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1章出会い

願い事

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 ――はぁ。

 と綾人はため息をつく。



 今は深夜2時。酒が飲みたいが、購入してないので、自分で入れた紅茶を飲む。

 因みに、12時と17時に街の鐘がなるという事で腕時計を合わせた為、現地時間はバッチリ把握済みだ。

 転生時に、スマホなんかは無かったが、財布や腕時計はあり、スーツも着てたし革靴も履いていたし、ビジネスバックも持っていた。

 当然仕事の資料などは無く、ハンカチと替えのネクタイと万年筆位しか無かったから、この世界に持ち込んでもあまり問題のないものだけ、持ってこれたのだろう。



 アレクには先にベットに入って寝てて貰うように言ったが、落ち着かないのか、先程から寝返りを繰り返していてまだ寝ていないようだ。



 あれから、夕飯は気もそぞろで食べつつ、なんとか魔法大全も流し読みを終えた。

 分かった事といえば、"スキル"はスキルレベルによって威力が違うことで、スキルに魔力やレベル制限は無い。

 一方"魔法"もスキルのように魔法属性レベルというものがあるが、実際に使える魔法にはその人のレベルとMPが密接に関係しているようだった。



 その辺りを考慮して女神にお願いして取得したのはこれだ。



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スキル:言語理解(5)、鑑定(5)、隠蔽(5)

魔法:光属性(5)、無属性(5)

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 言語理解は最初に取得したスキルで、次に取得したのは鑑定スキル。

 よくラノベでも活躍していて使い勝手が良さそうなので、選択した。

 そして、隠蔽はスキルや属性などを隠す事が出来るスキル。あまり使い勝手が良いとは言えないスキルだが、外国人なのに言語理解(5)のスキルのおかげで流暢すぎる話し言葉などにちょっと危機を感じたので、身を守る為のスキルだ。

 光属性魔法は身体レベルが1でMPも少なく今はほぼ何も出来ないが、レベルが上がれば欠損も治せるらしい。奴隷の件もそうだが、日本での倫理観が強すぎて、恐らく人を殺すなんて事は出来ないだろうと想像が付いたので、なら怪我を治せるようになれば良いかなと思った。……アレクへのお礼に目と喉を治してあげたいというのはあくまでついでだ。

 無属性魔法は……ロマンだ。転移や空間魔法や創造魔法などが使えるようになるらしい。これも今は身体レベルやMPが足りず何も出来ない。

 いや、お財布からあの余りある所持金を出していたのは一種の空間魔法だったようだ。

 レベルの差はあれ、あの位は生活魔法の一部で誰もが使えるようだが。



 そして、冒頭のため息。

 女神へのお願いはすぐにステータスに反映され、何だか嫌・な・予・感・が・す・る・称・号・が増えていたので、鑑定魔法を早速アレクに使用したのだ。



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名前:アレク(アレクセイ・ローゼンベルト)

年齢:23

職業:賎奴隷(元騎士団員、第三王子)

レベル:92

HP:160/1,125

MP:2,030/2,036

状態:喉呪い、左目欠損

スキル:体術(3)、剣術(4)、弓術(3)、投擲術(3)、高速移動(2)、騎乗(3)、索敵(3)

魔法:火属性(3)、風属性(4)、水属性(2)

称号:翻弄されし者、女神の愛子

所持金:なし

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 アレクが略称なのは置いておいて、まず年齢!

 20代後半かと思ったらまさかの1才年下!

 因みに誕生日は1週間違いで、俺が7/25に対してアレクは8/1だった。

 あと、何ヶ月かしたらお互い1歳年齢が上がるという事だ。



 そして、職業! “第三王子”ってさらっと書いてあるんですけど! しかも“元”が付いてないから、奴隷だけどまだ王子なの? とちょっとよく分からず、厄介ごとの臭いしかしない。



 レベルとかHPとかMPとかも何だか高い気がするけどデータが足りないので特に触れないでおく。



 状態の“喉呪い”も訳あり感が満載なんですけどー。ただ、光魔法の”解呪”は魔法大全によると光属性魔法レベルが3ならレベル65以上、光属性魔法レベルが4以上ならレベルが20以上あり、尚且つMPが100以上あれば使用出来るらしい。

 因みにこの魔法大全は、レベル5は滅多にいない為、レベル4以上のくくりに含まれているようだった。



 アレクが喋れるようになったら意思の疎通は今よりもっと楽に出来るだろう。



 そして、称号。……もう訳ありの固まりだよね。

 女神の愛子とか……あの転生前の女神だよね?

 因みに、綾人のステータスに反映されていた”何だか嫌な予感がする称号”とはこちら。



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称号:器用貧乏、女神の愛子への接触により警戒対象(余計なことをしたら……)

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 厄介ごとにも巻き込まれそうな雰囲気を醸し出してるうえに、なんか女神にまで目をつけられてるんですけどー!!

 カッコ書きの”余計なことをしたら……”とか、マジでどうなるのか気になるんですが!!

 “……”とかやめて最後まで記載してくれよと言いたい。

 何が女神の気に触れてしまうことになるのか不明だが、もう既に1年は一緒にいる契約を交わしてしまっている為今更距離を置くこともできない。



 ……まぁ、起こってしまった事は変えられないので、先に進むしかないのだ。



 カップに残っていた紅茶を飲み干すと、アレクが寝ているベットへ入り込みアレクに”おやすみ”と声をかけると横になって現実逃避した。
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