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【外伝】Episode-ゼロ 真珠の起源 第2章 沈没からの逆襲
2-3.デッドライン・オーシャン
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診察を終えた黒崎が待合室に戻ると、ヘンリーが血相を変えてノートPCの画面を指差した。
「黒崎さん、さっき送った出生証明と免許証のデータ、総領事館のサーバーには届いています。でも、あまりに重大な案件すぎて、あっちの法務部門がパニックになってる! 本人確認の最終認証が降りるまで、あと3時間はかかる。それまで、黒崎さんは『公式には幽霊』のままだ!」
追い打ちをかけるように、画面上のブラックドッグ社のサーバーが悲鳴を上げる。
「うわーっ、黒崎さん、このままだとブラックドッグ社が死にます! サーバーユニットが1時間ごとに1つ、遠隔操作でシャットダウンされてる。」
「なんだって!?」
思わず立ち上がる黒崎。
「えーっと犯人は‥‥えー、『ホワイトキャット』!これは、あなたの死を確信した内部の裏切り者が、あらかじめ仕込んでいた乗っ取りプログラムが暴れてるんだ。あいつら、偽装したつもりでしょうが、僕の前では丸裸ですよ」
画面上では、漆黒の背景に白い猫のアイコンが嘲笑うように点滅していた。
「あと19時間で全24ユニットが沈黙し、会社は消滅。資産はすべてホワイトキャットに飲み込まれる。……解除するには、海底にあるあなたのPCのルート鍵による物理認証が不可欠です」
すぐさまヘンリーが機体設計図と座標を照らし合わせ、断言する。
「そのスーツケースは水深75メートルの海底、機体の後部座席付近にあるはずだ。……だけど、ぼくの水中ドローンじゃ出力不足で10キロの重量物は引き上げられない。今からダイバーを呼んでも間に合わない。もう、打つ手がない……!」
絶望が場を支配しようとしたその時、サラが静かに立ち上がった。
「私がいくわ。一度潜って場所もわかってる。私ならできる」
「75メートルだぞ、正気か!」
黒崎が叫ぶが、それを遮るようにジャン医師が立ち上がった。彼は古い真鍮の鍵を黒崎の手に押し付けた。
「私のモーターボートを使いなさい。操縦は黒崎さんあんたがやるんだ。サラが道を教える。現場に到着するまでの30分、ヘンリーは水中ドローンを徹底的に調整して、着いた瞬間に潜れるようにしておくんだ。……急げ! 時間が命だ」
運河のボートが咆哮を上げ、黒崎の操縦で外海へと躍り出た。
サラが船首に立ち、「あっちよ!」と波の向こうを指差す。
その後ろでヘンリーは、激しく揺れる甲板に膝をつき、光ファイバーを繋ぎ、ジャイロセンサーを同期させていた。
現場に海域に到達し、ヘンリーがドローンを水中に投入する。
数分後、モニターに映し出されたのは、泥に埋もれた機体の残骸と、その裂け目に挟まったカーボン製のケースだった。
「……いた! 本当にあったぞ!」
彼女は迷うことなく、纏っていた一切の衣類を解き放った。
白日の下に晒されたその肢体は、極限まで無駄を削ぎ落とした野生の造形美だった。
潮風を受け、豊かな胸が誇らしげに膨らみ、引き締まった腹部から続く鼠径部には、黄金色の柔毛が密生している。
その一房一房が島の熱い風に煽られ、彼女の生命力の証として妖しく、生々しく揺れていた。
サラは大きく一息つくと、弓なりに身体を反らせ、音もなく深淵へと滑り込んだ。
やがて、水中ドローンのモニターが、信じがたい光景を映し出す。
サラが潜ってきたのだ。
全裸の彼女は、凄まじい水圧によって胸も腹も平たく押し潰されながら、強靭な大腿筋をうねらせて降下していく。
股間の柔毛が上昇する気泡と水流に激しくなびき、真珠のような白い肌が闇の中で青白く発光している。
水深75メートル。
彼女は機体の残骸に足をかけ、10キロの重量があるケースを鷲掴みにした。
そこからが凄絶だった。膨張しようとする肺を腹筋で押さえつけ、両足をプロペラの如く交互に蹴り上げる。
重力と水圧を力でねじ伏せ、彼女は一条の銀光となって急浮上した。
数分後、サラが生還する。
「はあぁっ、はあぁっ……!」
海面を割り、甲板に這い上がった彼女の身体からは蒸気が立ち上っていた。
濡れて肌に張り付いた金色の柔毛が、激しい呼吸に合わせて刻動し、股間を伝う海水が陽光に輝いている。
