81 / 102
第81話 矢野君の違和感
しおりを挟む
“本当はお前の事を愛しすぎて、
お前を失いたく無い恐怖から、
お前の事を忘れてるって事もあるかも……”
矢野君のそのセリフに僕は我を忘れたようにして
彼の目を覗き込んだ。
その瞬間不意に僕と矢野君の目と目が合って
一瞬僕たちの時間が止まったような気がした。
“矢野君、矢野君……
僕の事思い出して。
君が好き……
どうしても、矢野君の事が好き……
諦めきれない。
咲耶さんと何かあったとしても、
僕は矢野君の事が諦めきれない!”
そう思うと、僕はハッとしたようにして
パッと下を向いてソッポ向いた。
覗き込んだ矢野君の瞳は何かを訴えるようにして僕の事を覗き込んでいた。
“どうしよう…… 彼の顔がまともに見れない……
僕のこんな態度に矢野君はどう思っただろう?”
そう思った瞬間、
「ハハハ、何言ってんだろうな俺……
スマン、ただ、そう言う可能性もあると……」
気まずそうにそう言って、
矢野君が顔を真っ赤にして俯いた。
“違っ……”
そう言いかけて言葉を飲み込んだ。
本当の事が言えない僕が、
何が違うと言えるのだろう……
僕の心臓は極限まで脈打って、
さっきまでの緊張とは違った意味で心臓が止まりそうだった。
この状態で言葉を発すると、
僕は何を言ってしまうか分からない。
チラッと矢野君の方を見ると、
彼はもう平静な顔をしていた。
僕は数を数えて心を落ち着かせた。
その時、
「俺さ……」
矢野君が言いかけて言葉を飲んだ。
僕は矢野君をもう一度覗き込むと、
「何? 話して?
僕、何でも聞くよ?」
そう言うと、彼はチラッと僕を見て深呼吸をして一息置くと、
「もしかしたら……」
と中途半端に何かを語り始めた。
“もしかしたら? 何?”
僕は彼の言葉に真剣に耳を傾けた。
そして彼はこう言った。
「もしかしたら俺は……
記憶を失う前に咲耶とは別れてるのかもしれない……」
矢野君の口からそのセリフが飛び出してきた事にびっくりして、
僕はベンチから落っこちそうになった。
「ど……どうしてそう思うの?」
僕がそう尋ねると、
矢野君は遠くを見て、
「咲耶がおかしいんだ……」
と一言言った。
僕の心臓は今度は違った意味で
ドキン、ドキンと脈打っていた。
「どう言う意味?」
早くその答えが聞きたくて、
僕の心は逸った。
「うまくは言えないけど、
俺の事、愛してると言う割には、
心が此処にないんだ」
「えっ…… そんなの分かるんだ……」
「いや、分かると言うか、
一目瞭然だろ?」
矢野君のその言葉に、
僕は更に驚いた。
「え? 僕には分からないけど……」
本当に僕には分からなかった。
「アイツ、お前の前でだけだろ?
あんな敵対心剥き出しにしているのは……」
“そうなんだ……
咲耶さんが敵対心を表してるのって……
僕だけなんだ……”
「何故お前なんだろうな?」
矢野君がそう言った瞬間、
また彼と目が合った。
彼はフッと小さく息をつくと、
「それが不思議でたまらないんだ……
お前の前だと、わざとらしい程に俺に愛を囁くよな。
でも2人きりになると愛してるとは言いながらも、
凄くよそよそしいんだ……
少なくとも俺の覚えている俺たちの関係は、
あんなもんじゃ無かった……」
矢野君のそのセリフに、
僕は驚きを隠せなかった。
「それって、矢野君をぞんざいにしてるって事?」
「ぞんざいにしるって言うのとはちょっと違うけど……
それにアイツ子供がいるじゃないか?
俺の子だって言ってたけど、それも違うと思う……」
矢野君のそのセリフにも驚いた。
「あのさ…… 話の折を割って悪いけど、
一つ聞いても良い?」
僕がそう尋ねると、彼は頷いた。
それを確認すると、
「ねえ、咲耶さんが矢野君との子供が居るって聞いてどう思った?
勿論子供の記憶は無かったんでしょ?
それって、ちゃんと信じられたの?」
そう尋ねると、
「信じるも、信じないも、実はな、何も感じなかった」
と彼は行った。
「何も感じなかったというと?」
「これを聞けばお前は俺の事を幻滅するかもしれない……」
矢野君が遠慮したようにそう言うと、
僕は首をブンブンと振って、
「そんなことは無い!
僕は大丈夫だから、何でも話して!
