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第30話 ダンケンの正体
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僕は颯爽とリビングへ歩いていくトムの背中を見ながら、
“始まる?”
そう呟いて仁の顔を見た。
仁の顔も心無しか引き締まって緊張した様に見える。
「仁……
今トムが言った始まるって……」
そう尋ねると、
「どうやら主要人物が来た様だな」
そう言って僕に背を向けてリビングへと歩き始めた。
仁の後ろ姿を見た途端僕の背筋が凍る様な感覚に襲われた。
仁の後を追いかけてリビングへといくと、
もう既にトムが玄関で
“ダンケン”
と言う人物やらを出迎えていた。
野次馬根性の陽向だけがニコニコとしながら、
“一体何が起きるの?!”
と言った様なワクワクとした様な雰囲気を醸し出し、
ピョンピョンとトムの背中から
“ダンケン”
を覗き見ようとしていた。
僕はそんな明るい陽向にまた救われた。
“そうだ、これは僕の戦いなんだ”
そう自分に言い聞かせると、
キュッと唇を結んで玄関へと出向いた。
「トム!
お客様は何方に……?」
そう言ってトムに近づくと、
そこに立って居たのはカブちゃんだった。
「カブちゃん!」
そうビックリしてまた大声を出すと、
陽向が一番に僕の反応に飛びついた。
「何何? カブちゃんってサムが時折出してた名前だよね?!
どれどれ、僕も一眼……」
そう言ってトムの背後からそっとダンケンと対面すると、
「はろ~」
と冷や汗をかいた様に言ってエへへと気まずそうに僕の背後に隠れた。
そして僕の耳に
“アメリカ人ってみんな大きいんだね。
何でこんな威圧感があるの?!
僕、何だか悪いことした人みたいな気持ちになってくるよ!
蛇に睨まれた蛙ってこんな気分なのかな~?
それに見てよあの体格!
君のお兄さんもそうだけど、
きっとあっちの方も凄いんだろうね~”
と陽向節を聞かせてまた訳の分からない様な事を
ブツブツと言っていたので、
僕はクスッと苦笑いするしかなかった。
でもビックリした。
トムの言ってたダンケンってカブちゃんの事だったんだ……
僕がキョトンとした様にしてカブちゃんを見ていたので、
「お前、挨拶くらい出来ないのか!?
お兄ちゃんは挨拶もできない様な子に育てた覚えはないぞ!」
と言ったのと同時に、
「お前も相変わらずだな」
とカブちゃんがクスッと笑ったので
僕は腰が抜ける様な思いだった。
“え? 今カブちゃんが笑った?!
これ、何時も仏頂面で僕に連絡をして来てたカブちゃんだよね?!”
陽向よりも僕の方がその事にビックリしたかもしれない。
僕の知ってるカブちゃんは、
何時も黒服に黒いサングラスをして、
仏頂面でそこに居た。
「あれ……?
でもダンケンって……
カブちゃんってジャックって名前ではなかった?!」
そう言うと、
「お前、もしかして気付いて無かったのか?
こいつの事カブちゃんて呼んでるみたいだけど、
家の三軒先に住んでたダンケンだぞ?」
そうトムに言われ、
自分の記憶を遡ってみた。
そして思い出した。
「あ~!!
ドン兄ちゃん!
もしかしてトムの幼馴染のドン兄ちゃん?!」
僕がビックリしてまた叫ぶと、
「ハハハ、お前って相変わらずだな」
そうドン兄ちゃんが言ったのと同時に
「そうだったよな~
こいつ、小さい時は濁音が上手く発音出来なかったんだよな!」
とトムが笑い出した。
「ちょっと待って!
じゃあ、今までずっと仏頂面で僕の前に威嚇的に立ち憚ってたのって、
ドン兄ちゃんだったの?!
何で言ってくれなかったの?!
