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本編
救出
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ほぼ2日で情報を集め1家に絞ったあと、紫音は1人でライオネル救出に向かおうとした。王都から約4、5日程かかる領地だが、紫音が不眠不休で走れば1日半の距離で行ける。
だが、ルイスはそれを反対した。
1国の王子の救出作戦だ。紫音も元々は軍に所属していたので、国が動くとなれば手続きだ何だかんだで時間がかかる事は分かっていたので、やはり1人で先に行くべきだとルイスに主張する。
すると、ルイスは上には無断で3人で行こうと提案してきた。
紫音は驚いたが、その後の”転移陣”の話を聞き提案に乗ることにした。
普通の魔道士はライオネルみたいにポンポン転移出来ないし、長時間飛行も出来ないが、転移陣を作成すれば一瞬で領地へ移動が出来るそうなのだ。
ライオネルの足元にも及ばないが、それでも国2番の力のある魔道士ルイスならば、片道分6時間程で5名まで通れる転移陣を作れるとの事で、徹夜で転移陣往復分を作成してもらった。
そして、ライオネルが消息を経って6日目の夕方。出来たばかりの転移陣を使用して、あの”紫瞳の君がいても良い”と言って婚約を申し込んでライオネルに断られた西の侯爵の領地へ向かった。
♢♢♢
ルイス曰く、ライオネル程の魔力持ちを封じ込めるなら相当な封魔石が必要な為、きっと王宮にもあったような専用の部屋があるだろうとの事だった。
封魔石は小指の爪程の大きさで庶民4人家族が5年は暮らせる額だそうで、遠すぎずしっかり管理出来、安易に忍び込めない場所で使ったりするのが常らしい。
城の近くに到着するなり、正面から乗り込んで行こうとするアインとルイスに紫音は溜息をつくと、1人で捜索するからここで待っていて欲しいと、城近くの林で待っていてもらう事にした。
ルイスは当主との面会さえ叶えば話術で時間稼ぎしている間に、残り2人でライオネルの捜索をと考えていたようだが、万が一ルイスが人質になってしまっては叶わないとルイスの計画を却下した。
せめて護衛がわりにとアインが申し出てくれたが、”暗殺の仕事もしていたので、潜入なんて造作もないこと慣れているので大丈夫です“と、少し殺気を込めて笑いながら言うと2人とも黙った。
アインが紫音に声をかける。
「シオン君気をつけてね」
「ありがとうございます」
ルイスも紫音に声をかける。
「君が傷つくとライオネル様が傷付きますからね、無理と思ったら無理せず戻ってきてください」
「ありがとうございます」
「では行ってきますね」
と、いう紫音の声とともに紫音が居なくなった。
そんな一瞬で消えた紫音を見て、
「魔法は使えない筈なのに、異世界の暗殺者って凄いんですね」
と、ルイスはアホっぽい感想を漏らした。
♢♢♢
紫音はまず厨房による。武器は剣等でも良かったが室内などの狭い場所の可能性を考えると、自分の安全の為にも投擲出来るものが良いと思っていたし、下手に自分や王宮に繋がる証拠は残さない方が良い為、忍びこむ屋敷のカトラリーを武器にする事にしたのだ。夕食直前だったようで慌ただしく人が入り乱れていた為、堂々と気配を消してナイフをいただいてきた。流石貴族、同じ形のナイフが大量にあり扱いやすそうである。
以前王宮を隅々まで探索していた効果か、おおまかな作りは一緒だった為、ライオネルがいるのは塔か地下に絞った。
と、地下に複数の気配と、打擲音。
緊張で自然と体が強張るが冷静になるよう、一呼吸入れると、気配のある方に近づく、途中地下への出入り口に1人見張がいたが手刀で速攻でのした。
心臓が早鐘を打つようだ。
