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明けの朝②
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「ち、違います! そういうわけでは」
疑われたままでは困る。
顔を真っ赤にしていただろうが、あわあわと手を振り、金香はどもりつつであったが説明した。
昨日、実家に戻ったこと。
父親に新しい奥様ができることになったということ。
それを大変ショックに感じてしまったこと。
そして、そこから抱いた不安を解消してくれるべく、一晩傍に居てくださったのだと。
すべてを聞き、「なんだ……」と志樹は『安心した』という様子で肩の力を抜いた。
そして助言してくれる。
「服を洗って、湯あみをしたほうがいい。それでは下女やなんかに誤解されるから」
「は、はい……すみません」
「いや、僕こそ悪かったね。良くない勘繰りをした」
「いえ、……ありがとうございます」
俯いたまま、金香は感謝の言葉を述べるしかない。
志樹に指摘されなければ、言われたとおり、下女や下男にあらぬ誤解を招いただろう。
ひとの口に戸は立てられない。いくら良いひとたちだとはいっても、こういうたぐいのことである。誤解され、噂され、言いふらされでもしたらたまらない。
たとえ以前、珠子に言われたように、内弟子として同じ家屋で過ごすことになった時点で、そういう心づもりなのだと思われていたとしても。
「ただ、麓乎のことは叱っておくよ。聞く限り、そもそもあいつのせいのようだからね」
「そんなことは、……ないのですけど」
「まぁそこは、気遣いの問題だから。あいつはそういう無頓着なところがある……」
そのあと志樹はぶつぶつと小さく文句を言い「では朝食の時間にね」と行ってしまった。
ぺこりとお辞儀をして後ろ姿を見守った、のは一瞬だった。金香は一目散に自室を目指す。
自分のこと以上に麓乎が結縁もせぬ女子に手を出したなど、誤解されることは耐え難かった。慕う師を、そして想うひとをそのように思われるなど。
最初に出会ったのが志樹だったのは幸いだったかもしれない、と思って、この事態もまだ救われそうだと思った。
普段は朝食のあとに洗濯をするのだけど、今朝ばかりは朝食に出るまでにこの浴衣を洗ってしまわなければ、と思う。
しかしそこで、せっかくついた想い人の香りを落としてしまうなど少々勿体ない、などと思ってしまい、また金香は自分の思考に恥じ入るのだった。
疑われたままでは困る。
顔を真っ赤にしていただろうが、あわあわと手を振り、金香はどもりつつであったが説明した。
昨日、実家に戻ったこと。
父親に新しい奥様ができることになったということ。
それを大変ショックに感じてしまったこと。
そして、そこから抱いた不安を解消してくれるべく、一晩傍に居てくださったのだと。
すべてを聞き、「なんだ……」と志樹は『安心した』という様子で肩の力を抜いた。
そして助言してくれる。
「服を洗って、湯あみをしたほうがいい。それでは下女やなんかに誤解されるから」
「は、はい……すみません」
「いや、僕こそ悪かったね。良くない勘繰りをした」
「いえ、……ありがとうございます」
俯いたまま、金香は感謝の言葉を述べるしかない。
志樹に指摘されなければ、言われたとおり、下女や下男にあらぬ誤解を招いただろう。
ひとの口に戸は立てられない。いくら良いひとたちだとはいっても、こういうたぐいのことである。誤解され、噂され、言いふらされでもしたらたまらない。
たとえ以前、珠子に言われたように、内弟子として同じ家屋で過ごすことになった時点で、そういう心づもりなのだと思われていたとしても。
「ただ、麓乎のことは叱っておくよ。聞く限り、そもそもあいつのせいのようだからね」
「そんなことは、……ないのですけど」
「まぁそこは、気遣いの問題だから。あいつはそういう無頓着なところがある……」
そのあと志樹はぶつぶつと小さく文句を言い「では朝食の時間にね」と行ってしまった。
ぺこりとお辞儀をして後ろ姿を見守った、のは一瞬だった。金香は一目散に自室を目指す。
自分のこと以上に麓乎が結縁もせぬ女子に手を出したなど、誤解されることは耐え難かった。慕う師を、そして想うひとをそのように思われるなど。
最初に出会ったのが志樹だったのは幸いだったかもしれない、と思って、この事態もまだ救われそうだと思った。
普段は朝食のあとに洗濯をするのだけど、今朝ばかりは朝食に出るまでにこの浴衣を洗ってしまわなければ、と思う。
しかしそこで、せっかくついた想い人の香りを落としてしまうなど少々勿体ない、などと思ってしまい、また金香は自分の思考に恥じ入るのだった。
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