上 下
61 / 69
2章ローゼンベルト王国

目覚め1※

しおりを挟む
 ――あ、アレクの匂いだ。

 安心する匂いに包まれて意識が覚醒する。



 恐らく、アレクに抱え込まれているらしく、アレクの胸元に埋まっているようだ。



 アレクの胸筋……落ち着く……。



 ……。



 ……じゃない! 寝落ちする所だった。



 目覚めきっていないぼんやりした頭で状況を整理する。



 ……女神様とのやり取りをバッチリ覚えているが、振り返ると上手く乗せられた感しか無い。





 本当は分かってる。



 あの空間に居たのも、今こうして動き出さないのも"ただの逃げだ"という事は。



 幸せが終わる事の絶望感は計り知れなかった。

 また同じ事が起こるかもしれないと思うと怖かったのだ。



 それなら、幸せな想いを胸に抱いてもう消滅したかった。



 でも、残念ながら、それは許されない事のようで、俺は現実と向き合わなければいけないらしい。





 ちょっと第二の人生、ハードモードすぎやしませんかね?





 起きるのが怖くて身動ぎ一つできない。



 また、憎しみの目で見られるのが怖い。



 軽蔑の眼差しを向けられたらどうしよう。



 裏切り者と罵られたらどうしよう。



 淫売と蔑まれたらどうしよう。



 お前はいらないと言われたらどうしよう。





 ……いや、自分のした事の結果だから受け入れるしかないだろう。

 そりゃ自分からやりたくてやった訳じゃないけど、抗い続けるのをやめたのは自分だから、その結果が返ってくるのは当たり前のこと……。



 大丈夫。



 どんな風に見られても、言われても、扱われても受け入れれば良い事。



 これまでそうやって生きてきたんだから、これからも同じように生きていける。



 得られることのなかった筈の一生分の愛は既にもらっている。



 その思い出があれば十分だ。





 ……だから最後かもしれないし、今のうちにアレクの胸板を存分に堪能する。



「アヤト?」



 ……バレたー!!



 アレクの怪訝そうな問いかけに、つい体が硬くなる。



 起き上がろうとするアレクと離れたくなくてつい、服を掴んでしまった。



「アヤト目覚めたのか!?」



 そっと仰向けにされてしまった。

 観念して目を開ける。



「アヤト!!」



 そこには全く想像していなかったアレクの表情があった為、驚いた。



 アレクは目を見張った後、涙を零しながら微笑んだのだ。



 そうだ。



 アレクの幸せそうな顔が好きだった。



 俺を愛しむアレクが好きだった。



 不可抗力とはいえ、他人に犯され、いつしか諦め、現実逃避をしてしまった俺をアレクはゆるしてくれるのだろうか?



「ア、レク」



 自分が女神のいる空間にどの位いたのか分からず、喉が引っかかるように喋りずらかったが、声をかけると、益々アレクの綺麗な澄んだ青い目から涙がこぼれ落ちてきて



「お帰り、アヤト」



 と、声をかけながらキスをしてくれた。



 そして、キスがだんだん深くなる。



 ――クチュッ、クチュッ、クチュッ



 舌を絡めあっては吸って、お互い何度も何度も絡めあった。



 やっと離れたと思ったら、



「いいな?」



 と、情欲に塗れてるばかりか、ちょっと今から人殺しに行きますとでもいうような、いきかけてる目でアレクに問われ? たので頷く。



 とてもでは無いが、"何が?"なんて聞けない雰囲気。

 先程までの微笑みは一体何処へ?



 ……拒否権がほぼ無いのにこれは"問い"というのだろうか? 


 そして、これはなんだか前にも似たような事があったようなと思いきや、またディープキス。



 口内を弄っている間に、綾人の服を脱がせ、アレクも自身の服を脱ぐ。



 全て脱ぎ終わると、口内を弄っていたアレクが首筋を辿り鎖骨を通り、乳首を舐める。



「ぁ、……い、や、……あ、あぁ……」

「可愛いな、乳首が立ってきてるぞ」



 ――クチュッ、クチュッ、クチュッ



 片方の乳首を舐めながら、もう片方は指でくにくに擦る。



「ア、アレク、もう、触って」

「触るってどこに?」



 アレクは楽しそうに問いかけながら、お腹を舐め下に下がっていく。



「ぁ、はぁ、……ん、あぁ……」

「ほら、言わなきゃわからないよ」

「ん……、ちんぽ、触って」

「ふふ、この可愛らしい所だな」



 そう言うとアレクはパクッと綾人の陰茎を咥えた。



「ぁぁ、ぁ……、あん、あぁ……、出ちゃう、アレク、出ちゃうよ」

「そうだな、ずっとしてなかったもんな」



 嬉しそうに咥えながら喋ると、吸いながら思いっきり前後に動かす。



「あぁ、、もう、む、り、ぁ、……あぁ、いく、いくー!」



 ――ドピュッ

 アレクの口内に出してしまった。

 アレクは尿道に残ったものも取り出そうと吸ってから、満足して離した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

溺愛アルファの完璧なる巣作り

BL / 完結 24h.ポイント:610pt お気に入り:3,046

異世界でのおれへの評価がおかしいんだが

BL / 完結 24h.ポイント:1,285pt お気に入り:13,815

片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,017pt お気に入り:13

異世界ライフは山あり谷あり

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,094pt お気に入り:1,554

αは僕を好きにならない

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:641

処理中です...