星の胎動

ドルドレオン

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8 沈黙の書

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《アンフィロスの種子》
第七章「沈黙の書──神言の迷宮」
1.言葉なき啓示

ナイトメア・カオスの消滅後、宇宙は一時の平穏を得た。
だが〈サーグラナ〉に送られてきた神の“言葉”は──意味を持たない文字の羅列だった。

ヴァレリアは言う。

「これは……“言語の崩壊”よ。
 本来、神の言葉は“存在の根源”を示すはずなのに、
 我々のあらゆる言語体系では解読できない。
 “言語の外”にある何かが介在している」

2.沈黙の書

アレイはその謎を“沈黙の書”と呼んだ。

その書は、物理的には文字列が並んでいるが、読み進めるごとにその意味は遠ざかる。
ページをめくるたび、読者の理解力が試され、同時に語り手の意識が溶けてゆくような感覚が襲った。

「まるで、言語の限界が露呈している……」

3.神言の迷宮

〈サーグラナ〉の知性たちは解析に没頭する。
しかし言語学、量子言語理論、超弦論、さらには神秘主義的符号学の知識をもってしても、解の糸口は掴めなかった。

「言語の体系を超えた、“無言の言語”が存在する」
ヴァレリアは断言する。

「それは、**言葉を超えた“存在のまどろみ”**かもしれない……」

4.アレイの挑戦

アレイは自らの意識を言語の外へと解放しようと試みる。
瞑想の中で、彼は“意味の影”が蠢く深淵に入り込んだ。

その先で彼が見たのは、完全な沈黙と光の奔流。

言葉を超えた啓示は、言葉に還元できない形で彼に語りかけた。

「これは言語の破壊ではない。
 新たな言語の胎動だ。
 我々が恐れる“空白”は、次なる言葉の母胎」

5.和合の光

リュミナはアレイの内的旅路を見守りながら言った。

「我々は“言語の外”に恐れを抱く。
 だが、恐怖を乗り越え、未知の言葉を“待つ”ことこそが神への真の和合だ」

6.新たなる言葉の兆し

沈黙の書は、いまも〈サーグラナ〉のホログラム上に漂っている。
その意味不明の記号列は、星のように散らばる可能性の光となり、待つ者に微かな振動を伝えていた。

それはまだ言語にならない。
しかし、確かに“未来の言葉”の鼓動が響いている。

章末語り

「神の言葉とは、決して手に入るものではない。
 それは待つものであり、創るものであり、
 “言語の彼方”にこそ、その真実がある」
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