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がんばる姿が好きだから

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 ちょっと赤い頬で言われたこと。

 莉瀬はぽかんとしてしまった。

 今度は違う意味で、なにを言われたのかわからない。


 とりあえず最初に頭に入ってきたのは『好き』だった。


 いったん空白になった心の中でなにか今度は熱いものがはじけた。

 かっと熱くなる。あたたかいどころではなかった。


 好き?

 私のことが?


 莉瀬の頬まできっと赤くなったろう。


「……うん。がんばる姿、きれいだから」


 もうひとつ、言いよどみながらでも言われた言葉に、莉瀬は、はっとした。


 そ、そっか、好きって、『がんばるところ』がだ。

 私のことが好きとかそういう意味じゃない。


 ……と、思ったのだけど。


 いや、そんなことないでしょ。


 冷静なのか、そうでないのか……もう一人の自分が頭の中で言った。

『がんばる姿』だって、莉瀬なのだ。

 莉瀬の一部分だ。

 そこを好きだと言ってくれたのだ。

 それだけでもとてもとても嬉しい。
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