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運とはズルく見えること
本番が過ぎて
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やって来た球技大会当日。初めに行われた個人競技は、おおよそ順当に経験者が勝っていった。うちのクラスではソールドが一番良い成績を修めていた。タルタはいい試合をしていたが負けてしまったらしく、集団を外れた片隅でみんなに背を向けていた。俺はかける言葉が無く、ただ次のクラス競技に備えてクラスの輪へ戻ることにした。
最初のクラス競技バスケは三対三なので、闘志みなぎるショウカとソールドのコンビにローテーションで一名加えた体制で挑んだ。フルー圧勝、コルア快勝、俺は辛勝といった具合で勝ちを重ねていたのだが、さすがに練習不足が響き順位は中の上におさまった。
「まあ本命はドッジだし!」
一番足を引っ張っていたと思われる俺の言葉でもみんなの気持ちはすぐに切り替わった。士気の高さに練習した甲斐もあってサクサクと勝ち進めた。特にパワーコンビがまだまだ力を発揮して、なかなかのごり押しをして見せた。俺たちはエイテムの分析を元に細かいフォローを入れるに納まった。
「つよつよってやつ?」フルーが呟いた。
「お? おー、それだあ」
懐かしい言葉に俺は思わず笑った。「強いってことですか?」と首をかしげるコルアにそうだと伝えた。次はいよいよ決勝戦、タルタのいるチームと当たる。ここまでの快進撃を支えてくれたショウカとソールドは体力が減っているので、コルアとフルーのスピードコンビが前線に立つ作戦で行くことになった。エイテムが一人でも密かに情報収集を続けたおかげで、相手チームの役割分担は一人残らず把握済みだ。勝てるかはトントン、でも見込みはある。
「よろしくお願いします!」
代表としてフルーとタルタがじゃんけんをして、勝ったタルタチームのボールで試合が始まった。飛んできたボールをフルーが受け止めすぐさま返す。スピードコンビの狙いは妨害役だ。パンパンと素早いラリーの中で次々落としていった。段々と精鋭が残っていき苦しい盤面にはなるが、そこに休みを挟んだパワーコンビが前線へという作戦を行っている。
俺の役目は回復しきっていないパワーコンビの盾役だ。俺が球を捕って二人には攻撃に集中して貰う。そのためにエイテムの助力を得て、相手の癖や特徴を頭にたたき込んである。暗記に加えて運スキルも働いたのか、今のところ俺の予想はきちんと当たっていた。
スタミナを消費し、動き方もバレたスピードコンビが外野へ。盤面は俺が頑張ればワンチャン勝てるか? ぐらいだろうか。頑張っているし弾のコースもバシバシ的中しているのだが、二人分の盾をしているので体力に不安が出てきた。
今も。反応が一歩遅れた。捕れたはずの球が手の先を通り過ぎた。代わりにショウカがそれを掴む。カバーをして貰う回数が増えてきていた。
気を引き締めた次の球はさすがに捕った。助走をつけて寄ってきたソールドにすかさずパスする。
バシィ! 構えきれなかった投げ役の相手にヒット。少し試合が止まって去り際、相手はタルタに向かって不満げに眉をしかめて小さく俺を指さしたように見えた。タルタはいさめるように肩へ手を置き仲間を送り出した後、ほんのわずかに俺を見た。
「あちゃー」
隣に立つフルーが呟くと同時にホイッスルが鳴った。俺とショウカも外野送りとなり、最後に残ったソールドもついに当たってしまったのだ。
「Aクラスチームの勝ち! ということで、優勝もAクラスでーす!」
負けて見学していたタルタチームじゃない方のAクラスも混じって一気にお祝いムードが始まる。フルーは「負けたチームも一括りに優勝なの?」と少し不満げにこぼしたが、すぐに「まあいっか」とソールドと共に会場をあとにした。コルアとショウカは打ち上げの用意をするらしく、誰よりも早く居なくなっていた。
「実力の差だと諦める余裕が欲しいですね……」
エイテムが呟いた。
「まあ。頑張ったから、サクッと振り切るのは難しいよ。俺も」
偵察試合の時と違って、今回は頑張ったうえで望んでいた。だから、俺の奮闘だってスキルだけのおかげじゃなくて練習からの積み重ねがあったからだと思う。そう思えた上で、優勝できなかったことに悔しさより苦しさを覚えてため息をついた。