これはかつてお母さんを殺しに行った日と同じようだった。
でも、今回は殺しではなく人助けに行くというのが何とも奇妙な感覚だった。
紫音は人の気配がする部屋に静かに向かう。
近付くと漏れる打擲音。
ーービシッ
「ぐっ、、」
ーービシッ
「あぁ、、」
ーービシッ
「ぅ、う、」
そして、ドアをそっとあける。
目の前には傷だらけのライオネルが吊り下げられていた。
背中には縦横無尽に傷が付いていた。
抉れた肌に薄皮が出来そうなちょっと経った傷や、今まさに血を吹き流している傷が。
あんなに綺麗だったライオネルの肌が傷付いている。
無反応な人形の紫音にも関わらず毎日愛を囁き、愛を与えてくれていたライオネルが傷ついている。
紫音の“愛しい”ライオネルが傷ついている。
と思った瞬間
目の前が赤くなる。
紫音の進入に気がついた男たちが騒めき始めた時には、男達の眉間にナイフを刺していた。
ライオネルにそっと近付く、吊り下げられていた手を、吊っていた場所から外すと立っていられなかったようでそのまま床に崩れ落ちてしまう。
“大丈夫”と声をかけようとして、目隠しをされたまま震える体で後退る姿を見たら声をかけられなくなった。
「(ライは一般人だもんね。そりゃ怖かったよね。)」
声は発さず心の中だけで話しかけ、ゆっくり頭を撫でる。
ガタガタ震えるライオネルがここでの日々の辛さを物語っているようだ。
「(頑張ったね。大好きだよ)」
そっと落ち着かせるように抱きしめる。
「(俺もそこに転がっているようなゴミと同じ人種だよ。だから、、、声もかけないし、目隠しは外さない。もう少しだから待っててね)」
少しだけ強く抱き、抱きあげようとした時、
「シ、オン?」
一瞬心臓が止まった気がした。
目隠しを確認するがまだ外れてはいない。
なら大丈夫と、心に気合を入れると、ライオネルを抱きあげる。傷の炎症も心配だし、心の傷も心配だ。
一刻も早くこんな所を出て安心させてあげたい。
紫音はライオネルを抱えたまま、人に見つかりにくくあまり振動を与えないルートを選んで2人の元へ連れて行く。
「「ライオネル様!」」
それまでライオネルの強張っていた体から力が抜ける。
2人の声でやっと安心したようだ。
ライオネルにはこの2人がいるから大丈夫だなと紫音は思った。
アインが封魔石の枷を壊し、ルイスが眠りの魔法をかけると一旦治癒の回復魔法をかけ始める。ある程度治癒してから、3人は転移陣を使用して王宮へ戻った。
♢♢♢
王宮へ戻った後、すぐさま宮廷医師によってライオネルの治療が開始される。
ライオネルが治療されている所を見ながらぼんやり思考する。
気がつけば紫音の寿命もあと2ヵ月前後。これが良い機会だとこの機に姿を消す事にした。
姿を消しても側で見守る事は出来る。どうもこの世界の住人は紫音が気配を消すと、殆どの人が気がつかないのだ。気配の感じ方が違うのかもしれない。
専門の治癒師が治している間にアインとルイスに紫音はライオネルの前から消える旨を伝える。
納得していない2人だが、治癒が終わり眠りの魔法を解くというので、一旦話は保留にして紫音はライオネルの視界に入らない位置に移動し、気配を消した。
暫くした後、ライオネルの無事な声を聞けて紫音もホッとした。
例え今後その綺麗な碧の瞳に紫音が映らなくても充分報われた気がした。
ライオネルが再び寝た後、ルイスと話し合ったがいつまでも話の内容が平行線のままだったし、ルイスも徹夜からの緊張の連続で頭が回らず、紫音も先に片付けたい事があるので、一度時間を置いてまた話し合う事になった。
その際、1週間後に必ずルイスとの話し合いに戻ってくる事を条件に、ライオネルがごねてしまった場合に渡す紫音からライオネルへ宛てた手紙をルイスは預かった。
