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第二十五話 思い出と私
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優しくやわらかな笑みを浮かべる男性のもとへ生まれ落ちた思い出。
穏やかで幸福な日々を過ごした思い出。
真実を知り、怒りで復讐を行った日々。
そして、すべてを終わらせるために世界を滅ぼしてしまった、終焉の日。
いくつもの断片的な映像が泡のように浮かんでは消えていく。その内の一つに触れると、それが流れ込んできた。
「ああ…君に任せることになってしまうね。ごめんね」
「いいえノアド様、まだ平気です。適切な処置を施せば、ノアド様は…マスターは」
「だめだ。それじゃあだめだよ。僕の治療をしていたらあの子を、リリアを止められなくなってしまう。君にもそれはわかっているはずだよね?」
まだ目覚めたばかりのリリアは、力を蓄えている状態だ。時間が経てば経つほど状況はリリア優勢になってしまう。それはわかっていた。でも、私にとっては。
「――、僕の愛しいもう一人の娘。僕のお願いを、聞いてくれるかい?」
やわらかな笑みを浮かべるノアド様に頷く。これは大事なお願いで、きっと最後のお願いだから。
「どうかあの子を、リリアを止めてほしい。これ以上、あの子が罪を重ねないように……たとえ」
たとえ、世界が滅んでしまうことになっても。
ノアド様のお願いを、私は命令として受け取ることにした。そうしないと、あの人のお願いを叶えられないから。
そして私は。
*
海底遺跡から無事に帰ってきたその日から、私はずっと夢を見ている。泡のように浮かぶそれに触れて、忘れてしまっている記憶を思い出していた。
それは、私にとって大切な思い出で、でも……。
「あの人への親愛もあるし、大切な思い出ではあるんだけど……やっぱり思い出なんだよね」
最初は懐かしさのようなものも感じていたけれど、今となっては思い出以上に感じることはない。それは、過去の私であって今の私ではないからだろうと思う。
今の私にとって大切なのは、グランや友人たちだから。
「よし、とりあえずソーニャちゃんに頼まれた調合薬でも作ろうかな」
これ以上考えていても仕方ないし、と私は気持ちを切り替えるために調合釜に向かう。
たしか、ソーニャちゃんに頼まれていたのは鎮痛薬だから……。
「これと、これと……青夢草を入れてっと」
釜の状態と、調合の方法が書かれている本を見比べ、慎重にかき混ぜていく。鎮痛薬はそれほど難しい調合ではないけれど、愛の秘薬を作った時のような事が起こらないとも限らない。
しばらくかき混ぜて、本の通りの色になったので、これで完成だろう。
「ん、よし。後は瓶に…」
「ほー、中々さまになってるな」
「ひゃわっ?!」
急に後ろから声が聞こえて、危うく瓶を落としそうになった。危ない、調合薬を入れる瓶だって安くないのに割ってしまうところだった。
「もー、急に声をかけられたらびっくりするでしょ、ゼン」
「悪い悪い。まさか入ってきたのに気づかないとは思ってなくてな」
悪かった、と謝罪をするゼンに私もそれ以上のことを言うのをやめる。まあ、気づかなかったにも非はあるし。
ひとまず調合薬を瓶に入れてから、私は彼が訪ねてきた理由を聞くことにする。
「それで、今日はどうしたの?」
「どうって、お前が見る夢について調査が終わったから来たんだが。すっかり忘れてたな?」
「いや、忘れてはないよ?あんまり気にしなくていいかなぁって思ってて」
私の言葉を聞いて、ゼンは少し悩むように唸る。私が気にしなくてもいいと言ったから、伝えるかどうかを悩んでいるようだ。
だが、彼はすぐに首を横に振って、真剣な目を私に向ける。
「この件について、お前は知っておいた方がいいだろう。長くなるから、座って話をしたい」
「ん、分かった」
話が長くなるならお茶やお菓子が必要だろうと思い、私は常備してあるクッキーやビスケットを器に入れてから、置いてある机の上に置いて、椅子に座る。
