レディ・クローンズ

蟹虎 夜光

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Headed for the truth

第10話 援軍 二番じゃ駄目ですか

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 二井原ろここ。彼女が魔法少女として戦う理由は姉の敵討ちである。同じく魔法少女をしていた姉は魔法少女の制作を途中から反対していたサドに抹殺された。犯人が誰であるかも彼女自身は知らない……それでも彼女は自分が従う正義を信じて今日を生きてきた。
「姉ちゃんを殺したのが僕は誰だかはっきり言って分からない……それでも僕は戦い続ける。全ての敵は僕が倒す!」
 これは決意なのかただの雄叫びなのか。彼女自身その答えはわかっていない。
 それは復讐なのか、八つ当たりなのか。彼女自身その答えもわかっていない。
 無知の彼女は真に戦うべきものが分からないまま、魔法を放つ。
「おもしれぇ……来いよ二番隊隊長さんよ?」
「ライトニング・レイズ!」
 その光は雷の如く目にも止まらぬ早さで猫宮の体を突き抜ける。
 技が放たれている途中で彼女は鞘に入れていた刀を抜く。
「私の魔法は光線……この刀のように真っ直ぐなビーム……」
 いくら人々の憎い気持ちが強かろうと叶わないものも存在するはず。無敵なんてものが存在すればそれはもう現実では無い、彼女はかつてアラタカに言われた言葉を大事にしている生真面目な性格の持ち主だ。
「効かねえよ……」
 しかし真っ直ぐなものはいずれ曲がる。彼女は目の当たりにした今、絶望した。
「……隙ができたわ。……シャイニー・シザース」
 そう、この一瞬だけ。光のハサミで彼女自身を挟めていた物を着ることで勝利は彼女達に傾いた。

 一方その頃、この俺、一之輔はと言えば。
「第七問、お前が父親にやった最悪のイタズラは?」
「出勤前、寝起きの父親の耳元でモデルガンを連射した……」
「第八問、ではその時言った父のセリフは……?」
「パパ耳鼻科行きたい……」
 最悪なクイズを続けていた。
「ぷぷぷ……」
 そして少しずつ笑顔になってくリマさん。なんというかカッコつけてナンパしようとしたら恥をかいて相手に笑われて惨敗したような……いわゆるコメディー路線のドラマとかでよく見る恥ずかしい展開である。
 俺は今それを味わった。
「第九問、福瀬功に魔法少女を作ろうと思わせた影響を与えたのはどこの誰?」
「……俺?」
 少し不安だ。もし俺ではない誰かがターニングポイントではないだろうか。そんな予測もできる。なんせ親父にはココ最近会えてないからだ。生きてるかも分からない。
 しかし、俺のそんな不安げな気持ちとは裏腹に、正解の鐘は鳴り響く。俺の心に安心感が再び宿る。
「……」
「第十問、クローンの元である彼女……名前は?」
 写真に出てきた彼女は見覚えがある。以前、母に教えられたことがある。クローンである彼女たちに似た女性……そんな彼女の名前は。
「……福瀬伊緒梨」
 俺が中学の時カミングアウトされた事がある。現実を受け入れられるであろう年齢になったからこそ伝える意味がある。そう判断して彼女は言ったのだろう。
 俺が今まで生みの親だと思っていた母親は母親であって母親ではない。悲しくもこれが現実である。
 だからそれも込みであの男……福瀬功という男は二人の女性と複雑な関係を持っていた。不思議と感動的な再会を求めていた俺の心は怒りに変わりつつあった。
「第十一問、魔法少女を制作する前、彼女は一人の女性にある事を頼みました。それは何?」
「……もし自分に何かあれば私の旦那は自分の事をしか考えてないので逃亡する、だから貴方に一之輔を頼みたい。」
 長い答えに短く鳴る正解の鐘。その音は正解ですという嬉しい意味もありながらどこからか虚しさも感じさせる。
「貴方の本当の母はもう居ない。それどころか彼女はどんな人よりも私が出会った中で強いひとだった。」
 かつての育ての親である……福瀬一花は俺にそう言った、ただ病気さえなければ今も生きていたのでは無いかと言うほどだ、それを考えたら確かに強い母ちゃんだ。
 ……でもホプスが俺に見せたあの写真を良く考えれば、あそこに彼女がいるのは不思議である。俺が生まれてすぐに亡くなった母が数年前の研究チームの写真になぜ存在するのか。
 だとすれば大きな矛盾は生まれる。亡くなった人がなぜ生きている?心霊写真か?
「……」
 一つだけ思いついてしまった有力な説がある。もし写真に写ってる人もクローンだとしたら?
 俺は今、父の考えに息子ながら恐怖を覚えた。
「……最終問題」

