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第81話 矢野君の違和感
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“本当はお前の事を愛しすぎて、
お前を失いたく無い恐怖から、
お前の事を忘れてるって事もあるかも……”
矢野君のそのセリフに僕は我を忘れたようにして
彼の目を覗き込んだ。
その瞬間不意に僕と矢野君の目と目が合って
一瞬僕たちの時間が止まったような気がした。
“矢野君、矢野君……
僕の事思い出して。
君が好き……
どうしても、矢野君の事が好き……
諦めきれない。
咲耶さんと何かあったとしても、
僕は矢野君の事が諦めきれない!”
そう思うと、僕はハッとしたようにして
パッと下を向いてソッポ向いた。
覗き込んだ矢野君の瞳は何かを訴えるようにして僕の事を覗き込んでいた。
“どうしよう…… 彼の顔がまともに見れない……
僕のこんな態度に矢野君はどう思っただろう?”
そう思った瞬間、
「ハハハ、何言ってんだろうな俺……
スマン、ただ、そう言う可能性もあると……」
気まずそうにそう言って、
矢野君が顔を真っ赤にして俯いた。
“違っ……”
そう言いかけて言葉を飲み込んだ。
本当の事が言えない僕が、
何が違うと言えるのだろう……
僕の心臓は極限まで脈打って、
さっきまでの緊張とは違った意味で心臓が止まりそうだった。
この状態で言葉を発すると、
僕は何を言ってしまうか分からない。
チラッと矢野君の方を見ると、
彼はもう平静な顔をしていた。
僕は数を数えて心を落ち着かせた。
その時、
「俺さ……」
矢野君が言いかけて言葉を飲んだ。
僕は矢野君をもう一度覗き込むと、
「何? 話して?
僕、何でも聞くよ?」
そう言うと、彼はチラッと僕を見て深呼吸をして一息置くと、
「もしかしたら……」
と中途半端に何かを語り始めた。
“もしかしたら? 何?”
僕は彼の言葉に真剣に耳を傾けた。
そして彼はこう言った。
「もしかしたら俺は……
記憶を失う前に咲耶とは別れてるのかもしれない……」
矢野君の口からそのセリフが飛び出してきた事にびっくりして、
僕はベンチから落っこちそうになった。
「ど……どうしてそう思うの?」
僕がそう尋ねると、
矢野君は遠くを見て、
「咲耶がおかしいんだ……」
と一言言った。
僕の心臓は今度は違った意味で
ドキン、ドキンと脈打っていた。
「どう言う意味?」
早くその答えが聞きたくて、
僕の心は逸った。
「うまくは言えないけど、
俺の事、愛してると言う割には、
心が此処にないんだ」
「えっ…… そんなの分かるんだ……」
「いや、分かると言うか、
一目瞭然だろ?」
矢野君のその言葉に、
僕は更に驚いた。
「え? 僕には分からないけど……」
本当に僕には分からなかった。
「アイツ、お前の前でだけだろ?
あんな敵対心剥き出しにしているのは……」
“そうなんだ……
咲耶さんが敵対心を表してるのって……
僕だけなんだ……”
「何故お前なんだろうな?」
矢野君がそう言った瞬間、
また彼と目が合った。
彼はフッと小さく息をつくと、
「それが不思議でたまらないんだ……
お前の前だと、わざとらしい程に俺に愛を囁くよな。
でも2人きりになると愛してるとは言いながらも、
凄くよそよそしいんだ……
少なくとも俺の覚えている俺たちの関係は、
あんなもんじゃ無かった……」
矢野君のそのセリフに、
僕は驚きを隠せなかった。
「それって、矢野君をぞんざいにしてるって事?」
「ぞんざいにしるって言うのとはちょっと違うけど……
それにアイツ子供がいるじゃないか?
俺の子だって言ってたけど、それも違うと思う……」
矢野君のそのセリフにも驚いた。
「あのさ…… 話の折を割って悪いけど、
一つ聞いても良い?」
僕がそう尋ねると、彼は頷いた。
それを確認すると、
「ねえ、咲耶さんが矢野君との子供が居るって聞いてどう思った?
勿論子供の記憶は無かったんでしょ?
それって、ちゃんと信じられたの?」
そう尋ねると、
「信じるも、信じないも、実はな、何も感じなかった」
と彼は行った。
「何も感じなかったというと?」
「これを聞けばお前は俺の事を幻滅するかもしれない……」
矢野君が遠慮したようにそう言うと、
僕は首をブンブンと振って、
「そんなことは無い!
僕は大丈夫だから、何でも話して!
