転生女神は最愛の竜と甘い日々を過ごしたい

紅乃璃雨-こうの りう-

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第二十六話 二人きりの湖

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*お昼寝の後より竜姦あります。


 いつもと変わらずに目が覚めた私は、日課の水やりをするために庭へと向かう。扉を開けると夏らしい空気が肌を撫でた。

「んー…今日も暑そうだなぁ」

 じょうろに入れた水をいつもより多めに撒いていく。まあ水が少なかったところでしおれるような植物ではないけれど、なんとなく気持ち的に。

「ミーフェ」
「あ、グラン。おはよう」
「おはよう」

 全体に水を撒いてじょうろを片付けていたところで、グランが私を呼ぶ。ぎゅっと抱きしめると、朝の挨拶として口づけを落とされた。

「…ミーフェ、昨夜のことを覚えているか?」
「ん、昨夜…?えっと、一緒に行きたい場所があるっていう……」
「ああ。少し遠いが、あまり人が立ち入らない湖があると聞いてな。私はあまり分からないが、最近は暑くなってきたとフィーリやラースが言っていたし、君が良ければ少し涼みに行かないか?」
「湖かあ…」

 確かに最近は暑くなってきたから、涼みに行くのはいいかも。ソーニャちゃんたちと遊んだり泳いだりした海も楽しかったし、それに……グランと二人きりだ。

「…うん、行く」

 こうして、私とグランは少し遠いという湖に遊びに行くことになった。お腹が空いた時のために軽食を作り、湖で遊ぶこともあるかもしれないので水着と、もしもの時のための着替えを持って。

 *

 ミルスマギナにある永樹の森とは違う、少し離れたところにある森。グランの言う湖は、その森の奥深くに存在した。
 白と青の花が咲く地へ竜の姿になったグランがゆっくりと降り、私は彼の背から地面へと足をつける。

「すごい…きれいだし、なんだか幻想的だね」
「気に入ってもらえたならよかった。さて、私は水浴びをするが、ミーフェはどうする?」
「えっと、どうしようかな…。グラン、今日はずっと竜姿なんだよね?」
「そのつもりだ。こちらの姿でも君と触れ合いたいと思ってな」

 鼻先を寄せて私にすり寄るグランを撫でる。私は本来のグランだって人型のグランだって大好きだから、触れてもらえるのは嬉しい。
 うーん、水浴びをするグランと一緒なら、やっぱり水着がいいかな。

「んー、グランと一緒にいたいから水着に着替えるね」
「そうか。ではその場所を作るとしよう」

 そう言ってグランは近くの木に布を括り付けて広げ、簡単な着替え場所を作ってくれた。誰も見ていないとはいえ、少し恥ずかしかったからこれはとても助かる。
 器用にもきちんと布を張ってくれたグランに礼を言い、私は中で着替えることにした。

「ん……変なところとかないかな…」

 鏡がないのでくるくると回って、おかしなところはないか確認する。とりあえずは大丈夫そうだと判断し、私はとりあえずカーディガンを持ってすでに湖へ浸かっているグランのもとへ。

「お待たせ。湖、気持ちいい?」
「ああ。ミーフェもおいで」

 グランに頷いて、持っていたカーディガンを濡れないような位置において、湖に足をつける。ひんやりとしていて、海とはまた違った感触だ。

「ん、ちょっと冷たいけど気持ちいい。海とはまた違って良いね」
「そうだな。ああ、ミーフェ、私の方まで来ると深くなっているから気を付けて」
「うん」

 足が浸かるくらいの深さで止まって、鼻先を寄せてきたり尻尾を動かして甘えるようなグランと一緒に過ごす。そのうち珍しい鉱石や花が採取できると彼が言うので水中に潜ってみたりと、二人だけの時間を楽しむ。
 そして、小腹がすいてきたので私は湖から上がり、軽食の入った籠を二つ持って来て湖のふちに腰かけた。

