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美久と留依

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 留依が選んだのは、留依の部屋だった。外でも良いと美久は言ったのだけど「誰がいるかわからないよ。聞かれると困るかもしれないでしょ」と留依が言ってくれたのだ。そういうところまで気を回してくれるのは留依のすごいところで、優しいところだと美久は思った。
 そんなわけで留依の部屋にお邪魔して、話した。
 起こったこと、全部だ。
「え、呼び出されたの? 桜木先生の呼び出しの場所を、嘘を言ってだまして?」
 まずはそこからはじまった。留依はその時点ですでに「なんてひきょうなの」と怒ってくれたのだけど、美久がどう対応したのかということを話すと目を丸くした。
 別に自慢したいわけではなく、話さなければ用具室に閉じ込められたことと話が繋がらなくなるからだったのだが。
「……へー……久保田くんのことについてねぇ……」

 あかりが『快に近づかないで』と言ったこと。

 『快は幼馴染だけど、今、余裕がないから誰かとは付き合えない』と言ったこと。

 そしてそれに対して美久が『それは久保田くんが決めること』と言ったこと。

 最後に、それが原因であかりが爆発して美久を用具室に閉じ込めたこと。

 快がその中にいたのは偶然であること。

 全部だ。

 留依は時々相づちを入れながら聞いてくれた。
 ひと段落したとき、感嘆したように言った。
「美久、強くなったねぇ」
 美久はそんな場合ではないと思いつつも、その言葉に嬉しくなってしまう。
 それは確かにその通りだと思うし、そういう行動を取れた自分のことはよくできた、と思うから。
 あかりにおびえて「ごめんなさい、ごめんなさい」なんて言った末に閉じ込められてしまったのは違うのだ。
 結局閉じ込められてしまったというが同じであろうとも、経緯がまったく違う。
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