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忘れ物

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 そのあとはリゼットのバリエーション。

 毎回緊張した。

 乙津先生に、少しでもうまくなったと思ってほしい。

 自主練習もしているのだから当たり前のようにそう願った。


 でも乙津先生はなかなかほめてくれなかった。

 ひとつクリアすればまたひとつ。

 次の注意が飛んでくる。

 莉瀬は、ぐっと心に来るのを我慢してそのアドバイスを取り入れて、次の自主練習で試してみるのだった。

 でもそれだけに、たまにほめられればそれこそ踊りたくなるほど嬉しくなってしまう。


 レッスン、レッスン、自主練習。

 次の週も、レッスン、レッスン、自主練習の日々。


 発表会は十月。

 直前には会場の広さのことを考えたりという時間もあるので、練習に集中できるのは実質一ヵ月くらいしかない。

 一回のレッスンだって無駄にできなかった。
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