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第五話 推しを狙う陰謀は尊さで叩き潰す!
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王都では今月末、盛大な舞踏会が開かれる。
王族主催の夜会であり、貴族の子弟が一堂に会する華やかな場――だが同時に、裏では権力争いの渦が渦巻く恐ろしい舞台でもある。
今回、セリーヌ様も招待されていた。
義姉は気乗りしない様子でため息をつく。
「舞踏会なんて……私のような者は目立たない方がいいのに」
「とんでもありません! 推しはその存在自体が光! 王都の暗闇を照らす星なんです!」
「……相変わらず大げさね」
呆れたように微笑むその顔が尊すぎて、私は一瞬で昇天しかけた。
だがその夜、偶然耳にした使用人たちの会話が、事態を一変させた。
「例の薬、準備は整ったか?」
「ええ、舞踏会で飲み物に混ぜれば……」
「アルバート家の令嬢を失脚させれば、我らの思い通りです」
(……は?)
壁の陰に潜んでいた私は、耳を疑った。
今、推しをハメる計画を聞いてしまったのだ。
アルバート家とは、継母の義実家である。その家門の令嬢と言われれば、セリーヌ様ただお一人。
薬で失態を演出し、婚約市場から追い出す――そんな陰湿極まりない陰謀!
(許せん!! 推しの尊さを汚す輩、断じて許さん!!)
私は即座に決意した。
舞踏会当日、この身を張って推しを守り抜く、と。
舞踏会当日。
煌びやかなシャンデリア、優雅な音楽、色とりどりのドレスに身を包んだ令嬢たち。
そして――一際輝く銀のドレス姿のセリーヌ様。
「……似合っているかしら?」
「天使です! いや女神です! もはや神話から降臨した奇跡です!!」
興奮のあまり涙を流す私に、義姉は苦笑してハンカチを差し出した。
尊死寸前である。
しかし私は気を抜かない。
ホールの隅でワインを注ぐ給仕に目を凝らし、怪しい動きを監視する。
やがて、銀の杯にこっそりと何かを混ぜる影を見つけた。
(来た! これが推しを陥れる毒杯か!)
私は人混みをすり抜け、セリーヌ様のもとへ向かう。
ちょうどその手に問題の杯が差し出される瞬間――!
「セリーヌ様! それはダメェェェェ!!」
私は飛び込み、推しの手から杯を叩き落とした。
会場が一斉にざわめく。
「アリシア!? 一体何を――」
「この酒は! 推しを陥れるための陰謀の産物です!!」
私は叫び、床に広がった液体を指差した。
ちょうどそこに、従者が連れてきた黒装束の男が取り押さえられる。
「くっ……なぜ気づいた!?」
「推し活の執念を甘く見るなよ!!」
場は大混乱となった。
王族の警備隊が駆けつけ、調べた結果、杯には確かに「意識を混濁させる薬」が仕込まれていたことが判明した。
会場は驚きと怒りに包まれる。
義姉は顔を青ざめさせ、私の手をぎゅっと握った。
「……助けてくれたの?」
「当然です! 推しの尊厳を守るためなら、命だって惜しくありません!」
「……あなたって、本当に……」
震える声で、しかし確かな笑顔が浮かぶ。
「ありがとう、アリシア」
その瞬間、私は悟った。
推し活とは、ただの趣味や崇拝ではない。
推しの幸せを全力で守り抜く使命なのだと!
舞踏会の終盤、義姉は私の肩にそっと頭を預けてきた。
音楽に合わせ、短いワルツのように歩きながら、小さな声で囁く。
「……私ね、昔から、誰も本当の私を見てくれない気がしていたの。家の名や立場ばかりで……」
私の胸が熱くなる。
この尊い人を孤独にさせた世界が憎い。
「でも、あなたは……変な人だけど……私を“私”として見てくれているのね」
「当然です! 推しは存在そのものが奇跡! 誰が何と言おうと、私は一生推します!!」
「ふふ……」
義姉は小さく笑い、そっと言った。
「じゃあ……少し、あなたの“推し”に甘えてもいいかしら」
「も、もちろんですううう!! 全身全霊で受け止めますううう!!」
尊さに耐えきれず、私はまた涙を流した。
こうして、推しを狙う陰謀は見事に打ち砕かれた。
だが同時に、私は悟る。
――これは序章に過ぎない。
推しを守る戦いは、これからもっと苛烈になっていくのだと。
それでも構わない。
推しの笑顔さえ守れるなら、私は何度でも立ち上がる。
たとえ世界が敵になろうとも、私は推しの最強のファンであり続けるのだから!