「チッ……またこんな流れかよ。」
 嫌そうな顔で猫宮はマンネリと化した戦いに怒りを感じつつある。
「憎悪……」
 その場にいる魔法少女を吹き飛ばし、二井原隊も絶望に追い込まれた。魔法少女の戦いの中で最悪であると二井原はこの時思った。
「なぁお前ら、殺人って何で起きるかわかるか?」
 倒れている大量の魔法少女、全体にクイズ番組のように問いかける。
「憎しみを知ったからだよ。」
 誰も答えれないがために自問自答する猫宮。
「憎しみがあるから人を恨む、憎しみがあるからこの人さえいなければって思う、憎しみがあるから殺める……」
 猫宮は二井原に近づく。
「なぁ、お前さっき私は二番隊って言ってたよな?」
「……それが、どうした」
「もし、一番隊が無けりゃとか……考えただろ?」
「……それがなんだ……二番の……二番隊の何が悪い!」
「いいねぇその威勢……好きだよ。でもな?」
 そう言って二井原を蹴り飛ばす猫宮。
「強さと態度が反比例なんだよ、二番煎じ」
 気持ちよく蹴り飛ばした猫宮。しかしその後ろをクローンの四人はチャンスを伺いながら睨んでいた。
「あの野郎……許せねぇ。」
「セカンダちゃん、みんな、これで回復は完璧に終わったわ。思う存分暴れていいわよ。」
「ありがとう、サーディ」
「ここから本番よ!」
 この瞬間、猫宮は不利になった…そう思っていた。
「なぁサド……アイツ・・・向かってるよな?」
「えぇ、もうすぐ着きますよ。」
 ニヤリと笑った猫宮。それと同時に聞こえる何かが迫ってくるような音。
「狩り……開始。アタックモードに入ります。」
 彼女達と同じ顔でありながら自然体のような綺麗な黒髪をしている魔法少女。この魔法少女こそが初めて産まれたクローンである。
「オリジナルの名は福瀬伊緒梨……こいつ自体の名はオリジン。要するにサドからの情報としたらお前らの主の母親のクローンだ。」
「スタート」
 まるで獲物を狙うチーターのような速さである。思わず構えていた彼女達はそれに圧巻する。
「手も足も出ない……」
 思わずこのセリフである。
「こんなの卑怯じゃない!」
「いや大群のお前らに言われたくねーよ。」
 思わず二井原が叫んだ。それに対し冷静な猫宮。
「デリート」
 しかし機械は冷酷である。指示をされたら情もなければ心自体あるわけない……ただその通りに動くのが機械そのものの行動である。
「この日、お前らは終わる!さぁ地獄を見ろ!」
「……勝機はある。」
 ファスタはもう1つの迫ってくる音を感じ取っていた。
アイツら・・・・……じゃないわよね?」
「何が言いたい?血迷ってんのか?」
「あら?貴方には聞こえないのかしら。もう一人何者かが近づいてくる音が。」
「な……に……?」
 この時、黒スーツに白い鎧が見に纏われ全身からスチームを出す謎の騎士が現れた。人は後にこの騎士をセンキシと呼ぶことになる。
「ついに完成したのか……遅いんだよ。」
「これで貴方も戦えるのね。」
「勝ち目ある、嬉しい。」
 ファスタと同じく三人の魔法少女はこの騎士の正体がわかった。
「センキシ、指示を。」
 ファスタは目の前の騎士にそう言った。
「しない、ご自由に。」

 つづく
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