私の不倫日記

幻田恋人

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17章「最終章: さようなら…私の不倫よ」

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ここまで私の日記を読んで下さった皆様、いかがだったでしょうか?
長編となりましたが最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

今まで書いてきた章の全ては私の実体験です。
 なにぶん昔の話ですので、私の記憶における二人の会話や行為が現実と異なっていたとしてもご容赦ようしゃ願います。
 なにしろ、真実は私とヨーコしか知りませんので、彼女と別れた今となっては間違いを確認しようがありませんが…

 なお、「私:セイジ」と「彼女:ヨーコ」は今も実在しますが仮名であります。捜しても分からないと思います。



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ここまでお読みいただいたあなた…ここから書く章は二人の別れの後日談です。不倫相手の女を忘れられないみじめな男の情けない物語でもあります。また少しの間、お付き合い頂ければ幸いです。

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  私の不倫日記:17章「最終章: さようなら…私の不倫よ」



セイジとヨーコの数か月間に渡る不倫は終わりました。
数か月…
春に始まり、その年の12月に二人は別れました…

二人の愛は年を越せなかった…
1月の私、2月の彼女の誕生日を二人で祝えなかった…

ヨーコを知り、彼女を愛した日々…
ヨーコは私が自分の人生で、ただ一人愛した女性でした。


私はその後結婚しました。子供も2人出来ました。
私は家族を愛しています… 妻も、子供達も。

でも、ヨーコは私にとって家族とは違う別の…
かけがえの無い存在だったのです。

私が生まれて初めて本気で愛した女性でした。
私を初めて本気で愛してくれた女性でした。

 ヨーコは私にとって、青春の一時期を駆け過ぎた美しい幻影だったような気がしています。

でも、彼女は実在する生身なまみの女性です。

その後、ヨーコは2人の子供を産んだそうです。風の便たよりに聞きました。
彼女の子供達は皆、女の子だそうです。
会ってみたい気もします。

彼女にとって2人目の娘が生まれたのは、私と彼女が別れた数か月後です。
ひょっとして…彼女が私に別れを言い出したのは、それがあったからではないのか?
私は考えました。

私の娘…? ありなくはない…

いえ、私の妄想もうそうです。
答えはヨーコしか知りません…
彼女と別れた私に知るよしは無い…

私とヨーコが、そう遠くない場所に住んでいたのは以前書きました。

彼女と別れた後に私は自分の車を買いました。
 勤務先へは車通勤となり、私は職場の往き帰りに経路として彼女の家の近くを通るのです。
 もちろん、他の道を通ることも無理ではなかったのですが… 私はそうする事を選んだのです。

そしてある日… 偶然、ヨーコの車とすれ違ったのです。
いつも私を助手席に乗せてくれた、あの彼女の車と…

 徐行でカーブして来るヨーコと信号で停止している私は、すれ違いざま目が合いました。
間違いありません… 彼女は私を認識したと思います。

 ヨーコがいつも私を助手席に乗せていた車は、ワゴンRという車種の軽自動車でした。
彼女は私に、こう話したことがありました。
「ほんとはパジェロミニが欲しかってん、けど人気があって買われへんかったから、この車で我慢がまんしてん…」

そう、私は自家用車にパジェロミニを購入して乗っていたのです。
彼女が欲しくて買えなかった車…

 私自身と私が運転するパジェロミニは、ヨーコの目にどううつったのでしょうか? 

 ヨーコの家は私の家と職場の中間に位置しているので、その後も彼女とは何度かすれ違いました。
ヨーコは、すれ違う私の事をどう思ったでしょうか?