きっと紫音が消えた時のようにロクでもない嘘が書かれた手紙なんだろうなと想像出来るだけにルイスは渡す機会がない事を祈った。
そして、その夜、再び紫音は消えた。
だが、ルイスはそれを反対した。
1国の王子の救出作戦だ。紫音も元々は軍に所属していたので、国が動くとなれば手続きだ何だかんだで時間がかかる事は分かっていたので、やはり1人で先に行くべきだとルイスに主張する。
すると、ルイスは上には無断で3人で行こうと提案してきた。
紫音は驚いたが、その後の”転移陣”の話を聞き提案に乗ることにした。
普通の魔道士はライオネルみたいにポンポン転移出来ないし、長時間飛行も出来ないが、転移陣を作成すれば一瞬で領地へ移動が出来るそうなのだ。
ライオネルの足元にも及ばないが、それでも国2番の力のある魔道士ルイスならば、片道分6時間程で5名まで通れる転移陣を作れるとの事で、徹夜で転移陣往復分を作成してもらった。
そして、ライオネルが消息を経って6日目の夕方。出来たばかりの転移陣を使用して、あの”紫瞳の君がいても良い”と言って婚約を申し込んでライオネルに断られた西の侯爵の領地へ向かった。
♢♢♢
ルイス曰く、ライオネル程の魔力持ちを封じ込めるなら相当な封魔石が必要な為、きっと王宮にもあったような専用の部屋があるだろうとの事だった。
封魔石は小指の爪程の大きさで庶民4人家族が5年は暮らせる額だそうで、遠すぎずしっかり管理出来、安易に忍び込めない場所で使ったりするのが常らしい。
城の近くに到着するなり、正面から乗り込んで行こうとするアインとルイスに紫音は溜息をつくと、1人で捜索するからここで待っていて欲しいと、城近くの林で待っていてもらう事にした。
ルイスは当主との面会さえ叶えば話術で時間稼ぎしている間に、残り2人でライオネルの捜索をと考えていたようだが、万が一ルイスが人質になってしまっては叶わないとルイスの計画を却下した。
せめて護衛がわりにとアインが申し出てくれたが、”暗殺の仕事もしていたので、潜入なんて造作もないこと慣れているので大丈夫です“と、少し殺気を込めて笑いながら言うと2人とも黙った。
アインが紫音に声をかける。
「シオン君気をつけてね」
「ありがとうございます」
ルイスも紫音に声をかける。
「君が傷つくとライオネル様が傷付きますからね、無理と思ったら無理せず戻ってきてください」
「ありがとうございます」
「では行ってきますね」
と、いう紫音の声とともに紫音が居なくなった。
そんな一瞬で消えた紫音を見て、
「魔法は使えない筈なのに、異世界の暗殺者って凄いんですね」
と、ルイスはアホっぽい感想を漏らした。
♢♢♢
紫音はまず厨房による。武器は剣等でも良かったが室内などの狭い場所の可能性を考えると、自分の安全の為にも投擲出来るものが良いと思っていたし、下手に自分や王宮に繋がる証拠は残さない方が良い為、忍びこむ屋敷のカトラリーを武器にする事にしたのだ。夕食直前だったようで慌ただしく人が入り乱れていた為、堂々と気配を消してナイフをいただいてきた。流石貴族、同じ形のナイフが大量にあり扱いやすそうである。
以前王宮を隅々まで探索していた効果か、おおまかな作りは一緒だった為、ライオネルがいるのは塔か地下に絞った。
と、地下に複数の気配と、打擲音。
緊張で自然と体が強張るが冷静になるよう、一呼吸入れると、気配のある方に近づく、途中地下への出入り口に1人見張がいたが手刀で速攻でのした。
心臓が早鐘を打つようだ。
これはかつてお母さんを殺しに行った日と同じようだった。
でも、今回は殺しではなく人助けに行くというのが何とも奇妙な感覚だった。
紫音は人の気配がする部屋に静かに向かう。
近付くと漏れる打擲音。
ーービシッ
「ぐっ、、」
ーービシッ
「あぁ、、」
