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ハヤブサはコースを駆け抜ける

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 熊ヶ谷スタジアムは電車で二十分くらい。

 そのあとは駅から歩いていける。

 立夏が笑ったのは、莉瀬が急に『いっしょに行く』と言った理由を知っているからだ。

 そして立夏の好きな奏太くんはまだ一年生なこともあってか、補欠での参加だから。

 なので今日、走るのかは実はわからないのであって。

 確実に見られるのは隼斗くんの走りであるということになる。


 着いたスタジアム。

 応援席にはひとがたくさんいた。

 莉瀬や立夏のような『友だち』である子も見られるけれど、家族らしき大人のひとも多かった。

 隼斗くんは地方予選と言っていたからそのためだろう。


 乙津先生もいらしてるのかな。


 莉瀬は思ったけれど見つけることはできなかった。

 着いたときはすでに開会式が終わっていて、競技がはじまっていた。

 いろんな種目があった。

 シンプルに走る短距離や中距離だけでなく、ハードル走や、棒高跳びなんてものまである。

 もともと体育が好きな莉瀬は、見ているだけでも楽しかった。


 そして聞いていたようにお昼前。

 短距離走がはじまった。

 隼斗くんは前に見たのとは違うユニフォームを着ていた。

 きっと隼斗くんの学校の、それも選手のものなのだろう。

 緑色と白のそれは、引きしまって爽やかな印象だ。

 隼斗くんの出番はすぐだった。

 スタジアムに出てきて、なにごとかあいさつや打ち合わせのようなものがあって……三番目に走るようだ。


 そして……莉瀬はあのときと同じ。

 隼斗くんの走る姿にみいられてしまった。
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