黒崎はその神々しいまでの裸身を、畏怖と共に凝視した。
しかし、黒崎がPCを覗き込んだ瞬間、その表情が凍りついた。
筐体は歪み、端子は海水に侵され、電源ランプすら灯らない。
「黒崎さん、さっき送った出生証明と免許証のデータ、総領事館のサーバーには届いています。でも、あまりに重大な案件すぎて、あっちの法務部門がパニックになってる! 本人確認の最終認証が降りるまで、あと3時間はかかる。それまで、黒崎さんは『公式には幽霊』のままだ!」
追い打ちをかけるように、画面上のブラックドッグ社のサーバーが悲鳴を上げる。
「うわーっ、黒崎さん、このままだとブラックドッグ社が死にます! サーバーユニットが1時間ごとに1つ、遠隔操作でシャットダウンされてる。」
「なんだって!?」
思わず立ち上がる黒崎。
「えーっと犯人は‥‥えー、『ホワイトキャット』!これは、あなたの死を確信した内部の裏切り者が、あらかじめ仕込んでいた乗っ取りプログラムが暴れてるんだ。あいつら、偽装したつもりでしょうが、僕の前では丸裸ですよ」
画面上では、漆黒の背景に白い猫のアイコンが嘲笑うように点滅していた。
「あと19時間で全24ユニットが沈黙し、会社は消滅。資産はすべてホワイトキャットに飲み込まれる。……解除するには、海底にあるあなたのPCのルート鍵による物理認証が不可欠です」
すぐさまヘンリーが機体設計図と座標を照らし合わせ、断言する。
「そのスーツケースは水深75メートルの海底、機体の後部座席付近にあるはずだ。……だけど、ぼくの水中ドローンじゃ出力不足で10キロの重量物は引き上げられない。今からダイバーを呼んでも間に合わない。もう、打つ手がない……!」
絶望が場を支配しようとしたその時、サラが静かに立ち上がった。
「私がいくわ。一度潜って場所もわかってる。私ならできる」
「75メートルだぞ、正気か!」
黒崎が叫ぶが、それを遮るようにジャン医師が立ち上がった。彼は古い真鍮の鍵を黒崎の手に押し付けた。
「私のモーターボートを使いなさい。操縦は黒崎さんあんたがやるんだ。サラが道を教える。現場に到着するまでの30分、ヘンリーは水中ドローンを徹底的に調整して、着いた瞬間に潜れるようにしておくんだ。……急げ! 時間が命だ」
運河のボートが咆哮を上げ、黒崎の操縦で外海へと躍り出た。
サラが船首に立ち、「あっちよ!」と波の向こうを指差す。
その後ろでヘンリーは、激しく揺れる甲板に膝をつき、光ファイバーを繋ぎ、ジャイロセンサーを同期させていた。
現場に海域に到達し、ヘンリーがドローンを水中に投入する。
数分後、モニターに映し出されたのは、泥に埋もれた機体の残骸と、その裂け目に挟まったカーボン製のケースだった。
「……いた! 本当にあったぞ!」
彼女は迷うことなく、纏っていた一切の衣類を解き放った。
白日の下に晒されたその肢体は、極限まで無駄を削ぎ落とした野生の造形美だった。
潮風を受け、豊かな胸が誇らしげに膨らみ、引き締まった腹部から続く鼠径部には、黄金色の柔毛が密生している。
その一房一房が島の熱い風に煽られ、彼女の生命力の証として妖しく、生々しく揺れていた。
サラは大きく一息つくと、弓なりに身体を反らせ、音もなく深淵へと滑り込んだ。
やがて、水中ドローンのモニターが、信じがたい光景を映し出す。
サラが潜ってきたのだ。
全裸の彼女は、凄まじい水圧によって胸も腹も平たく押し潰されながら、強靭な大腿筋をうねらせて降下していく。
股間の柔毛が上昇する気泡と水流に激しくなびき、真珠のような白い肌が闇の中で青白く発光している。
水深75メートル。
彼女は機体の残骸に足をかけ、10キロの重量があるケースを鷲掴みにした。
そこからが凄絶だった。膨張しようとする肺を腹筋で押さえつけ、両足をプロペラの如く交互に蹴り上げる。
重力と水圧を力でねじ伏せ、彼女は一条の銀光となって急浮上した。
数分後、サラが生還する。
「はあぁっ、はあぁっ……!」
海面を割り、甲板に這い上がった彼女の身体からは蒸気が立ち上っていた。
濡れて肌に張り付いた金色の柔毛が、激しい呼吸に合わせて刻動し、股間を伝う海水が陽光に輝いている。
黒崎はその神々しいまでの裸身を、畏怖と共に凝視した。
しかし、黒崎がPCを覗き込んだ瞬間、その表情が凍りついた。
筐体は歪み、端子は海水に侵され、電源ランプすら灯らない。
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