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【外伝】Episode-ゼロ 真珠の起源 第1章 深海が結んだ運命
1-7.真珠の輝き
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翌朝。水平線から上る陽光で目を覚ました黒崎が見たのは、全裸のまま、外へと歩いていくサラの後ろ姿だった。
彼女はそのまま桟橋の先端まで行くと、重力など存在しないかのような優雅なフォームで、鏡のような海面へと吸い込まれていった。
黒崎は吸い寄せられるように後を追った。
リビングの隅に、埃を被った古い水中マスクを見つけ、それを掴む。
桟橋に立った時、自分が着ていた服が事故でボロボロであること、そして替えの服はおろか、水着もないことに気づいた。
「誰もいない。……裸でいっか」
彼は汚れた服を脱ぎ捨て、全裸になった。
鼓膜の痛みはあるが、奇跡的に四肢は動く。
学生時代、水球部のキャプテンを務め、また、夏休み中にはライフセーバーとして鳴らした自信が彼を突き動かした。
(あんな華奢な女の泳ぎに、追いつけないはずがない)
海へ飛び込み、サラを追う。だが、黒崎の傲慢さは数分で打ち砕かれた。
サラの泳ぎは「速い」という次元を超えていた。
水の抵抗を全く受けていないかのように、彼女の白い肢体はみるみるうちに遠ざかっていく。
マスクを肩にかけ15分ほど泳いだ時、はるか前方にサラの白い尻と、しなやかな脚が天を突くのが見えた。
「ジャックナイフ……! 潜るのか?」
黒崎は慌てて汚いマスクを装着し、海中に顔を沈めた。
そこには、人間の限界を超えた「潜行」があった。
サラは一切の無駄を削ぎ落としたストリームラインを保ち、深淵へと吸い込まれていく。
彼女が蹴り出す水流が、青い空間に銀色の道を作る。
30メートル、40メートル……視界は澄み渡り、海底まで見通せるが、その底はあまりにも遠い。
「深い‥深すぎる‥」
突然、サラの姿が消えた。
「……! あの横穴に入ったのか?」
海底の岩棚にある、
小さな暗がりのトンネル。
黒崎は水面にうつ伏せに浮きながら、その入口を凝視した。
1分、……。
一向に出てくる気配がない。
肺が焼けるような苦しさに襲われ、黒崎が顔をあげようとしたその時、視界のはるか左方向、当初の予想とは全く異なる深い海の底から、ゆらりと「白い影」が現れた。
水中トンネルを抜け、別の出口から出てきたのだ。
「あの深さで、あの距離‥信じられん‥」
浮上は一転して、雪が舞うようなゆったりとした動きだった。
肺の中の空気が膨張し、彼女を天へと押し上げる。
黒崎は彼女の浮上点を見定め、水面で待ち構えた。
彼女が真下から上がってくる。
もうすぐ水面というところで、彼女は顔を上げなかった。
「……っ!?」
海面下、突然、熱い感覚が黒崎の股間に触れた。
サラは水面に顔を出すよりも先に、黒崎の、本人も気づかぬうちに硬りきっていた「ブツ」を、温かい口内へと招き入れたのだ。
波に揺られながら、黒崎は全身を走る衝撃に震えた。
自分を死から救い出した、人魚の唇。
黒崎はたまらず、潜水から戻ったばかりの彼女の細い両脇を掴み、力任せに海面へと引き上げた。
「サラ……!」
水飛沫を上げて現れたサラを、黒崎は全裸のまま、壊れんばかりに強くハグした。
濡れた2人の肌が密着し、鼓膜の向こうで海の咆哮が鳴り響いていた。
彼女はそのまま桟橋の先端まで行くと、重力など存在しないかのような優雅なフォームで、鏡のような海面へと吸い込まれていった。
黒崎は吸い寄せられるように後を追った。
リビングの隅に、埃を被った古い水中マスクを見つけ、それを掴む。
桟橋に立った時、自分が着ていた服が事故でボロボロであること、そして替えの服はおろか、水着もないことに気づいた。
「誰もいない。……裸でいっか」
彼は汚れた服を脱ぎ捨て、全裸になった。
鼓膜の痛みはあるが、奇跡的に四肢は動く。
学生時代、水球部のキャプテンを務め、また、夏休み中にはライフセーバーとして鳴らした自信が彼を突き動かした。
(あんな華奢な女の泳ぎに、追いつけないはずがない)
海へ飛び込み、サラを追う。だが、黒崎の傲慢さは数分で打ち砕かれた。
サラの泳ぎは「速い」という次元を超えていた。
水の抵抗を全く受けていないかのように、彼女の白い肢体はみるみるうちに遠ざかっていく。
マスクを肩にかけ15分ほど泳いだ時、はるか前方にサラの白い尻と、しなやかな脚が天を突くのが見えた。
「ジャックナイフ……! 潜るのか?」
黒崎は慌てて汚いマスクを装着し、海中に顔を沈めた。
そこには、人間の限界を超えた「潜行」があった。
サラは一切の無駄を削ぎ落としたストリームラインを保ち、深淵へと吸い込まれていく。
彼女が蹴り出す水流が、青い空間に銀色の道を作る。
30メートル、40メートル……視界は澄み渡り、海底まで見通せるが、その底はあまりにも遠い。
「深い‥深すぎる‥」
突然、サラの姿が消えた。
「……! あの横穴に入ったのか?」
海底の岩棚にある、
小さな暗がりのトンネル。
黒崎は水面にうつ伏せに浮きながら、その入口を凝視した。
1分、……。
一向に出てくる気配がない。
肺が焼けるような苦しさに襲われ、黒崎が顔をあげようとしたその時、視界のはるか左方向、当初の予想とは全く異なる深い海の底から、ゆらりと「白い影」が現れた。
水中トンネルを抜け、別の出口から出てきたのだ。
「あの深さで、あの距離‥信じられん‥」
浮上は一転して、雪が舞うようなゆったりとした動きだった。
肺の中の空気が膨張し、彼女を天へと押し上げる。
黒崎は彼女の浮上点を見定め、水面で待ち構えた。
彼女が真下から上がってくる。
もうすぐ水面というところで、彼女は顔を上げなかった。
「……っ!?」
海面下、突然、熱い感覚が黒崎の股間に触れた。
サラは水面に顔を出すよりも先に、黒崎の、本人も気づかぬうちに硬りきっていた「ブツ」を、温かい口内へと招き入れたのだ。
波に揺られながら、黒崎は全身を走る衝撃に震えた。
自分を死から救い出した、人魚の唇。
黒崎はたまらず、潜水から戻ったばかりの彼女の細い両脇を掴み、力任せに海面へと引き上げた。
「サラ……!」
水飛沫を上げて現れたサラを、黒崎は全裸のまま、壊れんばかりに強くハグした。
濡れた2人の肌が密着し、鼓膜の向こうで海の咆哮が鳴り響いていた。
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