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いじめっ子との言い合い

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 朱里が莉瀬の言葉に顔をしかめた。

 鋭い声を出す。

「なんですって!」

「調子に乗らないでよ」

 まわりの子たちも莉瀬をののしりはじめたときだった。

 違う声がその場に響いた。


「やめなさい!」

 朱里やまわりの子たちが、びくりとするのが見える。

 でもそれは莉瀬も同じだった。

 びくっとしてしまって、ばっと振り返った。

 そこにいたのは、愛美お姉さん。

 見たこともない、怖い顔をしている。

 怒っているのは明らかだった。

「この教室でけんかなんて許しません。……乙津先生に聞いてもらいます」

 一気に莉瀬の心が冷えた。

 愛美お姉さんの怒る様子もこわかったし、それに乙津先生に知られてしまうこと。

 きっとしかられる。

 もう、自分が悪くないなんてことは通用しないかもしれない。

 だって、自分も悪い言葉で朱里たちのことを言ってしまったのだから。

 悔やむ気持ちと、でもあんなことを言われたのだから、言われて当然だと思う心。

 どっちが強いのかもわからないうちに、朱里たちといっしょに乙津先生のところへ連行されてしまった莉瀬だった。
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