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次回の発表会は……

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 なので、このときだけは大人クラスのひとたちの中に、混ぜてもらった。

 演じたのは『四季』という、森の一年を描いた大きな作品の中の、夏の草木の妖精の役。

 かわいい役だったけれど、立場としては少し不本意。

 でも文句は言わなかった。

 わがままを言う資格はないと思ったからだ。

 それでも初めての発表会。

 立てるだけで幸せだと思った。

 舞台の上から見た景色は、今でも忘れられない。

 客席は明かりを落としてあって、舞台だけが光に包まれている。

 その中を、舞うバレリーナは本当に妖精のよう。

 魔法にかけられたようだった。

 莉瀬はあっというまに終わってしまった自分の番のあと、決意した。


 いつかはこの大きな舞台に一人で立つんだ。


 本当は『プリマ』になりたい。

 プリマとは、『プリマ・バレリーナ』のことでバレリーナの最高ランクのことをさす。

 簡単にいえばその集団の中で一番うまいひとや、一番いい役のひとのことだ。

 有名な作品、『白鳥の湖』だったら『オデット』であるし、『眠れる森の美女』であれば『オーロラ姫』。

 役でいったらだいたいお姫さま。


 二回目の発表会で、なんてことはもちろん、無理だろう。

 自分はバレエを習いはじめたのが遅いという理由もある。

 はじめるときに、それは覚悟していた。


 プロのバレリーナになることは、自分にはきっと難しいのだろうと。
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