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現実感って必要ですか?
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男児の手を取るとふっと意識が遠のく。
お前は俺。シンプルな意味だった。
自転車の運転を意識せずに角を曲がれる、ゲームのコントローラーを見ずに対戦が出来る。
そんなふうに男児が俺の感覚の延長になるのを感じた。
「さあ、これなら逃げられる。逃げる必要もないかもしれないけど」
目の前には先ほどの男児が未だにいるのにも関わらず、その台詞は空気の振動で耳を通して聴いている気がしなかった。
「不思議?」
男児は問いかけている。
しかし、理屈が通らないものを理解しようとしているせいか、まったく今起きていることが分からない。それ以上考えるなと脳が警告する。
それなら答えは聞いてみるしかない。
「不思議だとは思うし、なんか変なことが起きているとは分かった。でも、これで何か現状が変わるのか?足が速くなるとか」
特に何も自分自身に変化は感じない。
「君もあそこで闘う子と同じ力を得たのです。飛ぶことも出来ますし、怪獣を倒すこともできますよ」
男児はいたずらな微笑みを俺に向ける。
「冗談か......?」
そう口では言うもののこれだけファンタジーなことが起きているのだ。本当に出来るのかもしれない。いや、出来て欲しい。
握った拳を見つめるとなんだか出来る気がしてきた。
「そうそう、それが大事なこと。あらゆることを信じること。出来ないと思うことは出来ないけど、出来ると思えば出来ちゃうものさ」
例えば、この手を燃やすとか?
その瞬間手が火を吹き出す。
「わっ?!でも熱くない」
「都合よく出来ているんです。さあ、闘えますね」
「ああ......、ああ」
口角が上がっているのが自分でもわかる。男児のほうを振り向きうなづく。
すると、返事の代わりに何かが聴こえた気がした。
それと同時に男児が姿を朧げに消した。
視界から消えた程度、今更驚くことではない。
試したい。
「今助けに行く」
怪獣がいる方を見上げる。先から戦闘しているヒーローと思わしき者により一進一退を繰り返している。
怒号が最初は聞こえていたはずだが、今は止んでいる。疲労によるものだろうか。それなら尚更速く助けに行かないといけない。
飛ぼう。きっと出来るはずだから。
お前は俺。シンプルな意味だった。
自転車の運転を意識せずに角を曲がれる、ゲームのコントローラーを見ずに対戦が出来る。
そんなふうに男児が俺の感覚の延長になるのを感じた。
「さあ、これなら逃げられる。逃げる必要もないかもしれないけど」
目の前には先ほどの男児が未だにいるのにも関わらず、その台詞は空気の振動で耳を通して聴いている気がしなかった。
「不思議?」
男児は問いかけている。
しかし、理屈が通らないものを理解しようとしているせいか、まったく今起きていることが分からない。それ以上考えるなと脳が警告する。
それなら答えは聞いてみるしかない。
「不思議だとは思うし、なんか変なことが起きているとは分かった。でも、これで何か現状が変わるのか?足が速くなるとか」
特に何も自分自身に変化は感じない。
「君もあそこで闘う子と同じ力を得たのです。飛ぶことも出来ますし、怪獣を倒すこともできますよ」
男児はいたずらな微笑みを俺に向ける。
「冗談か......?」
そう口では言うもののこれだけファンタジーなことが起きているのだ。本当に出来るのかもしれない。いや、出来て欲しい。
握った拳を見つめるとなんだか出来る気がしてきた。
「そうそう、それが大事なこと。あらゆることを信じること。出来ないと思うことは出来ないけど、出来ると思えば出来ちゃうものさ」
例えば、この手を燃やすとか?
その瞬間手が火を吹き出す。
「わっ?!でも熱くない」
「都合よく出来ているんです。さあ、闘えますね」
「ああ......、ああ」
口角が上がっているのが自分でもわかる。男児のほうを振り向きうなづく。
すると、返事の代わりに何かが聴こえた気がした。
それと同時に男児が姿を朧げに消した。
視界から消えた程度、今更驚くことではない。
試したい。
「今助けに行く」
怪獣がいる方を見上げる。先から戦闘しているヒーローと思わしき者により一進一退を繰り返している。
怒号が最初は聞こえていたはずだが、今は止んでいる。疲労によるものだろうか。それなら尚更速く助けに行かないといけない。
飛ぼう。きっと出来るはずだから。
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