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バレエとの出会い

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 しかしそれは完全に莉瀬のほしかったものではなかった。

 なんとなく想像していたとはいえ。

「大人のクラスがありますから、そちらへ入るのがいいでしょう。大きくなってからはじめた子もいますし、小学校高学年の子や中学生もたくさんいますよ」

 莉瀬は一瞬、ためらった。

 できるならなんでもいい、という弱気な思考が浮かんでしまったのだ。

 でもすぐに振りはらう。


 やりたいこと。

 目の前にあるかもしれないのに。


「みんなと同じがいいんです!」

「こら、莉瀬」

 勢いこんで言った莉瀬の肩に、お母さんが手をかけた。

 いさめられているのはわかったけれど、莉瀬は続けた。

「小さいころからやってないとダメっていうのはわかりました。でも、私、がんばります! たくさん練習しないといけないっていうなら、みんなよりいっぱい練習します!」

 けんめいに言ったけれど、バレエ教室の先生も困ったような顔になる。

 やはりそれは莉瀬にとっては不満だ。
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