宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です！～次期伯爵公の溺愛戦略～

これからは、未来を見て

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　それでフレイディはアマリアに向き直り、花束を持っていないほうの手を差し出した。

「さぁ、行こうか」

　アマリアは少々ためらったが、手を伸ばした。

　その手を取る。

　フレイディはアマリアに微笑を向けて、すぐに前を向いた。

　迷うことなく、墓地の中へと踏み出す。

　そこで既に、アマリアはなんとなく感じていた。

　ここへ来た理由。

　お墓参りといった様子の理由。

　そして、誰がここに眠っているかも。

　フレイディはやはりつかつかと、しかし丁寧な歩き方で墓地を歩き、ひとつの墓石の前で立ち止まった。

　アマリアの想像通りの名前が刻まれた墓石であった。

「久しぶり」

　フレイディは静かに言った。

　アマリアの手を離して、一歩前に出る。

　墓石の前で小さく頭を下げて、しゃがんだ。

　花束を丁寧に置く。

　アマリアはそのうしろで見ているしかなかった。

　同じようにしたほうが良いかとも思ったが、許可が出たり、促されたりしてからのほうが良い気がする。

　よって静かにしていた。