王族主催の夜会であり、貴族の子弟が一堂に会する華やかな場――だが同時に、裏では権力争いの渦が渦巻く恐ろしい舞台でもある。
今回、セリーヌ様も招待されていた。
義姉は気乗りしない様子でため息をつく。
「舞踏会なんて……私のような者は目立たない方がいいのに」
「とんでもありません! 推しはその存在自体が光! 王都の暗闇を照らす星なんです!」
「……相変わらず大げさね」
呆れたように微笑むその顔が尊すぎて、私は一瞬で昇天しかけた。
だがその夜、偶然耳にした使用人たちの会話が、事態を一変させた。
「例の薬、準備は整ったか?」
「ええ、舞踏会で飲み物に混ぜれば……」
「アルバート家の令嬢を失脚させれば、我らの思い通りです」
(……は?)
壁の陰に潜んでいた私は、耳を疑った。
今、推しをハメる計画を聞いてしまったのだ。
アルバート家とは、継母の義実家である。その家門の令嬢と言われれば、セリーヌ様ただお一人。
薬で失態を演出し、婚約市場から追い出す――そんな陰湿極まりない陰謀!
(許せん!! 推しの尊さを汚す輩、断じて許さん!!)
私は即座に決意した。
舞踏会当日、この身を張って推しを守り抜く、と。
舞踏会当日。
煌びやかなシャンデリア、優雅な音楽、色とりどりのドレスに身を包んだ令嬢たち。
そして――一際輝く銀のドレス姿のセリーヌ様。
「……似合っているかしら?」
「天使です! いや女神です! もはや神話から降臨した奇跡です!!」
興奮のあまり涙を流す私に、義姉は苦笑してハンカチを差し出した。
尊死寸前である。
しかし私は気を抜かない。
ホールの隅でワインを注ぐ給仕に目を凝らし、怪しい動きを監視する。
やがて、銀の杯にこっそりと何かを混ぜる影を見つけた。
(来た! これが推しを陥れる毒杯か!)
私は人混みをすり抜け、セリーヌ様のもとへ向かう。
ちょうどその手に問題の杯が差し出される瞬間――!
「セリーヌ様! それはダメェェェェ!!」
私は飛び込み、推しの手から杯を叩き落とした。
会場が一斉にざわめく。
「アリシア!? 一体何を――」
「この酒は! 推しを陥れるための陰謀の産物です!!」
私は叫び、床に広がった液体を指差した。
ちょうどそこに、従者が連れてきた黒装束の男が取り押さえられる。
「くっ……なぜ気づいた!?」
「推し活の執念を甘く見るなよ!!」
場は大混乱となった。
王族の警備隊が駆けつけ、調べた結果、杯には確かに「意識を混濁させる薬」が仕込まれていたことが判明した。
会場は驚きと怒りに包まれる。
義姉は顔を青ざめさせ、私の手をぎゅっと握った。
「……助けてくれたの?」
「当然です! 推しの尊厳を守るためなら、命だって惜しくありません!」
「……あなたって、本当に……」
震える声で、しかし確かな笑顔が浮かぶ。
「ありがとう、アリシア」
その瞬間、私は悟った。
推し活とは、ただの趣味や崇拝ではない。
推しの幸せを全力で守り抜く使命なのだと!
舞踏会の終盤、義姉は私の肩にそっと頭を預けてきた。
音楽に合わせ、短いワルツのように歩きながら、小さな声で囁く。
「……私ね、昔から、誰も本当の私を見てくれない気がしていたの。家の名や立場ばかりで……」
私の胸が熱くなる。
この尊い人を孤独にさせた世界が憎い。
「でも、あなたは……変な人だけど……私を“私”として見てくれているのね」
「当然です! 推しは存在そのものが奇跡! 誰が何と言おうと、私は一生推します!!」
「ふふ……」
義姉は小さく笑い、そっと言った。
「じゃあ……少し、あなたの“推し”に甘えてもいいかしら」
「も、もちろんですううう!! 全身全霊で受け止めますううう!!」
尊さに耐えきれず、私はまた涙を流した。
こうして、推しを狙う陰謀は見事に打ち砕かれた。
だが同時に、私は悟る。
――これは序章に過ぎない。
推しを守る戦いは、これからもっと苛烈になっていくのだと。
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