ゼンは私の対面に座り、まずクッキーをいくつか食べてから話を始めた。
「俺が以前、この世界は幾つもの世界が混ざり合っているという話をしたのを覚えているか?」
「うん。この世界が消滅しちゃうと大変なことになるんだよね」
「ああ。俺が今からする話は、その混ざり合っているという部分が関係している」
用意した紅茶を飲み、ビスケットに手を伸ばして一息入れ、彼は続きを話す。
「結論から言えば、お前が女神として生まれる前の世界がこの世界と混じっている。これが普通の人間であれば影響が出ることもなかっただろうが、お前は女神でそのうえ特殊な生まれだ。本来なら何も起こりえなかったが、うまい具合に作用して夢という形で現れたんだろうな」
「……えっと、でも、私は夢を見るような記憶はないって」
「お前が覚えていなくとも、世界が覚えているんだ。お前という存在の記録を、世界が見せたのだろうな」
「………んん?なんか、よく分からなくなってきた…」
ゼンの話を分からないなりにまとめてみる。
この世界は私の前世の世界と混ざっていて、私は前の世界からこの世界に転生したから、混ざっている世界の影響を受けて、前の世界で過ごした世界の記録を夢で見た、ということかな。
うーん、やっぱりなんかごちゃごちゃしてる……。
「完全に理解できなくとも、ここに生まれる前の記憶を夢で見ると思っておけばいい。そのうち、お前に与える影響も少なくなって、夢を見ることもなくなるだろう」
「…そっか。うん、とりあえずありがとう。ちょっとすっきりした」
「そうか。それならいいが、あれからなにかあったりしたか?」
ゼンの問いに、私はふと海底遺跡のことが思い浮かんだ。あの時の疑問に対する答えを、彼は示してくれるだろうか。
「何かあったっていうほどじゃないけど、少し前に海底遺跡に行ってね。その遺跡が、なんだか見覚えのあるような外観だったの。中の仕掛けっていうのかな、それにも少し見覚えがあるような気がして…」
「ああ、それも世界が混ざっている影響の一つだ」
「色んな所に影響されてるんだね……。そういうものなの?」
「そういうものだ」
ゼンが言うのならそういうものなんだろう。それ以上深く聞く気もないし、それでよしとしておこう。
ひょい、と彼が最後のクッキーを食べ、淹れた紅茶もなくなってしまった。
「さて、菓子もなくなったことだし帰るとするか。もし何かあったのなら、ここに来ると良い」
立ち上がったゼンが私に差し出してきたのは紙の切れ端と小瓶だ。切れ端を見ればどこかの区画の番号が書いてあり、小瓶には半透明でやや桃色がかった液体が入っている。
「これ、ゼンの住んでるところ?」
「おう。そういえばお前は知らなかったと思ってな。そっちの小瓶は、ちょっと所用で手に入れた媚薬だ」
「ん、え?!び、媚薬って…!」
「友人に貰ったんだが俺は使わないし、それなら使いそうなところにやろうかと。そして、なんとこの媚薬は生命であるのならどんなものでも効く優れものだ」
「…ど、どんなものでも…?」
頷くゼンに、私はじっと小瓶を見つめる。どんなものでも効くということは、グランにも効くのでは。
調整しながら私が調合するしかないと思っていたけど……これは……。
「どんな存在でも効くぞ。使うか使わないかは自由だが、俺は責任取らんからな。じゃ」
「あ、えっと、色々と調べてくれてありがとう」
出ていこうとする背にそう礼を言えば、彼は片手を上げてひらひらと振り、そのまま去っていった。
ゼンと話したおかげか、なんだか心が軽くなった気がする。気にしていないつもりでも、やっぱり気になっていたのかもしれない。
器やカップを片付け、私はじっと小瓶を見つめてからいつもの収納空間へと入れる。急に手に入ってしまってもまだ心の準備とかがあるので。
その夜はいつもと変わらず彼の愛を受け止めて、眠りに落ちるまでゆったりと話をしていた。
ちょっとうとうとしてきた頃に、グランは私の手をきゅっと優しく握る。
「ん……グラン…?」
