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雨の立ち往生

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 もう日も暮れて、普段なら夕食も終わっているような時間になりつつあった。

 このような時間に外にいるだけでも不安なのに、今は強い雨と、寒い気温と、今夜いられる場所がないかもしれないという心配まである。

 アマリアの表情も体も固くなっていた。

 その手をもう一度、フレイディが握ってくれた。

「大丈夫だ。なんとかなるさ」

 あたたかくて大きな手で、きゅっと握ってくれる。

 さっき握られたときより、何故だか強い安心が伝わってきた。

「そう、だと良いです」

 不安はなくならないが、少なくとも一人ではないのだ。

 フレイディがついていてくれる。

 御付きも護衛もいる。

 悪いようにはならないだろう。

「それに俺とて剣はいくらか習っているからね、万一の場合はそれでアマリアくらい守ってみせるさ」

 アマリアを勇気づけるように言って、笑みを向けてくれる。

 アマリアはまだ表情のこわばりは取れなかったけれど、なんとか笑みの形に頬を動かした。

「まぁ、そのような事態にはなってほしくないものですけど」
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