「帰るか~。弟たちがどんなもの用意してるか楽しみだね」
俺の様子を見て心配そうに目を配ってくれるエイテムに明るく声をかけた。意識して作った声でも出してみると少しは気持ちが晴れる。エイテムも「そうですね!」とこちらの雰囲気に合わせてくれた。そのままお祝いムードの会場を出て俺たちは寮へ帰った。打ち上げの場所が寮内なので、いつもは自宅に帰るフルーやソールド、エイテムも今日はみんな一緒の道を歩いた。
最初のクラス競技バスケは三対三なので、闘志みなぎるショウカとソールドのコンビにローテーションで一名加えた体制で挑んだ。フルー圧勝、コルア快勝、俺は辛勝といった具合で勝ちを重ねていたのだが、さすがに練習不足が響き順位は中の上におさまった。
「まあ本命はドッジだし!」
一番足を引っ張っていたと思われる俺の言葉でもみんなの気持ちはすぐに切り替わった。士気の高さに練習した甲斐もあってサクサクと勝ち進めた。特にパワーコンビがまだまだ力を発揮して、なかなかのごり押しをして見せた。俺たちはエイテムの分析を元に細かいフォローを入れるに納まった。
「つよつよってやつ?」フルーが呟いた。
「お? おー、それだあ」
懐かしい言葉に俺は思わず笑った。「強いってことですか?」と首をかしげるコルアにそうだと伝えた。次はいよいよ決勝戦、タルタのいるチームと当たる。ここまでの快進撃を支えてくれたショウカとソールドは体力が減っているので、コルアとフルーのスピードコンビが前線に立つ作戦で行くことになった。エイテムが一人でも密かに情報収集を続けたおかげで、相手チームの役割分担は一人残らず把握済みだ。勝てるかはトントン、でも見込みはある。
「よろしくお願いします!」
代表としてフルーとタルタがじゃんけんをして、勝ったタルタチームのボールで試合が始まった。飛んできたボールをフルーが受け止めすぐさま返す。スピードコンビの狙いは妨害役だ。パンパンと素早いラリーの中で次々落としていった。段々と精鋭が残っていき苦しい盤面にはなるが、そこに休みを挟んだパワーコンビが前線へという作戦を行っている。
俺の役目は回復しきっていないパワーコンビの盾役だ。俺が球を捕って二人には攻撃に集中して貰う。そのためにエイテムの助力を得て、相手の癖や特徴を頭にたたき込んである。暗記に加えて運スキルも働いたのか、今のところ俺の予想はきちんと当たっていた。
スタミナを消費し、動き方もバレたスピードコンビが外野へ。盤面は俺が頑張ればワンチャン勝てるか? ぐらいだろうか。頑張っているし弾のコースもバシバシ的中しているのだが、二人分の盾をしているので体力に不安が出てきた。
今も。反応が一歩遅れた。捕れたはずの球が手の先を通り過ぎた。代わりにショウカがそれを掴む。カバーをして貰う回数が増えてきていた。
気を引き締めた次の球はさすがに捕った。助走をつけて寄ってきたソールドにすかさずパスする。
バシィ! 構えきれなかった投げ役の相手にヒット。少し試合が止まって去り際、相手はタルタに向かって不満げに眉をしかめて小さく俺を指さしたように見えた。タルタはいさめるように肩へ手を置き仲間を送り出した後、ほんのわずかに俺を見た。
「あちゃー」
隣に立つフルーが呟くと同時にホイッスルが鳴った。俺とショウカも外野送りとなり、最後に残ったソールドもついに当たってしまったのだ。
「Aクラスチームの勝ち! ということで、優勝もAクラスでーす!」
負けて見学していたタルタチームじゃない方のAクラスも混じって一気にお祝いムードが始まる。フルーは「負けたチームも一括りに優勝なの?」と少し不満げにこぼしたが、すぐに「まあいっか」とソールドと共に会場をあとにした。コルアとショウカは打ち上げの用意をするらしく、誰よりも早く居なくなっていた。
「実力の差だと諦める余裕が欲しいですね……」
エイテムが呟いた。
「まあ。頑張ったから、サクッと振り切るのは難しいよ。俺も」
偵察試合の時と違って、今回は頑張ったうえで望んでいた。だから、俺の奮闘だってスキルだけのおかげじゃなくて練習からの積み重ねがあったからだと思う。そう思えた上で、優勝できなかったことに悔しさより苦しさを覚えてため息をついた。
「帰るか~。弟たちがどんなもの用意してるか楽しみだね」
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