「ミーフェ。明日、一緒に来てほしい場所があるんだが…」
「あした…」
寝落ちしそうな意識で明日のことを考える。誰かが訪ねてくる予定もないし、依頼されて作った調合薬は今日のうちに渡したし、予定はない」
「うん…行く、だいじょうぶだから……」
「そうか。すまない、眠い時に聞いてしまったな。また朝にきちんと話そう」
「……ん」
ちゅ、と口づけをされ、優しく頭を撫でられる。心地よい感覚のまま沈んでいき、私は眠りへと落ちていった。
一緒に来てほしい場所ってどこなんだろうなぁ、と考えながら。
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「――、僕の愛しいもう一人の娘。僕のお願いを、聞いてくれるかい?」
やわらかな笑みを浮かべるノアド様に頷く。これは大事なお願いで、きっと最後のお願いだから。
「どうかあの子を、リリアを止めてほしい。これ以上、あの子が罪を重ねないように……たとえ」
たとえ、世界が滅んでしまうことになっても。
ノアド様のお願いを、私は命令として受け取ることにした。そうしないと、あの人のお願いを叶えられないから。
そして私は。
*
海底遺跡から無事に帰ってきたその日から、私はずっと夢を見ている。泡のように浮かぶそれに触れて、忘れてしまっている記憶を思い出していた。
それは、私にとって大切な思い出で、でも……。
「あの人への親愛もあるし、大切な思い出ではあるんだけど……やっぱり思い出なんだよね」
最初は懐かしさのようなものも感じていたけれど、今となっては思い出以上に感じることはない。それは、過去の私であって今の私ではないからだろうと思う。
今の私にとって大切なのは、グランや友人たちだから。
「よし、とりあえずソーニャちゃんに頼まれた調合薬でも作ろうかな」
これ以上考えていても仕方ないし、と私は気持ちを切り替えるために調合釜に向かう。
たしか、ソーニャちゃんに頼まれていたのは鎮痛薬だから……。
「これと、これと……青夢草を入れてっと」
釜の状態と、調合の方法が書かれている本を見比べ、慎重にかき混ぜていく。鎮痛薬はそれほど難しい調合ではないけれど、愛の秘薬を作った時のような事が起こらないとも限らない。
しばらくかき混ぜて、本の通りの色になったので、これで完成だろう。
「ん、よし。後は瓶に…」
「ほー、中々さまになってるな」
「ひゃわっ?!」
急に後ろから声が聞こえて、危うく瓶を落としそうになった。危ない、調合薬を入れる瓶だって安くないのに割ってしまうところだった。
「もー、急に声をかけられたらびっくりするでしょ、ゼン」
「悪い悪い。まさか入ってきたのに気づかないとは思ってなくてな」
悪かった、と謝罪をするゼンに私もそれ以上のことを言うのをやめる。まあ、気づかなかったにも非はあるし。
ひとまず調合薬を瓶に入れてから、私は彼が訪ねてきた理由を聞くことにする。
「それで、今日はどうしたの?」
「どうって、お前が見る夢について調査が終わったから来たんだが。すっかり忘れてたな?」
「いや、忘れてはないよ?あんまり気にしなくていいかなぁって思ってて」
私の言葉を聞いて、ゼンは少し悩むように唸る。私が気にしなくてもいいと言ったから、伝えるかどうかを悩んでいるようだ。
だが、彼はすぐに首を横に振って、真剣な目を私に向ける。
「この件について、お前は知っておいた方がいいだろう。長くなるから、座って話をしたい」
「ん、分かった」
話が長くなるならお茶やお菓子が必要だろうと思い、私は常備してあるクッキーやビスケットを器に入れてから、置いてある机の上に置いて、椅子に座る。
ゼンは私の対面に座り、まずクッキーをいくつか食べてから話を始めた。
「俺が以前、この世界は幾つもの世界が混ざり合っているという話をしたのを覚えているか?」
「うん。この世界が消滅しちゃうと大変なことになるんだよね」
「ああ。俺が今からする話は、その混ざり合っているという部分が関係している」
用意した紅茶を飲み、ビスケットに手を伸ばして一息入れ、彼は続きを話す。
