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発表会・配役発表

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「では、次にもう一曲の曲目を順番に発表していきます。まず、扇柳 凛さん。十条じゅうじょう 未来みくさん、…………『くるみ割り人形』より『あし笛の踊り』」

 呼ばれたのは凛と、まわりの仲のいい子、数人たちだった。

 わぁ、と嬉しそうな声が上がる。

『あし笛の踊り』はくるみ割り人形の中でも有名ではなやかな踊りなので、嬉しいに決まっている。

 それに仲のいい子同士で指名されたのだから。

 乙津先生は身長や実力だけでなく、多分みんなの仲のよさも考えて役を割りふっていると思う。

 それはそうかもしれない。

 仲のいい子たちが一緒のほうが、気持ちがひとつになるだろうから。

 次々に役が発表されていって、ついに莉瀬の名前が呼ばれた。

「白鳥 莉瀬さん。『リゼット』より『リゼットのバリエーション』」

 どんな曲なのかを理解するよりも、莉瀬はぽかんとしてしまった。

 だって呼ばれたのは莉瀬の名前だけだ。

 一人だけだ。


 ……一人で、踊れる、の?

 舞台の上で?

 一人で?

 舞台を一人占めして?
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