何を聞いても僕は矢野君の事、
幻滅したりしないから!」
そう言うと、彼は少し安心したような顔をして、
「俺、変な所は覚えてるんだが……
咲耶とは子供が出来ていても、
おかしくないことは何度もしたから
それはそれで納得したというか……
というか、咲耶とはずっと番になりたかったし、
咲耶とやってる時は孕ませたいってずっと思っていた……」
と話し始めた。
想定内な事なのに、
実際に矢野君の口から咲耶さんへの思いを聞くと、
かなりのものがある。
でも僕は黙って静かに頷きながら彼の話を聞いていた。
「俺さ、初めて子供を見た時、
確かに可愛いと思ったんだが、父性愛って言うのか?
それが全然感じられなかったんだ……
というか、その子に対して、
何も感じなかった……
最初は父親ってそんなもんかなって思ったけど、
段々何かが違うって感じ始めて……
パズルのピースを当て始めたら、
きっとそれは違うんだろうなって……
それにあの子って俺に似てない上に……
咲耶にも似て無いしな……
それってきっと、そう言うことなんだろうなって思ったら、
なんだかストーンと来てさ……」
確かに咲耶さんの子供は咲耶さんには似ていなかった。
きっと、本当の父親似なんだろう。
事実を知ってる僕は、
そこからは何も言えなくなってしまった。
全てを思い出すと、きっと矢野君は辛い思いをするのは分かっている。
でもこれは、矢野君がちゃんと記憶を思い出して、
自分で解決しなければいけない事だと思った。
矢野君は、黙って話を聞く僕に、
更に彼の気持ちを打ち明けてくれた。
「それにさ、あいつ、噛み痕があるじゃないか?
俺が付けた痕だって言ってるけど、
あれは俺が付けたものじゃない……」
「そんなのまでわかるんだ!」
「いや、確信があるわけじゃ無いが、
俺の中の何かが違うと言っている……」
僕は何と言って良いのか分からなかった。
でも矢野君は更に、
「俺はやっぱりアイツのことが好きだし、
触れたいと思った……」
と続けた。
僕が静かに頷くと、
「でもお前が……」
そう矢野君が呟いた。
僕が
“えっ?”
とした様に矢野君を見上げた瞬間、
何を思ったのか、彼は急に僕に抱きついてきた。
お前を失いたく無い恐怖から、
お前の事を忘れてるって事もあるかも……”
矢野君のそのセリフに僕は我を忘れたようにして
彼の目を覗き込んだ。
その瞬間不意に僕と矢野君の目と目が合って
一瞬僕たちの時間が止まったような気がした。
“矢野君、矢野君……
僕の事思い出して。
君が好き……
どうしても、矢野君の事が好き……
諦めきれない。
咲耶さんと何かあったとしても、
僕は矢野君の事が諦めきれない!”
そう思うと、僕はハッとしたようにして
パッと下を向いてソッポ向いた。
覗き込んだ矢野君の瞳は何かを訴えるようにして僕の事を覗き込んでいた。
“どうしよう…… 彼の顔がまともに見れない……
僕のこんな態度に矢野君はどう思っただろう?”
そう思った瞬間、
「ハハハ、何言ってんだろうな俺……
スマン、ただ、そう言う可能性もあると……」
気まずそうにそう言って、
矢野君が顔を真っ赤にして俯いた。
“違っ……”
そう言いかけて言葉を飲み込んだ。
本当の事が言えない僕が、
何が違うと言えるのだろう……
僕の心臓は極限まで脈打って、
さっきまでの緊張とは違った意味で心臓が止まりそうだった。
この状態で言葉を発すると、
僕は何を言ってしまうか分からない。
チラッと矢野君の方を見ると、
彼はもう平静な顔をしていた。
僕は数を数えて心を落ち着かせた。
その時、
「俺さ……」
矢野君が言いかけて言葉を飲んだ。
僕は矢野君をもう一度覗き込むと、
「何? 話して?
僕、何でも聞くよ?」
そう言うと、彼はチラッと僕を見て深呼吸をして一息置くと、
「もしかしたら……」
と中途半端に何かを語り始めた。
“もしかしたら? 何?”