本当に未練みれんがましい男ですね。
我ながら、自己嫌悪におちいります…


さらに未練みれんがましい事に、私はヨーコにてて手紙を書いたのです…

 ヨーコとの数か月間で私がどんなに彼女を愛していたか、彼女を失って初めて知った苦しみ等を書きつづり、ヨーコの家人に分からないように女性名義で彼女宅に自分の手で投函とうかんしました。
今、自分で思い返してみてもゾッとする行為です…
当時は一般的ではなかった言葉ですが、「ストーカー」ですね…まさに。


 ここまで「私の不倫日記」を書いてきましたが、全ての章において私はヨーコに対して一度も「愛している」という言葉を口にして告げていません。興味のある方は読み返してみて下さい。

私はヨーコに対して「愛している」という言葉を使いませんでした。
「好きだ」「大好きだ」とは言いましたが…

それは何故なぜなのか?

私は怖かったのです…
人妻であるヨーコに対して、私は「愛してる」の言葉を言えなかった…
 不倫のてに必ず来る二人のわかれが怖くて、口にすることが出来なかったのです。

 それだけでなく、彼女が夫と別れて私との生活を選ぶ… つまり、私が不倫の責任を取る事が、心のどこかで怖かったのかもしれません。

本心ではヨーコの事を全身全霊で愛していたくせに…

 私は情けない卑怯ひきょうな男でした。責任を取る勇気も気構きがまえも無く、人妻との不倫を楽しんでいた卑怯ひきょうな男…
この世でただ一人愛した女性に「愛してる」と言わなかった最低の男…

ヨーコにてた手紙で、私は彼女にこの事を告白し謝罪しました。

 後日の深夜… 思いもかけず、久しぶりにヨーコからの電話がかかってきました。

悲しい事に彼女からの夜のラブコール…ではありませんでした。
元不倫相手の人妻から別れた男への電話。

 ヨーコは、私に時々車ですれ違うのを気付いていたこと、旦那だんなが彼女あての手紙を勝手に開ける人なので、二度と自分にてた手紙は書かないでほしいこと等を私に告げました。

「もう、二度とセイジさんとうことはないから… こんな事、二度とせんといて…」
決意を込めた声で、ヨーコは私に対してきっぱりと言いました。

私は、また彼女に別れをげられてしまった…

毅然きぜんとした態度のヨーコと、未練がましくみじめな私…
悲しく、そして…そんな自分自身が情けなくて仕方ありませんでした。

いつもヨーコと交わした深夜の電話…
二人のラブコール…

その後、二度とヨーコからの電話がかかることはありませんでした…
彼女の中で私はただの過去の男なのでしょうか…?


さびしかった…

ヨーコにとって、私は終わってしまった不倫の相手…
彼女は現在の生活を、妻として母として生きなければならない。

もうヨーコの中に私の居場所は無くなったのだ…
彼女の車に私の指定席はすでに無い…

仕方ないな…

私のヨーコとの愛は終わったんだ
そう思って生きていくしかない…

でも…

私の手元には数枚の写真が残っている…
二人で撮った思い出の写真…彼女にもらったヨーコが20歳の頃の写真…

これだけは処分出来ないでいる。今も手元にある…

写真の中で幸せそうな二人。
抱き合い深くキスをしている…
互いのほほをくっつけて微笑ほほえんでいる…
水着姿ではにかんだ様にカメラに向かって微笑ほほえむヨーコ…
そして20歳のヨーコの写真…

これら数枚の写真は、今でも私の宝物なのだ…
二人の時間を停止し、その中の空間を保存してくれている数枚の写真…
そこには、幸せだったヨーコとセイジの世界が今でも存在している…
二人の青春時代における不倫の一日が、その中に封印されている…

私だけの、私にしか価値のない宝物…
二人の写真…

私の青春時代における、不倫という甘く切ない幻影…

ヨーコ… 私の愛した女性… 

今なら何度でも君に言える
「君を愛していた」「君を愛していた」「君を愛していた」

そして…
「今でも君を愛してる…」

さようなら… ヨーコ
私が生まれて初めて愛した女性…

この世の誰よりも深く君を愛してた…
君の全てが大好きだった


さようなら、我が青春時代の不倫の日々よ…

さようなら…ヨーコ

いとしい人よ


私は忘れない… 二人の日々を…
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