黎明のクマちゃん

蟹虎 夜光

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第11話 sister’s voiceを届けてくれ

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第11話 sister’s voiceを届けてくれ
 廃工場にて。

「さてさて問題だが……俺は3日後と言ったな?」

「だから何……」

「別に今日殺してもいいんだぜ。」

 ジャックにルールなんて言葉はない。それは誰もがわかっていたことである。

「……別に殺したきゃ殺せば?」

「えっひじゃあ……遠慮なく……うひひ」

「させるか!!!」

 デコトラが思いっきり突っ込み一気に廃工場はよりボロボロに磨きがかかった。

「おいおい多少兵置いてきたぞ?」

「あーそれならうちの戦闘狂の皆さんがやってるよ。」


 廃工場の外。
  
「フッ!」

 思いっきりパンチを決めるジュリ。

「ハッ!」

 それに対抗して蹴りを噛ますノア。

「なかなかやるなぁ……」

「そっちこそ……な。」

「今から倒す人にトランプを仕掛けました。さてそのトランプのカードは私はダイヤの6と予想します。」

「……コイツかな。」

 殴った男のポケットからトランプが落ちたので確認するとダイヤの6だった。

「面白い仕掛けをどうも。」

「いーえ。」

 二人は更にジャックが用意した兵との抗争を続ける。

「こんな二人よりもこのおっとりした姉ちゃんをやるぜ!」

「……なんですか?」

 そんな二人の近くにいたハナが襲われそうになるも睡眠薬の入った注射器を当て、無理やり眠らせる。

「おやすみぃ。おっとりしてるからって舐めないでくださいねぇ。私護身術とか学んでますから!」

「頼もしくて助かるぞ。」

「んじゃ私たちも自由にたたかいまーす。」

  全員が全員、戦闘態勢に入った。


「なるほどなぁ……戦闘要員がお前らの中には多いんだなぁ。こいつぁ驚いた。」

 だがそれでも余裕を見せるジャック。

「なぁ……俺がなんでこんな余裕かわかるか?」

「さあな……知る気もないね。」

「たとえ妹が一瞬で吹き飛ぶとなってもか?」

「なに?」

 その反応に思わずあゆみも驚く。

「お前の妹が座ってる椅子は爆弾が仕掛けられていて、俺のボタン一発でドカンさ!これを知って余裕こいてるやつはなかなかにいやしねえ。」

「……」

「んでお前はどうする?爆弾解除出来るのか?出来ないのか?」

「……くっ」

「任せて!」

 はんねが走り出しあゆみの近くにいる。

「ちょっはんねさん危ないって。」

「いいのいいの!私ね、こういう誘拐何度もされてっからこういうの慣れてんの。」

 そう言うと軽々と爆弾を外そうとするはんね。そして外す前に爆弾も無事解除された。

「へぇ……いいメンツが揃ってるじゃねえの。んでどうするんだ?おいおい。」

 この時、思わず僕は怒りで自我を忘れた。

 その瞬間、ドグシャアと大きな音がこの施設内に響いた。

「……は?はぁ?おめぇなんちゅう強さして」

「……」

「こ、こいつ!自我がねえ!クソがァァァ!!!」

 抵抗するジャック。しかし、その攻撃は見事に当たらない、当たる気すらしない。

「……」

 次の瞬間、今度は骨の折れる音が思いっきり響く。

「て、てめぇ……俺の頭だけじゃなくて骨までも……」

「……」

 その光景に思わず脅えるはんね。

「ね、ねぇあゆみちゃん……もしかして一番怒らせちゃいけないのって……」

「うん、お兄ちゃんだね……」

 2人の声に反応するかのようにまたもドグシャアと何かが破裂した音が聞こえた。

 そして我に戻ったかのように友生ははんね達の元に向かった。

「大丈夫か?」

「そ、そりゃ……うん。」

「……ごめん、お兄ちゃん。」

「いいんだ、気にする事はないから。俺も悪かったよ、隠し事なんてしちゃってさ。」

 二人は最下位のハグをする。

「さてと……」

 再びジャックを見つめる。

「誰の差し金だ?」

「……お、俺はいくら殴られても蹴られても口を割るような男じゃ」