何を聞いても僕は矢野君の事、
幻滅したりしないから!」
そう言うと、彼は少し安心したような顔をして、
「俺、変な所は覚えてるんだが……
咲耶とは子供が出来ていても、
おかしくないことは何度もしたから
それはそれで納得したというか……
というか、咲耶とはずっと番になりたかったし、
咲耶とやってる時は孕ませたいってずっと思っていた……」
と話し始めた。
想定内な事なのに、
実際に矢野君の口から咲耶さんへの思いを聞くと、
かなりのものがある。
でも僕は黙って静かに頷きながら彼の話を聞いていた。
「俺さ、初めて子供を見た時、
確かに可愛いと思ったんだが、父性愛って言うのか?
それが全然感じられなかったんだ……
というか、その子に対して、
何も感じなかった……
最初は父親ってそんなもんかなって思ったけど、
段々何かが違うって感じ始めて……
パズルのピースを当て始めたら、
きっとそれは違うんだろうなって……
それにあの子って俺に似てない上に……
咲耶にも似て無いしな……
それってきっと、そう言うことなんだろうなって思ったら、
なんだかストーンと来てさ……」
確かに咲耶さんの子供は咲耶さんには似ていなかった。
きっと、本当の父親似なんだろう。
事実を知ってる僕は、
そこからは何も言えなくなってしまった。
全てを思い出すと、きっと矢野君は辛い思いをするのは分かっている。
でもこれは、矢野君がちゃんと記憶を思い出して、
自分で解決しなければいけない事だと思った。
矢野君は、黙って話を聞く僕に、
更に彼の気持ちを打ち明けてくれた。
「それにさ、あいつ、噛み痕があるじゃないか?
俺が付けた痕だって言ってるけど、
あれは俺が付けたものじゃない……」
「そんなのまでわかるんだ!」
「いや、確信があるわけじゃ無いが、
俺の中の何かが違うと言っている……」
僕は何と言って良いのか分からなかった。
でも矢野君は更に、
「俺はやっぱりアイツのことが好きだし、
触れたいと思った……」
と続けた。
僕が静かに頷くと、
「でもお前が……」
そう矢野君が呟いた。
僕が
“えっ?”
とした様に矢野君を見上げた瞬間、
何を思ったのか、彼は急に僕に抱きついてきた。
お前を失いたく無い恐怖から、
お前の事を忘れてるって事もあるかも……”
矢野君のそのセリフに僕は我を忘れたようにして
彼の目を覗き込んだ。
その瞬間不意に僕と矢野君の目と目が合って
一瞬僕たちの時間が止まったような気がした。
“矢野君、矢野君……
僕の事思い出して。
君が好き……
どうしても、矢野君の事が好き……
諦めきれない。
咲耶さんと何かあったとしても、
僕は矢野君の事が諦めきれない!”
そう思うと、僕はハッとしたようにして
パッと下を向いてソッポ向いた。
覗き込んだ矢野君の瞳は何かを訴えるようにして僕の事を覗き込んでいた。
“どうしよう…… 彼の顔がまともに見れない……
僕のこんな態度に矢野君はどう思っただろう?”
そう思った瞬間、
「ハハハ、何言ってんだろうな俺……
スマン、ただ、そう言う可能性もあると……」
気まずそうにそう言って、
矢野君が顔を真っ赤にして俯いた。
“違っ……”
そう言いかけて言葉を飲み込んだ。
本当の事が言えない僕が、
何が違うと言えるのだろう……
僕の心臓は極限まで脈打って、
さっきまでの緊張とは違った意味で心臓が止まりそうだった。
この状態で言葉を発すると、
僕は何を言ってしまうか分からない。
チラッと矢野君の方を見ると、
彼はもう平静な顔をしていた。
僕は数を数えて心を落ち着かせた。
その時、
「俺さ……」
矢野君が言いかけて言葉を飲んだ。
僕は矢野君をもう一度覗き込むと、
「何? 話して?
僕、何でも聞くよ?」
そう言うと、彼はチラッと僕を見て深呼吸をして一息置くと、
「もしかしたら……」
と中途半端に何かを語り始めた。
“もしかしたら? 何?”
僕は彼の言葉に真剣に耳を傾けた。
そして彼はこう言った。
「もしかしたら俺は……
記憶を失う前に咲耶とは別れてるのかもしれない……」
矢野君の口からそのセリフが飛び出してきた事にびっくりして、
僕はベンチから落っこちそうになった。
「ど……どうしてそう思うの?」
僕がそう尋ねると、
矢野君は遠くを見て、
「咲耶がおかしいんだ……」
と一言言った。
僕の心臓は今度は違った意味で
ドキン、ドキンと脈打っていた。
「どう言う意味?」
早くその答えが聞きたくて、
僕の心は逸った。
「うまくは言えないけど、
俺の事、愛してると言う割には、
心が此処にないんだ」
「えっ…… そんなの分かるんだ……」
「いや、分かると言うか、
一目瞭然だろ?」
矢野君のその言葉に、
僕は更に驚いた。
「え? 僕には分からないけど……」
本当に僕には分からなかった。
「アイツ、お前の前でだけだろ?