ーービシッ
「ぅ、う、」
そして、ドアをそっとあける。
目の前には傷だらけのライオネルが吊り下げられていた。
背中には縦横無尽に傷が付いていた。
抉れた肌に薄皮が出来そうなちょっと経った傷や、今まさに血を吹き流している傷が。
あんなに綺麗だったライオネルの肌が傷付いている。
無反応な人形の紫音にも関わらず毎日愛を囁き、愛を与えてくれていたライオネルが傷ついている。
紫音の“愛しい”ライオネルが傷ついている。
と思った瞬間
目の前が赤くなる。
紫音の進入に気がついた男たちが騒めき始めた時には、男達の眉間にナイフを刺していた。
ライオネルにそっと近付く、吊り下げられていた手を、吊っていた場所から外すと立っていられなかったようでそのまま床に崩れ落ちてしまう。
“大丈夫”と声をかけようとして、目隠しをされたまま震える体で後退る姿を見たら声をかけられなくなった。
「(ライは一般人だもんね。そりゃ怖かったよね。)」
声は発さず心の中だけで話しかけ、ゆっくり頭を撫でる。
ガタガタ震えるライオネルがここでの日々の辛さを物語っているようだ。
「(頑張ったね。大好きだよ)」
そっと落ち着かせるように抱きしめる。
「(俺もそこに転がっているようなゴミと同じ人種だよ。だから、、、声もかけないし、目隠しは外さない。もう少しだから待っててね)」
少しだけ強く抱き、抱きあげようとした時、
「シ、オン?」
一瞬心臓が止まった気がした。
目隠しを確認するがまだ外れてはいない。
なら大丈夫と、心に気合を入れると、ライオネルを抱きあげる。傷の炎症も心配だし、心の傷も心配だ。
一刻も早くこんな所を出て安心させてあげたい。
紫音はライオネルを抱えたまま、人に見つかりにくくあまり振動を与えないルートを選んで2人の元へ連れて行く。
「「ライオネル様!」」
それまでライオネルの強張っていた体から力が抜ける。
2人の声でやっと安心したようだ。
ライオネルにはこの2人がいるから大丈夫だなと紫音は思った。
アインが封魔石の枷を壊し、ルイスが眠りの魔法をかけると一旦治癒の回復魔法をかけ始める。ある程度治癒してから、3人は転移陣を使用して王宮へ戻った。
♢♢♢
王宮へ戻った後、すぐさま宮廷医師によってライオネルの治療が開始される。
ライオネルが治療されている所を見ながらぼんやり思考する。
気がつけば紫音の寿命もあと2ヵ月前後。これが良い機会だとこの機に姿を消す事にした。
姿を消しても側で見守る事は出来る。どうもこの世界の住人は紫音が気配を消すと、殆どの人が気がつかないのだ。気配の感じ方が違うのかもしれない。
専門の治癒師が治している間にアインとルイスに紫音はライオネルの前から消える旨を伝える。
納得していない2人だが、治癒が終わり眠りの魔法を解くというので、一旦話は保留にして紫音はライオネルの視界に入らない位置に移動し、気配を消した。
暫くした後、ライオネルの無事な声を聞けて紫音もホッとした。
例え今後その綺麗な碧の瞳に紫音が映らなくても充分報われた気がした。
ライオネルが再び寝た後、ルイスと話し合ったがいつまでも話の内容が平行線のままだったし、ルイスも徹夜からの緊張の連続で頭が回らず、紫音も先に片付けたい事があるので、一度時間を置いてまた話し合う事になった。
その際、1週間後に必ずルイスとの話し合いに戻ってくる事を条件に、ライオネルがごねてしまった場合に渡す紫音からライオネルへ宛てた手紙をルイスは預かった。
きっと紫音が消えた時のようにロクでもない嘘が書かれた手紙なんだろうなと想像出来るだけにルイスは渡す機会がない事を祈った。
そして、その夜、再び紫音は消えた。
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