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おにぎりは梅干し抜きで

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 翌朝、俺は何故かキッチンに立っていた。

 初めて使うキッチンが慣れているはずもない。

 手つきはおぼつかなかった。

 それでも作るものは簡単なものなのだ。

 米を炊いて、中身を入れて、握るだけ。

 とっても簡単。

 小学生でもできる。

 その小学生でもできる料理もできない成人男性は、リビングのソファに座って眠たげな目でタブレット端末を見ていた。

 大方、ニュースでも見ているんだろう、と俺は思ったし、そう気にもならなかった。

 だって一夜が明けた朝のことではあるが、あくまでも俺は売りとして本来の仕事をやっとしただけであるし、秋木は客である。

 寛いで当然だ。

 まぁ、この朝食サービスは売りの仕事ではまったくないが。

 そのうち朝食ができあがった。

 できあがった、というほど手はかかっていないが、それでもきちんと作ったものだ。

「秋木さん。できましたよ」

 俺はこれも新品の皿にそれらを乗せて、リビングに向かった。

 秋木はタブレット端末をテーブルに置いてしまって、俺を見る。

「ああ、ありがとう。お前も座れ」

 きっちりお礼を言われて、なんだかくすぐったくなった。

 今にはじまったことではないが。
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