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ハヤブサはコースを駆け抜ける

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 心臓がどきどきしたのは、隼斗くんが走り終わってゴールを抜けてからのことだった。

 あまりに見入ってしまって、どきどきを感じる余裕すらなかった。

「あー、三位だね」

 立夏が言って、莉瀬は、はっとした。

 とまっていた心臓が動き出したように、いまさらどくどくっと早く打つ。


 なにか、夢を見ていたような気すらする。


 それほど集中してしまっていたようだ。

 応援しに行く、なんて言ったくせに、がんばって、と声を上げることすらできなかった。

 そんな自分が莉瀬は信じられなかった。

 これほどひとのことを魅力的に思ったことはなかったのだ。

 フィールドでは隼斗くんが、三位のフラッグのところへ歩いていくところだった。

 立夏が言ったとおり、一位は取れなかったようだ。

 でもやっぱり莉瀬にそんなことは関係なかった。

 だって、歩いていく隼斗くんは遠くから見ていても莉瀬にはわかった。


 なにかしら、満足する結果だったこと。

 タイムだったのか、フォームだったのかわからないけれど。

 それを感じられることが彼にとって一番大切なのだろうから。

 きっとこの大会は成功、なのだと思う。
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