71 / 140
美久vsあかり
③
しおりを挟む
「幼馴染みよ。昔から知ってるの」
でもあかりの答えは違っていた。付き合ってはいないのだ。
ただ、美久はわかった。
あかりは快のことが好きなのだ。そしてそれはきっととても深い想いなのだろう。
片想いをしている相手の近くにほかの女の子がいるようになれば、おもしろく思わなくて当然。
その気持ちは美久にもわかる。
ただ……それなら美久に文句をつける理由にはならないだろう。
「でも今の快は誰かと付き合ったりしてる余裕はないの」
なのにあかりは続けた。もっともらしく聞こえる理由を。
それで美久が『あかりの片想いを優先させて、身を引く』と思ったのだろう。美久が引っ込み思案でおとなしい性格なくらい、もう同じクラスで長いのだからよく知られているし。
でもやっぱり。
ここで理不尽に負けたくない。
美久は思った。
見た目を変えたこと。
それは美久に勇気をくれることだった。
こんなことを言えば、恐れていたようにいじめられたり、殴られたりするかもしれない。
それでも、美久がためらったのは数秒だった。震えるくちびるを動かす。
心臓は冷えていたけれど、ここで逃げてしまったら後悔する。その確信が、美久を奮い立たせた。
「それは……」
絞り出した。あかりがちょっと眉を寄せる。
その瞳を見つめた。
もう、クリアに見えるようになった視界で。
まだ声は震えていたけれど、美久は言い放った。
「それは桐生さんじゃなくて、久保田くんが決めることだと思う!」
でもあかりの答えは違っていた。付き合ってはいないのだ。
ただ、美久はわかった。
あかりは快のことが好きなのだ。そしてそれはきっととても深い想いなのだろう。
片想いをしている相手の近くにほかの女の子がいるようになれば、おもしろく思わなくて当然。
その気持ちは美久にもわかる。
ただ……それなら美久に文句をつける理由にはならないだろう。
「でも今の快は誰かと付き合ったりしてる余裕はないの」
なのにあかりは続けた。もっともらしく聞こえる理由を。
それで美久が『あかりの片想いを優先させて、身を引く』と思ったのだろう。美久が引っ込み思案でおとなしい性格なくらい、もう同じクラスで長いのだからよく知られているし。
でもやっぱり。
ここで理不尽に負けたくない。
美久は思った。
見た目を変えたこと。
それは美久に勇気をくれることだった。
こんなことを言えば、恐れていたようにいじめられたり、殴られたりするかもしれない。
それでも、美久がためらったのは数秒だった。震えるくちびるを動かす。
心臓は冷えていたけれど、ここで逃げてしまったら後悔する。その確信が、美久を奮い立たせた。
「それは……」
絞り出した。あかりがちょっと眉を寄せる。
その瞳を見つめた。
もう、クリアに見えるようになった視界で。
まだ声は震えていたけれど、美久は言い放った。
「それは桐生さんじゃなくて、久保田くんが決めることだと思う!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
70
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる