孤島のリリア

無垢 れあ

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身の上の話なエピローグ

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吸い込んだ息と塩風が肺の奥まですぅっと通り抜けた。

青空とそれよりほんの少し濃い海だけが
少ない取得である孤島、
この初島ういじまは別名魔女の島。
至る所に魔女伝説が染み付き、それを証明するかのように
神秘的な自然や建造物が島のあちこちに散らばる。
この島の子供達は日曜日の朝のヒーローよりも先に
魔女伝説を聞いて憧れる。
そんなちょっと変わった島である。

始祖の魔女リリア。
この島に降り立った最初の魔女の名前とされている。
彼女の取り決めで魔女の中でも選ばれた者は
最終的にリリアの名を受け継ぐ資格を得る。
そしてその中から1人が選ばれ、
この島で自分の前任の魔女の手によって
魔力を預けられた橋渡し役からそれを譲り受ける。
その瞬間からその者は魔女リリアの名前を受け継ぐのだ。


リリアの名前を受け継いだ魔女は島を守り、その力が完全に適合する前に橋渡し役を見つけ、自分のリリアの名前と力を全てを預ける。
橋渡し役はリリアの名前にふさわしい魔女を見極め預かった力を繋ぐ。

そうやって始祖の魔女リリアはこの島を永遠に守ることにしたのだ。

この逸話は初島の中でも最も有名とされている話で、
初録麗麗亜伝しょろくれぃれぃあでんなんていう仰々しい名前と共に
言い伝えられているのだ。

だがまあこんな今の時代。
こんな言い伝えがまともに信じられるわけが無く、
一部の熱狂的な魔女支持者や魔女信者を除いて
お伽噺のようなものだと考えられていた。

子供達も中学校に上がる頃には、
「魔女なんているわけが無いじゃないか」
と口を揃えて言うようになった。

僕だって本気で信じていたわけじゃない。
ただ「本当に存在したらいいな」と思ってた。
しかし子供と言うのは残酷で、少数派マイノリティーは色々な標的になる。
自分とは違う者を除け者にして、集団が正しいと錯覚させる。
要はイジメや仲間外れと言ったものだ。
僕はそれらを体験する事になった。
きっかけは中学2年生の魔女についての地域学習時間、ドンピシャで魔女伝説にハマっていた僕は様々な小ネタやマニアックな話をクラスメイトにそれはもう話しまくった。思いのほかそれが皆にウケて一躍人気者になったのだった。
しかし、それを良く思わなかったのが普段から集団の輪の中心にいる者達だった。
些細な暴言や悪口。軽い暴力。そういった悪意が僕には向けられた。
メンタルは強い方だったし、腕っ節もそれなりに強かったので無視をしたりやり返したりと対して気にしてはいなかった。
しかし、これが幼なじみの久々利彩乃くくりあやのに飛び火した。
これが僕の逆鱗に触れた。
徹底的にやり返し、最後は主犯の男女数人に骨折をさせるまでに暴力を振るった。
完全な過剰防衛だった。
この事件で咎められたのは主犯の彼らではなく僕だったのだ。
もちろん次の日からクラスでの居場所を失った。
わかりやすく皆に、教師を含め全員に避けられるようになった。
ましてや孤島である。
あっという間に僕の噂は広がり、居場所は消え去った。
中学3年になってもそれは変わらず、彩乃を含めた数人の友人を除き誰も僕と関わろうとしなった。

ある日の帰り道僕は島一番の大きな高台へ向かった。
空虚な心と無気力感から酷く死にたいと思ったのだった。
もちろんそんな勇気も度胸も無く、ただただ青い海を眺めていた。

「少年。何を見ているんだい?」
誰もいないはずの高台に一人、背の高い女性が立っていた。
「海。」
そう答えた僕の頭にそっと手を置いてゆっくりとその人は頭を撫でた。
誰にも向けられなかった優しさに嗚咽と涙が溢れた。
まるでその人は全てを見透かしているかのように優しく微笑み抱きしめてくれた。



その人は...魔女だった。
本当に僕を見透かして、優しさで救ってくれた。
名前を聞くと
「それは肩書きか本名のどっちを指しているかな?」
と一言。
「本名。」
何故かそう即答した僕に黒い髪をかきあげながらまたにっこりと微笑んだ。

その人は柊 燈火ひいらぎとうかと言った。
そしてその魔女は...


僕を橋渡し役に選んだのだった。




そして5年後の今。
僕、桜木蒼介さくらぎそうすけは次の魔女久遠真衣くおんまいと出会うのであった。


続く
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