僕は彼の言葉に真剣に耳を傾けた。
そして彼はこう言った。
「もしかしたら俺は……
記憶を失う前に咲耶とは別れてるのかもしれない……」
矢野君の口からそのセリフが飛び出してきた事にびっくりして、
僕はベンチから落っこちそうになった。
「ど……どうしてそう思うの?」
僕がそう尋ねると、
矢野君は遠くを見て、
「咲耶がおかしいんだ……」
と一言言った。
僕の心臓は今度は違った意味で
ドキン、ドキンと脈打っていた。
「どう言う意味?」
早くその答えが聞きたくて、
僕の心は逸った。
「うまくは言えないけど、
俺の事、愛してると言う割には、
心が此処にないんだ」
「えっ…… そんなの分かるんだ……」
「いや、分かると言うか、
一目瞭然だろ?」
矢野君のその言葉に、
僕は更に驚いた。
「え? 僕には分からないけど……」
本当に僕には分からなかった。
「アイツ、お前の前でだけだろ?
あんな敵対心剥き出しにしているのは……」
“そうなんだ……
咲耶さんが敵対心を表してるのって……
僕だけなんだ……”
「何故お前なんだろうな?」
矢野君がそう言った瞬間、
また彼と目が合った。
彼はフッと小さく息をつくと、
「それが不思議でたまらないんだ……
お前の前だと、わざとらしい程に俺に愛を囁くよな。
でも2人きりになると愛してるとは言いながらも、
凄くよそよそしいんだ……
少なくとも俺の覚えている俺たちの関係は、
あんなもんじゃ無かった……」
矢野君のそのセリフに、
僕は驚きを隠せなかった。
「それって、矢野君をぞんざいにしてるって事?」
「ぞんざいにしるって言うのとはちょっと違うけど……
それにアイツ子供がいるじゃないか?
俺の子だって言ってたけど、それも違うと思う……」
矢野君のそのセリフにも驚いた。
「あのさ…… 話の折を割って悪いけど、
一つ聞いても良い?」
僕がそう尋ねると、彼は頷いた。
それを確認すると、
「ねえ、咲耶さんが矢野君との子供が居るって聞いてどう思った?
勿論子供の記憶は無かったんでしょ?
それって、ちゃんと信じられたの?」
そう尋ねると、
「信じるも、信じないも、実はな、何も感じなかった」
と彼は行った。
「何も感じなかったというと?」
「これを聞けばお前は俺の事を幻滅するかもしれない……」
矢野君が遠慮したようにそう言うと、
僕は首をブンブンと振って、
「そんなことは無い!
僕は大丈夫だから、何でも話して!
何を聞いても僕は矢野君の事、
幻滅したりしないから!」
そう言うと、彼は少し安心したような顔をして、
「俺、変な所は覚えてるんだが……
咲耶とは子供が出来ていても、
おかしくないことは何度もしたから
それはそれで納得したというか……
というか、咲耶とはずっと番になりたかったし、
咲耶とやってる時は孕ませたいってずっと思っていた……」
と話し始めた。
想定内な事なのに、
実際に矢野君の口から咲耶さんへの思いを聞くと、
かなりのものがある。
でも僕は黙って静かに頷きながら彼の話を聞いていた。
「俺さ、初めて子供を見た時、
確かに可愛いと思ったんだが、父性愛って言うのか?
それが全然感じられなかったんだ……
というか、その子に対して、
何も感じなかった……
最初は父親ってそんなもんかなって思ったけど、
段々何かが違うって感じ始めて……
パズルのピースを当て始めたら、
きっとそれは違うんだろうなって……
それにあの子って俺に似てない上に……
咲耶にも似て無いしな……
それってきっと、そう言うことなんだろうなって思ったら、
なんだかストーンと来てさ……」
確かに咲耶さんの子供は咲耶さんには似ていなかった。
きっと、本当の父親似なんだろう。
事実を知ってる僕は、
そこからは何も言えなくなってしまった。
全てを思い出すと、きっと矢野君は辛い思いをするのは分かっている。
でもこれは、矢野君がちゃんと記憶を思い出して、
自分で解決しなければいけない事だと思った。
矢野君は、黙って話を聞く僕に、
更に彼の気持ちを打ち明けてくれた。
「それにさ、あいつ、噛み痕があるじゃないか?
俺が付けた痕だって言ってるけど、
あれは俺が付けたものじゃない……」
「そんなのまでわかるんだ!」
「いや、確信があるわけじゃ無いが、
俺の中の何かが違うと言っている……」
僕は何と言って良いのか分からなかった。
でも矢野君は更に、
「俺はやっぱりアイツのことが好きだし、
触れたいと思った……」
と続けた。
僕が静かに頷くと、
「でもお前が……」
そう矢野君が呟いた。
僕が
“えっ?”
とした様に矢野君を見上げた瞬間、
何を思ったのか、彼は急に僕に抱きついてきた。
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