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私の知らない貴方

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 ふとそこへ、わん、わんっと大きな声がした。

 アマリアがそちらへ視線を向けると、レオンがこちらへ駆けてくるところだ。

 どうやら外で過ごしていて、お散歩中だったらしい。

「まぁ、レオンさん。今日もお元気ですのね」

 微笑ましく思って、アマリアは立ち上がった。

 ちらっとジェシカのほうを見る。

 ジェシカはにこにこしながら手を差し出してくれた。

 それに甘えて、アマリアはあずまやの入り口まで行く。

 レオンはあずまやの中に入れてはいけないことになっているので、アマリアのほうから近付いた形だ。

「ええ、良いお天気だからお散歩日和なのよ」

 そのあとからそう言いながらやってきた人物。

 アマリアは顔を上げて彼女を見て、笑顔になった。

「お義姉さま! いらしていたんですね」

 フレイディと同じ黒髪を艶やかに下ろして、ワンピース姿ではあるものの、シンプルかつ短めの丈で、活発な印象の格好をした女性は、アマリアにとって義理の姉になった存在。

 フレイディの実の姉・フィオナという。

 フレイディより三歳ほど年上で、既に近くの領へと嫁いでいった身である。

 だが家自体がそう離れていないので、事あるごとにレノスブル家の宮廷へ里帰りをしに来るのだ。

 よって、アマリアも出会う機会がそれなりにあり、もうだいぶ接するのにも慣れてきたといえる。
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