あんな敵対心剥き出しにしているのは……」
“そうなんだ……
咲耶さんが敵対心を表してるのって……
僕だけなんだ……”
「何故お前なんだろうな?」
矢野君がそう言った瞬間、
また彼と目が合った。
彼はフッと小さく息をつくと、
「それが不思議でたまらないんだ……
お前の前だと、わざとらしい程に俺に愛を囁くよな。
でも2人きりになると愛してるとは言いながらも、
凄くよそよそしいんだ……
少なくとも俺の覚えている俺たちの関係は、
あんなもんじゃ無かった……」
矢野君のそのセリフに、
僕は驚きを隠せなかった。
「それって、矢野君をぞんざいにしてるって事?」
「ぞんざいにしるって言うのとはちょっと違うけど……
それにアイツ子供がいるじゃないか?
俺の子だって言ってたけど、それも違うと思う……」
矢野君のそのセリフにも驚いた。
「あのさ…… 話の折を割って悪いけど、
一つ聞いても良い?」
僕がそう尋ねると、彼は頷いた。
それを確認すると、
「ねえ、咲耶さんが矢野君との子供が居るって聞いてどう思った?
勿論子供の記憶は無かったんでしょ?
それって、ちゃんと信じられたの?」
そう尋ねると、
「信じるも、信じないも、実はな、何も感じなかった」
と彼は行った。
「何も感じなかったというと?」
「これを聞けばお前は俺の事を幻滅するかもしれない……」
矢野君が遠慮したようにそう言うと、
僕は首をブンブンと振って、
「そんなことは無い!
僕は大丈夫だから、何でも話して!
何を聞いても僕は矢野君の事、
幻滅したりしないから!」
そう言うと、彼は少し安心したような顔をして、
「俺、変な所は覚えてるんだが……
咲耶とは子供が出来ていても、
おかしくないことは何度もしたから
それはそれで納得したというか……
というか、咲耶とはずっと番になりたかったし、
咲耶とやってる時は孕ませたいってずっと思っていた……」
と話し始めた。
想定内な事なのに、
実際に矢野君の口から咲耶さんへの思いを聞くと、
かなりのものがある。
でも僕は黙って静かに頷きながら彼の話を聞いていた。
「俺さ、初めて子供を見た時、
確かに可愛いと思ったんだが、父性愛って言うのか?
それが全然感じられなかったんだ……
というか、その子に対して、
何も感じなかった……
最初は父親ってそんなもんかなって思ったけど、
段々何かが違うって感じ始めて……
パズルのピースを当て始めたら、
きっとそれは違うんだろうなって……
それにあの子って俺に似てない上に……
咲耶にも似て無いしな……
それってきっと、そう言うことなんだろうなって思ったら、
なんだかストーンと来てさ……」
確かに咲耶さんの子供は咲耶さんには似ていなかった。
きっと、本当の父親似なんだろう。
事実を知ってる僕は、
そこからは何も言えなくなってしまった。
全てを思い出すと、きっと矢野君は辛い思いをするのは分かっている。
でもこれは、矢野君がちゃんと記憶を思い出して、
自分で解決しなければいけない事だと思った。
矢野君は、黙って話を聞く僕に、
更に彼の気持ちを打ち明けてくれた。
「それにさ、あいつ、噛み痕があるじゃないか?
俺が付けた痕だって言ってるけど、
あれは俺が付けたものじゃない……」
「そんなのまでわかるんだ!」
「いや、確信があるわけじゃ無いが、
俺の中の何かが違うと言っている……」
僕は何と言って良いのか分からなかった。
でも矢野君は更に、
「俺はやっぱりアイツのことが好きだし、
触れたいと思った……」
と続けた。
僕が静かに頷くと、
「でもお前が……」
そう矢野君が呟いた。
僕が
“えっ?”
とした様に矢野君を見上げた瞬間、
何を思ったのか、彼は急に僕に抱きついてきた。
1
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
もう殺されるのはゴメンなので婚約破棄します!
めがねあざらし
BL
婚約者に見向きもされないまま誘拐され、殺されたΩ・イライアス。
目覚めた彼は、侯爵家と婚約する“あの”直前に戻っていた。
二度と同じ運命はたどりたくない。
家族のために婚約は受け入れるが、なんとか相手に嫌われて破談を狙うことに決める。
だが目の前に現れた侯爵・アルバートは、前世とはまるで別人のように優しく、異様に距離が近くて――。
【完結】それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。
するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。
だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。
過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。
ところが、ひょんなことから再会してしまう。
しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。
「今度は、もう離さないから」
「お願いだから、僕にもう近づかないで…」
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる