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【外伝】Episode-α 氷華の女王 第7章 最期の孤独
7-12.潮風と消えた銀の光
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数日後。 病室の窓から海を眺めていた黒崎のスマートフォンに、ヘンリーから一通の通知が届いた。
そこにあったのは、イワン・ヴォルコフが失脚したニュース記事のスクリーンショットと、ヘンリーが書き換えた「VANTABLACK」公式サイトの管理画面だった。
From: Henry 「例のウイルス、潜水艦の金庫をハックして、イワンが隠し持ってた裏金の半分を、勝手にサラの慈善団体に寄付しておきました。50億ドルには届かないけど、退院祝いにしては悪くないでしょ?
追伸:サラが特訓用の新しい重り(20kg)を買って、ニヤニヤしながらを待ってますよ。」
黒崎は小さく吹き出し、痛む胸を押さえながら窓を開けた。 潮風が、消毒液の匂いをかき消していく。
あのコバルトブルーの深淵で、自分を繋ぎ止めていたロープを断ち切った銀色の光。代々伝わるエパングルを迷いなく捨て、自分を光の射す場所へと引き揚げてくれた全裸の女神の姿が、今も網膜に焼き付いている。
家宝を失わせた代償は、これから一生をかけて返していくしかない。
水平線の彼方、南緯19度の空には、燃えるような一番星が瞬き始めていた。 それは、かつてオレゴンの霧雨の中で見た、あの欠けた青いマグカップのような、どこか不完全で、けれど何よりも愛おしい光を放っていた。
「……さて、退院したらまた地獄の特訓だな」
黒崎は独り言を呟き、不敵に口角を上げた。 海の女王たちが待つアール島へ、彼が帰還する日はもうすぐだった。
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『Episode-α 氷華の女王』も、これにて全話完結です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!
そして、残るはいよいよ本編のクライマックスのみとなりました。
2/28(土)20:00。
サラたちが辿り着く結末を、その目で見届けてください。
運命の最終回まで、あと2日。
最後まで、どうぞよろしくお願いいたします!
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そこにあったのは、イワン・ヴォルコフが失脚したニュース記事のスクリーンショットと、ヘンリーが書き換えた「VANTABLACK」公式サイトの管理画面だった。
From: Henry 「例のウイルス、潜水艦の金庫をハックして、イワンが隠し持ってた裏金の半分を、勝手にサラの慈善団体に寄付しておきました。50億ドルには届かないけど、退院祝いにしては悪くないでしょ?
追伸:サラが特訓用の新しい重り(20kg)を買って、ニヤニヤしながらを待ってますよ。」
黒崎は小さく吹き出し、痛む胸を押さえながら窓を開けた。 潮風が、消毒液の匂いをかき消していく。
あのコバルトブルーの深淵で、自分を繋ぎ止めていたロープを断ち切った銀色の光。代々伝わるエパングルを迷いなく捨て、自分を光の射す場所へと引き揚げてくれた全裸の女神の姿が、今も網膜に焼き付いている。
家宝を失わせた代償は、これから一生をかけて返していくしかない。
水平線の彼方、南緯19度の空には、燃えるような一番星が瞬き始めていた。 それは、かつてオレゴンの霧雨の中で見た、あの欠けた青いマグカップのような、どこか不完全で、けれど何よりも愛おしい光を放っていた。
「……さて、退院したらまた地獄の特訓だな」
黒崎は独り言を呟き、不敵に口角を上げた。 海の女王たちが待つアール島へ、彼が帰還する日はもうすぐだった。
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『Episode-α 氷華の女王』も、これにて全話完結です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!
そして、残るはいよいよ本編のクライマックスのみとなりました。
2/28(土)20:00。
サラたちが辿り着く結末を、その目で見届けてください。
運命の最終回まで、あと2日。
最後まで、どうぞよろしくお願いいたします!
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