「結論から言えば、お前が女神として生まれる前の世界がこの世界と混じっている。これが普通の人間であれば影響が出ることもなかっただろうが、お前は女神でそのうえ特殊な生まれだ。本来なら何も起こりえなかったが、うまい具合に作用して夢という形で現れたんだろうな」
「……えっと、でも、私は夢を見るような記憶はないって」
「お前が覚えていなくとも、世界が覚えているんだ。お前という存在の記録を、世界が見せたのだろうな」
「………んん?なんか、よく分からなくなってきた…」
ゼンの話を分からないなりにまとめてみる。
この世界は私の前世の世界と混ざっていて、私は前の世界からこの世界に転生したから、混ざっている世界の影響を受けて、前の世界で過ごした世界の記録を夢で見た、ということかな。
うーん、やっぱりなんかごちゃごちゃしてる……。
「完全に理解できなくとも、ここに生まれる前の記憶を夢で見ると思っておけばいい。そのうち、お前に与える影響も少なくなって、夢を見ることもなくなるだろう」
「…そっか。うん、とりあえずありがとう。ちょっとすっきりした」
「そうか。それならいいが、あれからなにかあったりしたか?」
ゼンの問いに、私はふと海底遺跡のことが思い浮かんだ。あの時の疑問に対する答えを、彼は示してくれるだろうか。
「何かあったっていうほどじゃないけど、少し前に海底遺跡に行ってね。その遺跡が、なんだか見覚えのあるような外観だったの。中の仕掛けっていうのかな、それにも少し見覚えがあるような気がして…」
「ああ、それも世界が混ざっている影響の一つだ」
「色んな所に影響されてるんだね……。そういうものなの?」
「そういうものだ」
ゼンが言うのならそういうものなんだろう。それ以上深く聞く気もないし、それでよしとしておこう。
ひょい、と彼が最後のクッキーを食べ、淹れた紅茶もなくなってしまった。
「さて、菓子もなくなったことだし帰るとするか。もし何かあったのなら、ここに来ると良い」
立ち上がったゼンが私に差し出してきたのは紙の切れ端と小瓶だ。切れ端を見ればどこかの区画の番号が書いてあり、小瓶には半透明でやや桃色がかった液体が入っている。
「これ、ゼンの住んでるところ?」
「おう。そういえばお前は知らなかったと思ってな。そっちの小瓶は、ちょっと所用で手に入れた媚薬だ」
「ん、え?!び、媚薬って…!」
「友人に貰ったんだが俺は使わないし、それなら使いそうなところにやろうかと。そして、なんとこの媚薬は生命であるのならどんなものでも効く優れものだ」
「…ど、どんなものでも…?」
頷くゼンに、私はじっと小瓶を見つめる。どんなものでも効くということは、グランにも効くのでは。
調整しながら私が調合するしかないと思っていたけど……これは……。
「どんな存在でも効くぞ。使うか使わないかは自由だが、俺は責任取らんからな。じゃ」
「あ、えっと、色々と調べてくれてありがとう」
出ていこうとする背にそう礼を言えば、彼は片手を上げてひらひらと振り、そのまま去っていった。
ゼンと話したおかげか、なんだか心が軽くなった気がする。気にしていないつもりでも、やっぱり気になっていたのかもしれない。
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その夜はいつもと変わらず彼の愛を受け止めて、眠りに落ちるまでゆったりと話をしていた。
ちょっとうとうとしてきた頃に、グランは私の手をきゅっと優しく握る。
「ん……グラン…?」
「ミーフェ。明日、一緒に来てほしい場所があるんだが…」
「あした…」
寝落ちしそうな意識で明日のことを考える。誰かが訪ねてくる予定もないし、依頼されて作った調合薬は今日のうちに渡したし、予定はない」
「うん…行く、だいじょうぶだから……」
「そうか。すまない、眠い時に聞いてしまったな。また朝にきちんと話そう」
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