
そんな言い訳を残し、私は帰る。
勝てないと思ったら打たない。それに今日のツキはそこまでではない。五分五分より若干下がるぐらい。ほろ酔いのさなかで冷静に分析する。麻雀は勝ちたい。勝てないと思った日はやらない。馬、パチンコ、競艇、そういったものは適当に、運に任せる。けれど、麻雀にはほんの少し矜持がある。打たない日は打たない。これも博奕打の、勘。
私はふらふらと東京の路地裏で、煙草を吹かした。
紫煙が昇っていく。まるで中国の画家が描くような、蛇の線を残していく。
私もいつかこのように消滅していくのか? 消滅すればいい、そうすれば、もう認識しなくて済む。ふとそんなことを思う。糞みたいな人生だ。糞みたいな人間だ。私は堕落している。私は下等生物だ。そんなことを雑多に思う。
「もういっちょ飲むか」
私は適当に汚い店に入り、七月の猛暑を避けて、冷の酒を飲む。
七月の休日、私は煙草をのみながら、外を歩き、東京の暑い夏を堪能していた。野良猫がにゃーと鳴く。私は歩き煙草をしながら、疲れたら、街灯にもたれて、紫煙を燻らせる。親はこんな私を見限っている。将来も希望もない、こんな私を見て、贖いの子を産んだと思っているのだろうか。私の遺伝子はいらない。下らない、糞みたいなものだ。万人に生きる価値があるとは思えない。外交官とか、大学の教授とか、国会議員とか、そんな偉そうな人間も下らない部分があるに違いない。いやこんな私よりよっぽど生きる価値があると思う。優生思想を持っているのかな? 私は。私ほどいらない人間はいないと思う。ふと、パチンコ店に入って、三千円負けて帰る。浅草の競馬場に行って、3連単の万馬券を買って、当たれば五十万。当たるわけがない。外れた。これでまた金が消える。適当に居酒屋に入り、蕎麦を食べる。そして、日本酒を冷で二合飲む。私の人生に価値はないかもしれない、けれど、私は生きていて楽しい。
人生に楽意を見いだせれば、それだけで生きていていいと思う。別段私は誰かに迷惑をかけているわけでもない。犯罪もしていない。若干の優生思想はあるかもしれないが、ちょっと普通とはかけ離れているかもしれないが。私は酒を飲み煙草をのむ。それだけで幸せだ。僥倖を捉えた虎のようだ。
さて、ほろ酔いで雀荘にでも行こうか。軍資金は三万。テンピンなら負けても四局打てるだろう。放浪だ。私の人生は放浪だ。それでいいのだ。
入ったことのない雀荘に、入ってみる。雀荘のメンバーが懇切丁寧にルールを説明してくれる。ルールを聞いてから、雀荘にいるメンツの打ち筋を見る。この人は今日ツイている。打ち筋は下手。ちょっと酔いながらそんなことを思う。軽くアイスコーヒーを飲み、灰皿に灰を落とす。あ、この人は強い。高い手を張っているが、丁寧に降りた。私ならいく。そして局が流れると、当たり牌だった。老人だった。打ち方で強さが少し分かる。綺麗な手つき、丁寧な打牌。今日は打たない方がいい。
「すいません、ちょっと今日は休みます。すいません、珈琲頂いておいて」
そんな言い訳を残し、私は帰る。
勝てないと思ったら打たない。それに今日のツキはそこまでではない。五分五分より若干下がるぐらい。ほろ酔いのさなかで冷静に分析する。麻雀は勝ちたい。勝てないと思った日はやらない。馬、パチンコ、競艇、そういったものは適当に、運に任せる。けれど、麻雀にはほんの少し矜持がある。打たない日は打たない。これも博奕打の、勘。
私はふらふらと東京の路地裏で、煙草を吹かした。
紫煙が昇っていく。まるで中国の画家が描くような、蛇の線を残していく。
私もいつかこのように消滅していくのか? 消滅すればいい、そうすれば、もう認識しなくて済む。ふとそんなことを思う。糞みたいな人生だ。糞みたいな人間だ。私は堕落している。私は下等生物だ。そんなことを雑多に思う。
「もういっちょ飲むか」
私は適当に汚い店に入り、七月の猛暑を避けて、冷の酒を飲む。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる