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私の知らない貴方

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 外のあずまやのテーブルに二人で着いて、紅茶をお供にした昼下がり。

 フレイディの祖母は、ジェシカという名前だ。

 もう何十年も前、ちょうどアマリアくらいの年頃に、レノスブル家に嫁いできたのだという。

 その話をしてくれて、アマリアは興味深く聞いた。

 祖母ではあるが、外見的な特徴としては、あまりフレイディと一致していなかった。

 きっと白髪もあるだろうが、淡い金髪をしていて、目は緑。

 どうやらフレイディは黒髪をしている祖父からの血が濃かったようだ。

 ただ、顔立ちだけはフレイディと似たような印象があるので、祖母であるということはアマリアもすぐに納得した。

「フレイディ様だけでなく、おばあさま方にも良くしていただいて、私こそとても幸せです」

 アマリアは繊細な模様が入ったティーカップから熱い紅茶をいただきながら、笑みを浮かべた。

 お付き合いという気持ちがなくもないけれど、本心だ。

 もうすっかり秋。

 風も涼しくなってきていて、外のあずまやでのお茶もそろそろ季節的におしまいだろう。

「絵はどうかしら? 十日ほど前に見せていただいたけれど、あれから進んだかしら」

 話はアマリアの描く肖像画のことになっていった。

 アマリアは進捗具合や、どんな気持ちで描いているかなどを説明する。

 絵の話になれば、自然と声は弾んだ。

 それこそ若い娘らしく、饒舌になってしまう。

 そんなアマリアのことを、ジェシカはにこにこしながら見て、相槌を打ってくれた。
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