ずっと気付かなかった僕がバカみたいじゃない!」
僕が顔を真っ赤にしてそう言うと、
「いや、直ぐに気付くって思ってたのにお前、
全然気つかないからさ、何か面白くって可愛くてさ」
そう言って頭をクシャッとされた。
「ちょっと~ 僕はもう5歳のサミーじゃ無いんだから!」
そう言ってドン兄ちゃんの手を払うと、
「そんなにつれなくするなよ~
寂しいじゃんか~」
そう言ってまた頭をクシャッとして来た。
そうなのだ。
一人っ子だったドン兄ちゃんも、
家の兄達に負けず劣らず僕を猫可愛がりした。
「あ、でも待って、
じゃあ、ドン兄ちゃんを紹介された時に伝えられた
ジャックって名前は?」
そう尋ねると、
「あ~ ジャックはコードネームだ。
それよりもお前の言っていたカブちゃんとは一体何だ?!
何時も、何時も、ちゃんと聞こえてたんだぞ?!」
そう言い寄るドン兄ちゃんに、
「え~だって、
カブトムシの様に真っ黒で偉そうに踏ん反り返ってるから~」
そう言って僕達が思い出にヤンヤしていると、
「あの……
報告があっていらっしゃたんでは?
取り敢えずは……まあ、俺のうちでは無いんですが、
奥にいらしては?」
そう仁が玄関まで出て来たので、
僕たちはお互いに顔を見合わせた。
“そうだ、カブちゃんは僕の家が荒らされた事に対して
此処にやって来たんだ”
僕はもう一度気を引き締めると、
「そうだったね。
じゃあ……もうドン兄ちゃんなんてもう呼べないね。
これからはジャックと?
それともダンケンで?」
そう尋ねると、
「公共ではジャックと……」
と直ぐに帰って来たので、
「As you wish」
と答えると、後ろから陽向が、
「あ~!! それ!
その言葉懐かしい~
スプリング・ヒルのホテルで高崎君がいつも僕に言ってた言葉だ~
最近はスプリング・ヒルにも行ってないから皆んなどうしてるかな~」
そう言う陽向に光は、
「全く、お前だけは呑気でいい身分だよな」
と諭しながらも、
それでも陽向の背に手を回して優しそうに微笑む光に、
僕は少しだけ陽向がうらやましいなと思った瞬間だった。
“始まる?”
そう呟いて仁の顔を見た。
仁の顔も心無しか引き締まって緊張した様に見える。
「仁……
今トムが言った始まるって……」
そう尋ねると、
「どうやら主要人物が来た様だな」
そう言って僕に背を向けてリビングへと歩き始めた。
仁の後ろ姿を見た途端僕の背筋が凍る様な感覚に襲われた。
仁の後を追いかけてリビングへといくと、
もう既にトムが玄関で
“ダンケン”
と言う人物やらを出迎えていた。
野次馬根性の陽向だけがニコニコとしながら、
“一体何が起きるの?!”
と言った様なワクワクとした様な雰囲気を醸し出し、
ピョンピョンとトムの背中から
“ダンケン”
を覗き見ようとしていた。
僕はそんな明るい陽向にまた救われた。
“そうだ、これは僕の戦いなんだ”
そう自分に言い聞かせると、
キュッと唇を結んで玄関へと出向いた。
「トム!
お客様は何方に……?」
そう言ってトムに近づくと、
そこに立って居たのはカブちゃんだった。
「カブちゃん!」
そうビックリしてまた大声を出すと、
陽向が一番に僕の反応に飛びついた。
「何何? カブちゃんってサムが時折出してた名前だよね?!
どれどれ、僕も一眼……」
そう言ってトムの背後からそっとダンケンと対面すると、
「はろ~」
と冷や汗をかいた様に言ってエへへと気まずそうに僕の背後に隠れた。
そして僕の耳に
“アメリカ人ってみんな大きいんだね。
何でこんな威圧感があるの?!
僕、何だか悪いことした人みたいな気持ちになってくるよ!
蛇に睨まれた蛙ってこんな気分なのかな~?
それに見てよあの体格!
君のお兄さんもそうだけど、
きっとあっちの方も凄いんだろうね~”
と陽向節を聞かせてまた訳の分からない様な事を
ブツブツと言っていたので、
僕はクスッと苦笑いするしかなかった。
でもビックリした。
トムの言ってたダンケンってカブちゃんの事だったんだ……
僕がキョトンとした様にしてカブちゃんを見ていたので、
「お前、挨拶くらい出来ないのか!?
