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デートは冷たいアイスクリーム

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「私もそうだと思う。できなかったワザとか動きとかができるとすごく嬉しい」

「やっぱり? なにかに打ち込む、ってそういうことだよな」

 ごちそうさま、と隼斗くんはていねいに言った。

 それはやっぱり乙津先生にちょっと似ているのだった。

「また教えてくれよ。新しいことができたり、もっとうまくできるようになったりをさ」

 莉瀬はまた、どきんとしてしまったけれど、そう言ってもらえてやっぱり心が喜んでしまった。

 これはある意味、ええと……授業で習った。

 莉瀬は国語の授業を思い出そうとする。

 そしてひとつの単語を思い出した。

 『切磋琢磨せっさたくま』だ。

 同じ目標に向かって、競うようにうまくなることを目指すこと。

 どっちがもっと、もっと高みを目指せるか。

 やっていることは違っても、気持ちは同じ。

「そうすると、オレももっとがんばろう、って思えると思うんだ」

「私もきっと、そう思えると思う」

「お、嬉しいな。がんばろうぜ」

 なんだか仲間になったような気持ちになれて、莉瀬は満面の笑みを浮かべてうなずいていた。
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