異世界移転したので魔法を使いまくりたい

佐藤 すみれ

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8.ちょっとお勉強

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 街が見えてきた。門をくぐるのもカードを見せれば簡単に入れたので、本当に電車の改札口みたいだなと思う。門番がいるけど。

「予定より早く着いたし、報告あるからギルドに行こうか」

「あぁ、わかった」

 街に入って安心したのか、ドッと疲れが押し寄せてきた。まだ報告が残ってるからしっかりしないと。

「余裕があれば一旦帰ってから後日に任務完了報告でもいいんだけど、今回はちょっと急がなきゃだからもう少し頑張ってね」

 ライラに疲れてるのバレてる。というか、余裕あれば落ち着いてから後日でもいいのか、それはいいな。あのグリーンウルフがでなきゃのんびり出来たのにな。グリーンウルフめ。

 ギルドに着いたらすぐに受付に行った。ライラずっと真面目な顔してるからもしかして、グリーンウルフがいたのって結構不味いんだろうか。

「ミーナ、処理お願い!!」

 ライラは受付でピンクの髪のミーナと呼ばれた女性に声をかける。あの人ミーナって言うのか。

「はーい、お任せください。今日のすぐに行ってきたんですね。お疲れ様でした。ん~、はい、大丈夫です」

 俺とライラで取ってきた薬草を受付に出す。ミーナさんはライラが渡した書類にハンコを押して確認をして報酬をくれた。結構簡単だな。

「あとちょっと報告があるんだけど、森にグリーンウルフがいたんだよね。本来ならいるはずない場所に。ちょっと、なんでいるのか調査した方が良いかも」

「わかりました。報告ありがとうございます」

 ライラの雰囲気からもっと詳しく報告するのかと思ったけど、割とあっさりと終わったな。ミーナさんは席を立って奥に行ってしまった。

「ん~、一応これでユーマの初冒険が無事に済んだね。セレナのところに帰るでしょ?私もついでに顔だそ~っと」

「すっごく疲れた。今日は早く寝たいかもぉ」


 セレナさんの家に戻る。ほっとしたのが体がずっしりと重くなった気がする。初めての冒険で気を張っていたんだな、俺。

「お帰りなさい。ケガはない?」

「ただいま。うん、ケガしてないよ」

「私が一緒なんですから大丈夫ですよ」

 ライラがおどけたように言う。セレナさんは苦笑いを浮かべていた。

「まぁ、大丈夫だったんだけど、ちょっと外の様子がおかしいからセレナはしばらく外でない方がいいね。ユーマも行くなら森の奥まで行かないで近くが良いと思うよ」

「何かあったの?」

 おどけた様子から真面目な顔になったライラにセレナさんが不安そうにする。ギルドでも報告したけど…と同じ説明をセレナさんにもした。

「そう、わかったわ。今日、薬草取ってきてくれてありがとう。しばらくは平気だと思う」

「それはそうと、セレナってば今日ユーマのために料理したの?めっちゃ良い匂いするんだけど、私も食べてってもいい?」

 帰ってきたらカレーの良いニオイしてたんだよな。お腹減ってきたな。セレナさん作ってくれたんだ嬉しい。

「いつ帰ってくるか、わからなかったから簡単にカレーだよ。仕方ない多く作ったしライラもどうぞ。」

 さっきまで冒険で森にいたのに今のんびり家でカレー食べてるの不思議だな。セレナさんの家から出にくくなっちゃうな。



 次の日、俺はまた冒険者ギルドに来ていた。昨日、ライラにギルドでは初心者に対して講習をやってることもあると聞いたからだ。受付に聞いたら良いんだろうか。

「こんにちは、本日はどうされましたか?」

「ギルドでは初心者向けに講習があるって聞いたんだけど、どんな講習があるんだ?」

 気を抜くと丁寧語になりそうになるので意識してタメ口で話す。受付の人にため口って違和感あるなぁ。

「受講希望ですね。冒険する上での基礎知識や体術や剣術など戦闘に必要な事も学べますよ」

「その戦闘に必要な事は魔法もあるのか?」

「もちろんありますよ。しかし専門家は居ませんので初歩的なものになります」

「構いません。魔法についての講習をお願いします」

 あ、やべ。口調戻っちゃった。しかも大きな声になっちゃったし、恥ずかしい。受付の人はちょっとびっくりした後ニコッと笑ってくれた。優しい。

 講習は魔法だけではなく、冒険についての基礎知識もお願いすることにした。魔法の講師はピンクの髪のミーナさんだった。

 ギルドの地下には訓練所があり、そこで講習をするようだ。てっきり机に向かって勉強するのかと思ったけど違うんだな。それが顔に出てたのか…

「冒険者の方は身体で覚えた方がいいみたいで、大体訓練所で講習会を開くことが多いですね」 

 なるほどね。みんな脳筋ってことか。俺、あまり脳筋じゃないから机に向かいたかったかも。

「それでは、魔法についてですが、ユーマさんどこまでご存知ですか?」

「えーと、俺は炎や水が出せるくらいで、詳しくはよくわかってない…です」

「わかりました。感覚で魔法を使われる天才タイプなんですね。すごいです」

 ミーナさん優しい。とりあえず褒めてくれる。

「そうですね。炎や水の魔法が使えるのなら、そんな難しくはないと思うんですが…基本的に魔法を使用する場合、魔力の他に想像力が必要になります」

 ミーナさんは訓練所にある的に向かって手を広げ、ファイヤーボールと言うと拳くらいの火が勢いよく当たった。

「この火は松明の炎をイメージして、速さは殴るくらいのスピードを意識しています。では、ユーマさんも同じようにイメージして魔法を使ってみてください」

 ミーナさんも、もしかして脳筋なのか!?説明がふわっとしてるし例えが殴るって…

「ユーマさん?」

「あ、はい。えーと松明の炎に殴るスピード…」

 可愛らしい人の脳筋具合にちょっと引きながらも教えてもらっているので集中する。

 手のひらに魔力を意識して。松明の炎、殴るスピード。松明の炎、殴るスピード…

「ファイヤ!!」

 冷蔵庫くらいの大きい炎が勢いよく的に飛んでいき当たった。的は炎上してゴウゴウと燃えている。

 松明の炎ってよく考えたら、見たことなくって学生時代のキャンプファイヤーを想像してしまった。
 そっとミーナさんを見たらすごく驚いた顔で叫んでいた。







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