 その瞬間、玉を蹴る。

「……お、おい!そこはやめてくれよ!」

「じゃあ言えよ。」

「うーわお兄ちゃんさすがにないよ、女の子の前でそれは……。」

「……あぁ、すまん。つい。」

 そして再び聞く。

「言えよ。」

「あ、あぁ……わかった!約束するからさ!」

「お、俺を雇ったのは……キングって男でよぉ。」

「キング?ジャックといい……トランプみてぇだな。」

「あぁ、そうそう……エースやクイーンは会ったことはねぇがな……。んで俺は、そのキングにそこの嬢ちゃんを誘拐しろなんて言われてな……。」

「それで……誘拐したと。」

 後ろからやってきたのは恵子だ。

「恵子!?」

「なんか夜中にデコトラがこの街徘徊してるなんて怪しい思っちゃってさ……来たらこれよ。」

「あはは……」

「あなた達、私じゃなかったらこれもうムショ連れてって場合によっちゃ逮捕してるからね。」

「すみません……そうですね。」

「とりあえずゴタはこれくらいにして……それじゃあ逮捕ってことで……」

「ま、まってくれ……こいつに伝えてねえ情報がある。」

「そうそう……それを本人の口から聞いておかなきゃ」

「ちょっとそんなの後にしなさいよ!ここからは私の仕事なんだか……」

 その瞬間、どこからか撃たれた弾丸がジャックの肩をぶち抜く。

「グッ……」

「ジャック!」

「へへっ……俺はもう用済みってことか。」

「は……?」

「後で俺の遺体……をよぉ……確認してくれや。いつだったかのジェイソンとかの事件と……関係する……ぜ。」

「またあの弾か……。」

「それに……伝説の……殺し屋だっけか?……ありゃ……関係してい……るな……。」

「そうか……もういい、ゆっくり休んでくれ。」

「あぁ、ありがとうよ……来世は……こんなお嬢ちゃん……育ててみてぇな……。」

 ジャック……冴原以蔵は息を引き取った。

「全く……最期にこんな情けをかけるなんて……」

「立場が違えば……友達になれたかもしれないからな。それに……そういうあんたはなんで泣いてるんだ?」

「いつもこうなの、気にしないで……。」

 あとから知った事だが、恵子は毎度犯人が逮捕される瞬間だとか死亡した瞬間に感動して涙が出るんだとか。

「ずるいよ……犯人とマル被の友情なんて……。」

「思ってたけどちょくちょく警察用語入れてないか?」

 なんの事かなぁととぼけてる恵子と会話をしているとほかの仲間たちも来た。

「みんなも無事そうでよかった。」

「あれくらいどうってことはない。」

「そうですか……それはよか……」

 そんな会話をしていると力が抜けてきたのか、眠くなってきたような気がした。

「お兄ちゃん!?」

「安心しろ、息はある。ハナ……最寄りの病院を教えてくれ。それから恵子さんは車あ……」

「いや、ないわ……」

「そうか……なら、行きとおなじで行こう。」

 こうしてデコトラに無理やり詰められ、僕は病院に搬送されたらしい。


 それからジャックの遺体は埋葬され、生活はほぼ元に戻った。強いて言うなら僕が入院してるくらいだろう。

「……」

「あ、目が覚めてますね。」

 この医者は営野 直次えいの なおつぐと言ってこの街じゃ知らない人はいないと言ってもいいくらいの名医だ。

「それにしても君モテモテだねぇ、あんな女の子達に囲まれて運ばれてきたんだよ?何かあったのかい?」

「い、いやぁ職業柄で……」

「なに?まさかお兄さんあっち系?」

「違いますよ……強いて言うならバーですけど。」

「ふぅん……職業聞けば確かにバイトは3人いたねぇ。あとは女子高生に新聞記者に警察官……あ、男の人がいたような。」

「それ多分親代わりの人です。あとあの人に男っぽいねとか言わないでくださいあの見た目でも一番メンタル弱いんです。」

「そうかそうか……そいつぁ本人には言えないね。」

「あ、それと伝え忘れたことがある。」

「……なんですか?」

「君の身体の病についてだよ。特殊なタイプでね。」

 つづく
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