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週末の午後、外は穏やかな晴れ空が広がっていた。
シェアハウスのリビングにいると、二階から足音が下りてくる。
下りてきたのは翔だった。
彼は冷蔵庫を開けるとため息をつく。
どこか足取りはふらふらとしていて、顔がぼんやりしている。
「どうしたの?」
「……ちょっと風邪っぽい。なんか食えるものないかなーって思ったんだけど」
「ああ、冷蔵庫ろくに入ってないよね。俺、何か買ってこようか」
「え、いいのか」
「もちろん」
冷蔵庫を開け、残り物を確認する。
野菜はあるが、肉や卵はほとんどない。
温かい雑炊を作って食べさせたいと思い、買い物メモをスマホに打ち込んだ。
鶏むね肉、卵、ネギ、生姜。
ついでにポカリスエットも買っておこう。
財布とエコバッグを手に、玄関でスニーカーを履く。
扉を開けると、ちょうど廊下の端から篤が歩いてきた。
「何か食べるの?」
「……まあ」
「今、冷蔵庫空っぽだよ。今から買いにいくところ」
悠人がちらりと翔を見る。
あからさまに体調が悪そうな彼を見て、篤は目を細めた。
「風邪?」
「……うん」
その表情が何を意味するのか読み取れず、悠人は迷った。
彼は晴れの日はあまり外に出ないと知っている。
だから、誘うのは失礼かもしれない。
けれど、もしも断られてもいい――そう思って、口を開いた。
「……一緒に行きます?」
ほんの数秒、時間が止まったような沈黙があった。
やがて顔を上げ、短く頷いた。
「……まあ」
あ、彼の「イエス」だ。
その瞬間、悠人の胸の奥で、小さな驚きと同時に嬉しさが弾けた。
表情に出さないように気をつけながら、「じゃあ行きましょう」と笑みを添えた。
玄関を出ると、秋の陽射しが柔らかく降り注いでいた。
道端の銀杏の葉が少し色づき、風に揺れている。
晴れた日の篤と並んで歩くのは、これが初めてだった。
いつもの雨の匂いはないが、それでも隣にいるだけで特別な時間に感じられた。
スーパーまでの道は人通りが多く、子どもの声や車の音が重なっていた。
悠人は自然と歩幅を篤に合わせ、時折、横目で彼の様子を窺った。
篤は少しだけ視線を落とし気味にしていたが、足取りは安定している。
「雑炊を作ろうと思って。篤さんも食べる?」
「……まあ」
「じゃあ、材料多めに買わないとね」
短いやり取りが、晴れた日の空気の中に溶けていった。
スーパーの看板が見えてきたとき、悠人はもうひとつの驚きに気づいていた。
――篤が自分の隣にいることを、自然に嬉しいと思っている自分に。
シェアハウスのリビングにいると、二階から足音が下りてくる。
下りてきたのは翔だった。
彼は冷蔵庫を開けるとため息をつく。
どこか足取りはふらふらとしていて、顔がぼんやりしている。
「どうしたの?」
「……ちょっと風邪っぽい。なんか食えるものないかなーって思ったんだけど」
「ああ、冷蔵庫ろくに入ってないよね。俺、何か買ってこようか」
「え、いいのか」
「もちろん」
冷蔵庫を開け、残り物を確認する。
野菜はあるが、肉や卵はほとんどない。
温かい雑炊を作って食べさせたいと思い、買い物メモをスマホに打ち込んだ。
鶏むね肉、卵、ネギ、生姜。
ついでにポカリスエットも買っておこう。
財布とエコバッグを手に、玄関でスニーカーを履く。
扉を開けると、ちょうど廊下の端から篤が歩いてきた。
「何か食べるの?」
「……まあ」
「今、冷蔵庫空っぽだよ。今から買いにいくところ」
悠人がちらりと翔を見る。
あからさまに体調が悪そうな彼を見て、篤は目を細めた。
「風邪?」
「……うん」
その表情が何を意味するのか読み取れず、悠人は迷った。
彼は晴れの日はあまり外に出ないと知っている。
だから、誘うのは失礼かもしれない。
けれど、もしも断られてもいい――そう思って、口を開いた。
「……一緒に行きます?」
ほんの数秒、時間が止まったような沈黙があった。
やがて顔を上げ、短く頷いた。
「……まあ」
あ、彼の「イエス」だ。
その瞬間、悠人の胸の奥で、小さな驚きと同時に嬉しさが弾けた。
表情に出さないように気をつけながら、「じゃあ行きましょう」と笑みを添えた。
玄関を出ると、秋の陽射しが柔らかく降り注いでいた。
道端の銀杏の葉が少し色づき、風に揺れている。
晴れた日の篤と並んで歩くのは、これが初めてだった。
いつもの雨の匂いはないが、それでも隣にいるだけで特別な時間に感じられた。
スーパーまでの道は人通りが多く、子どもの声や車の音が重なっていた。
悠人は自然と歩幅を篤に合わせ、時折、横目で彼の様子を窺った。
篤は少しだけ視線を落とし気味にしていたが、足取りは安定している。
「雑炊を作ろうと思って。篤さんも食べる?」
「……まあ」
「じゃあ、材料多めに買わないとね」
短いやり取りが、晴れた日の空気の中に溶けていった。
スーパーの看板が見えてきたとき、悠人はもうひとつの驚きに気づいていた。
――篤が自分の隣にいることを、自然に嬉しいと思っている自分に。
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