「グラン、口開けて」
「ん……やはり君の作るものは美味いな」
「そう言ってもらえると嬉しい。今のグランには物足りないかもしれないけど、たくさん食べてね」

 人型と違って今のグランの体は大きいのに、人型の時と同じ量を作ってしまった私の馬鹿。慣れってこわいなぁ。

「ミーフェ、もう十分だよ。ご馳走様」
「もういいの?」
「ああ。そんなに空腹ではなかったからな」

 グランが食べたのは籠一つ分と少し。あまりお腹が空いてなかったと言う彼をじっと見つめて、本当かどうかを見極めてみる。うーん……よく分かんないから、彼の言うことを信じよう。
 私はもう一つの籠の中に残った軽食を食べながら、この後は何をしようかなぁ、と考えていた。

「ミーフェ、私は湖から出て少し休憩しようと思うが、君はどうする?」
「うーん…私も一緒に休憩しようかな。ちょっとだけ疲れちゃったし」

 ざぱあ、と湖から出たグランは、布をかけただけの簡易更衣室のすぐそばで体を丸めた。私は彼の後に続き、カーディガンを羽織ってから彼の柔らかな腹あたりに背中を預ける。

「っ、ミーフェ?」
「…だめ?」
「いや、駄目ではないが……休むのには向かないと…」
「木にもたれかかるよりは良いよ」
「…それは、そうだな」

 木に寄り掛かるよりは、と渋々ではあるが納得してくれたようだ。私はグランのぬくもりに身をゆだね、目を閉じると緩やかに睡魔が迫ってきた。
 それは耐え難いもので、私はすぐに眠りのふちへと落ちていった。

 *

 ふっと意識が浮上し、私は目を覚ます。もう少しぬくもりに擦り寄っていたいけど、あれからどのくらい時間が経ったのか確認しないと。
 いつの間にかグランも眠っていたようで、私は彼を起こさないように気を付けて傍を離れる。

「んー…お昼時を少し過ぎたくらいかな。とりあえず、グランを起こそう」

 気持ちよさそうに眠っているから起こすのは忍びないけど、せっかく二人きりなのだから眠ったままなのもさみしいし……。私はグランの頭付近に近づいて、控えめに声をかけることにした。

「…グランー?」
「ん……ミーフェ…?」

 控えめだったのに、彼の意識を浮上させるのには十分だったようだ。ゆっくりと目を開けて、そのきれいな青い瞳に私を映す。
 緩やかに体を起こし、鼻先を寄せてきて……べろりと私を舐めた。

「ひゃっ、グラン……っわ」

 舐められたことに驚いていると、そのまま鼻先で押され地面に仰向けで転がる。そうすると彼は私の上に覆いかぶさるような格好で舐めるのをやめ、私をじっと見つめて名前を呼ぶ。

「ミーフェ……」

 甘えるような切ない声は、グランが私としたい時の声だ。これは口づけや軽い接触の時もそうだけど、今はそれよりももっと深いことをしたい、という声だろう。
 彼の要求を断る理由はないので私は了承を示した。まあ、体格差がありすぎるので少しやり方を考える必要がありそうだけど……。


 *


 本来の姿である竜のグランとして、湖から帰った後の夜。

「……私は、やはりこちらの方がいい」

 グランがそう言いながら私を抱きしめる。もちろん、本来の姿ではなく人型のグランだ。
 何に対しての「こちらがいい」なのか分からず首をかしげると、彼は私の額に口づける。

「本来の姿でつながるのもいいが、君と同じ人型の方がなんの気負いもなく触れられる。だから、こちらの方がいい」
「ん、そっか。私はどっちのグランも好きだけど、人型のグランの方が抱きしめられるからいいかも…」
「そうか。まあ、今後はあちらの姿で繋がるつもりはないから、そう気にしなくていい」

 そう言ってグランは私を抱きしめなおす。今日は疲れただろうからもうおやすみ、と言われ、背を優しくたたかれる。そんなに眠くはなかったけど、グランにそうされると途端に眠気がやってくる。
 愛しい体温に包まれて、私はゆっくりと眠りへと落ちていった。


*10月21日、修正
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