闇カジノ

ドルドレオン

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翌朝、目を覚ますと、日の光が部屋のカーテン越しに差し込んでいた。だが、心の中はまだ闇の中にあった。眠れた気がしない。思い出すのは、昨夜グレイが言った言葉だ。

「カジノはゲームじゃない。ビジネスだ。」

その言葉の意味が、今になってじわじわと身に染みる。ビジネスの裏側では、誰が支配し、誰が死んでいくのか。そのリアルが見えてきた。

電話が鳴った。画面に表示された名前は、昔の同僚であり、今はデスクワークに縛られているアビー・ロジャースだった。彼女も私のように、真実を追うことに情熱を燃やしていた。

「ジャック、君、まだそのカジノの話を追ってるの?」 彼女の声は少し警戒していた。

「追ってるよ、アビー。これがただの話じゃない。裏で何かが動いてる。これを放っておけない。」 私は言った。

「気をつけなよ。」 アビーはため息をついた。「あのカジノ、どうやらただの賭け事じゃないみたいよ。私は社内でその話を聞いたけど、噂では金の流れが不自然だって言うし、関係者が次々と姿を消してるって。」

その言葉が私の胸に重く響いた。関係者が消える? それは単なる脅しではない。本当の意味で、誰かが命を懸けている。

「アビー、その情報、君が手に入れたものは?」 私の声は冷たく、切実だった。

「具体的にはまだ分からない。でも、私はあのカジノの周辺を調べたことがある。背後にいるのは、単なるギャンブラーの連中じゃない。もっと大きな勢力が動いている。」 アビーは少し言葉を詰まらせた。「ジャック、君の命が危ないかもしれない。私たちが知ってるだけでも、あの場所にはヤバい人たちが絡んでいるんだ。」

私は静かにうなずいた。心の中で、もはや戻れない場所まで踏み込んでいることを感じ取っていた。真実を暴くことが、命がけの賭けだということを。

電話を切り、私は再びカジノへ向かう決意を固めた。今度はもっと深く。より危険な場所へ。

カジノの外観は、昼間でも不気味に煌びやかだった。ネオンの灯りが反射する路面には、日常の喧騒が流れているが、その下には無数の隠された影がひしめいている。

建物の中に足を踏み入れると、照明がやけに明るく、ディーラーの無表情な顔が並んでいた。賭けのゲームは続いている。だが、私の目はその光景を無視して、背後に潜む本当の問題を探っていた。

入り口を過ぎると、目の前に一人の男が立ちはだかる。彼の背は高く、スーツをきっちりと着こなし、目つきが鋭い。ここでは見かけないタイプの男だ。

「お探しの方は、こちらにはいません。」 彼は淡々とした口調で言った。男の目には警戒の色が強く、あらゆる事態に備えている様子だった。

「どこに行けば会える?」 私は一歩も引かずに問う。

彼の目が一瞬だけ揺れた。その瞬間を逃さず、私は彼の後ろに回り込むようにして足を進めた。

「もうすぐ分かるさ。」 男は一瞬視線を落とし、そしてすぐにまた私を見た。「だが、君は二度と出られなくなるかもしれない。」

その言葉を聞き、私はただ静かに頷いた。すべてが終わるまで、私は後戻りはしない。

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