お兄ちゃんは挨拶もできない様な子に育てた覚えはないぞ!」
と言ったのと同時に、
「お前も相変わらずだな」
とカブちゃんがクスッと笑ったので
僕は腰が抜ける様な思いだった。
“え? 今カブちゃんが笑った?!
これ、何時も仏頂面で僕に連絡をして来てたカブちゃんだよね?!”
陽向よりも僕の方がその事にビックリしたかもしれない。
僕の知ってるカブちゃんは、
何時も黒服に黒いサングラスをして、
仏頂面でそこに居た。
「あれ……?
でもダンケンって……
カブちゃんってジャックって名前ではなかった?!」
そう言うと、
「お前、もしかして気付いて無かったのか?
こいつの事カブちゃんて呼んでるみたいだけど、
家の三軒先に住んでたダンケンだぞ?」
そうトムに言われ、
自分の記憶を遡ってみた。
そして思い出した。
「あ~!!
ドン兄ちゃん!
もしかしてトムの幼馴染のドン兄ちゃん?!」
僕がビックリしてまた叫ぶと、
「ハハハ、お前って相変わらずだな」
そうドン兄ちゃんが言ったのと同時に
「そうだったよな~
こいつ、小さい時は濁音が上手く発音出来なかったんだよな!」
とトムが笑い出した。
「ちょっと待って!
じゃあ、今までずっと仏頂面で僕の前に威嚇的に立ち憚ってたのって、
ドン兄ちゃんだったの?!
何で言ってくれなかったの?!
ずっと気付かなかった僕がバカみたいじゃない!」
僕が顔を真っ赤にしてそう言うと、
「いや、直ぐに気付くって思ってたのにお前、
全然気つかないからさ、何か面白くって可愛くてさ」
そう言って頭をクシャッとされた。
「ちょっと~ 僕はもう5歳のサミーじゃ無いんだから!」
そう言ってドン兄ちゃんの手を払うと、
「そんなにつれなくするなよ~
寂しいじゃんか~」
そう言ってまた頭をクシャッとして来た。
そうなのだ。
一人っ子だったドン兄ちゃんも、
家の兄達に負けず劣らず僕を猫可愛がりした。
「あ、でも待って、
じゃあ、ドン兄ちゃんを紹介された時に伝えられた
ジャックって名前は?」
そう尋ねると、
「あ~ ジャックはコードネームだ。
それよりもお前の言っていたカブちゃんとは一体何だ?!
何時も、何時も、ちゃんと聞こえてたんだぞ?!」
そう言い寄るドン兄ちゃんに、
「え~だって、
カブトムシの様に真っ黒で偉そうに踏ん反り返ってるから~」
そう言って僕達が思い出にヤンヤしていると、
「あの……
報告があっていらっしゃたんでは?
取り敢えずは……まあ、俺のうちでは無いんですが、
奥にいらしては?」
そう仁が玄関まで出て来たので、
僕たちはお互いに顔を見合わせた。
“そうだ、カブちゃんは僕の家が荒らされた事に対して
此処にやって来たんだ”
僕はもう一度気を引き締めると、
「そうだったね。
じゃあ……もうドン兄ちゃんなんてもう呼べないね。
これからはジャックと?
それともダンケンで?」
そう尋ねると、
「公共ではジャックと……」
と直ぐに帰って来たので、
「As you wish」
と答えると、後ろから陽向が、
「あ~!! それ!
その言葉懐かしい~
スプリング・ヒルのホテルで高崎君がいつも僕に言ってた言葉だ~
最近はスプリング・ヒルにも行ってないから皆んなどうしてるかな~」
そう言う陽向に光は、
「全く、お前だけは呑気でいい身分だよな」
と諭しながらも、
それでも陽向の背に手を回して優しそうに微笑む光に、
僕は少しだけ陽向がうらやましいなと思った瞬間だった。
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