二度目の生き方を探してく

嬉野 巧

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努力の先に何を見る

少し先の話

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「早く入りなよ。ここまだ暑いんだよね」


 オーバーサイズの緩いTシャツを着たフルーは俺たちに手招きをすると、力の抜けた肩をぶらぶらさせながらリビングへ迷いなく入っていった。


「……エ?」


 振り返って、俺は眉を八の字にした疑問の表情をぶつける。それに対してコルアは困ったように笑うと、「昨日いらっしゃったんです」とだけ答えた。

 本人に尋ねた方が確実なので、俺は気を持ち直して靴を脱いだ。部屋に入るとフルーはソファの一番手前に座っており、俺たちに奥の席を勧めた。入り口に荷物を置いて俺がフルーの向かいに腰を下ろすと、コルアは飲み物をつぎにキッチンへ行った。


「何しにきたんだ、ここはおまえんちじゃないぞ」


「冷たいね-」


「急すぎるからだよ。あとくつろぎすぎね? 遊びに来るなら一報くれればいいのに」


 それにフルーは「ごめんごめん。でも、遊びに来たわけじゃなくてさ」と偏った襟を直した。


「職場体験っていうの、叔父の仕事について回ってて。ここに来たのもその一環で、僕は知らなかったんだよね」


「あぁ~そうなの。仕事って?」


 コルアの持ってきてくれた麦茶のグラスを受け取ってから尋ねると、「昼食とったら合流するから」ということで俺も一緒にフルーの叔父さんの元へ行けることになった。


「コルアくんは? 来る?」


「僕は、いえ。せっかくのお誘いですけど遠慮しておきます」


「えッなんで?」


 てっきり喜んで来るものと思っていたので、俺は間髪入れずに声を出してしまった。


「興味はありますよ。でも、今は自分で試してみたいことが色々と思い浮かんでいて。そっちを優先したいんです」


 夏休みもそう長くないですし、とコルアは答えた。そのまま俺の隣に来たのでお尻を端にずらして座る場所を空ける。視界が少し広がって、鞄についた黄色いアクセサリーが目に入ったので俺は「そっか」と納得した。


「いいね、やりたいことがハッキリしてて。好ましい」


「いえいえ! 感覚としては宿題を片付けてるような、やっておかないとって感じなので、そんな」


 明確なものじゃない、とコルアが否定した。「それでもいいことだよ」とフルーは笑っていた。

 俺は魔法を練習してみたり先の目標を考えてみたり、ふらふらしてんなぁと卑屈になりそうだった。でも、元をたどれば大体のことが、自分事なのに分からないのがイヤというところから始まっている。スキルも魔法も、周りにあった何もかも。

 そう思うと、俺はいま必要なことをしている最中なのだから、とやりたいことなんていう遠い話から手を離すことができた気がした。

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