41 / 52
第41話 ドラマ・クイーン
しおりを挟む
“実はさ”
と言われ、良かった話の試しが無い。
僕は少しバクバクとする心臓を頭の中で落ち着かせながら
光の話に耳を傾けた。
「実はさ……」
“うん、うん“
そう言って頷くと、
「陽向、ヤッパリ妊娠してるんだけど、
ちょっとやぱいんだ」
“やばい”
その言葉にドキンと心臓が高鳴った。
“もしかして流産しかかってる?”
そう言った言葉が頭の隅を横切った。
「え……? ヤバいって……」
僕が動揺するのが明に分かった光は慌てて言葉を訂正した。
「いや、すまん、言葉が悪かった。
実は妊娠の経過はすごく順調なんだ」
“そっか、順調なんだ。
良かった~”
一先ず肩を撫で下ろすと、
「妊娠は今の所順調なんだが……
実は双子で……」
ときたから、
「えーーー!!!双子?!」
と僕もビックリした。
“でも双子だったら喜びも2倍じゃ?”
そう思ったのも束の間で、
「ドクターに言われたんだけど、
男のΩって女性の子宮の構造と違って、
多胎妊娠は難しいみたいなんだ。
本当言うと、妊娠初期に流産する事が多いらしくて……」
「じゃあ……」
僕は言葉が出てこなかった。
「あ、いや、陽向の場合、今は18週目に入ったところで
もう妊娠初期は過ぎてるみたいで……」
そうきたので、
「へ?」
と言って陽向の方を見た。
陽向はと言うと、
「何故気付か無かった~
僕は母親失格だ~」
とまだ、なんと言うんだろう?
自分に酔った様な感じで泣いている陽向がいて、
僕は少しクスッと笑ってしまった。
「あ、ごめん、ここは笑う時じゃなくて、
真面目な所だよね」
そう言う僕に、
「いや、良いんだ。
これからあいつの事はドラマ・クイーンと呼ぼう」
と光から僕を庇う言葉が出たのでそれがまた可笑しかった。
「いや、ほんと、定期検診にも行かず、
妊娠も気付かず普通にヤンチャに生活してたのに、
胎児たちがスクスクと育っているのは凄いと言われた。
妊娠初期を上手く抜けても、
胎児がうまく育たないことも多々あるみたいなんだが、
陽向の場合は2人とも周期通りの成長で、
これからは早産に気を付ければ大丈夫だろうって……」
そう言う光を横目に僕は陽向に目をやった。
全く陽向には苦笑いしか出てこない。
「本当に大袈裟だよな。
妊娠に気付け無かったのが
自分で凄く受け入れられなかったみたいで、
アレでも自分を戒めてるつもりなんだ」
そう言って光は照れ笑いすると、
「これからΩ専用の総合病院へ行って
転院の手続きをしなくちゃいけないんだ」
そう言って陽向へ手を差し出した。
「病院変わっちゃうの?」
そう尋ねると、
「仕方ないんだ。
出産に備えて、完全な設備のある所が安全らしいんだ。
まあ、幸いなことにドクターの定期出張先でもあるから
これからもドクターは変わらないんだけどな」
そう言って陽向をベンチから立ち上がらせると、
「じゃあ、俺たちはこれからそっちに向かうから今日はありがとうな」
そう言って陽向の手を引くと、
「ほら、いつまでも泣いてるんじゃ無い!」
そう陽向に喝を入れてスタスタと歩いて行ってしまった。
その光の後ろ姿はこれから父親になると言う威厳があったけど、
陽向はと言うと、ヨロヨロと歩きながら、
ドアの手前の何も無いところで躓いて転げそうになり、
僕は
”アレが母親に……
本当に大丈夫なのかな~“
とこれからやって来る自分の試練も知らずに呑気にそう思いながら
クスクスと笑いっていた。
と言われ、良かった話の試しが無い。
僕は少しバクバクとする心臓を頭の中で落ち着かせながら
光の話に耳を傾けた。
「実はさ……」
“うん、うん“
そう言って頷くと、
「陽向、ヤッパリ妊娠してるんだけど、
ちょっとやぱいんだ」
“やばい”
その言葉にドキンと心臓が高鳴った。
“もしかして流産しかかってる?”
そう言った言葉が頭の隅を横切った。
「え……? ヤバいって……」
僕が動揺するのが明に分かった光は慌てて言葉を訂正した。
「いや、すまん、言葉が悪かった。
実は妊娠の経過はすごく順調なんだ」
“そっか、順調なんだ。
良かった~”
一先ず肩を撫で下ろすと、
「妊娠は今の所順調なんだが……
実は双子で……」
ときたから、
「えーーー!!!双子?!」
と僕もビックリした。
“でも双子だったら喜びも2倍じゃ?”
そう思ったのも束の間で、
「ドクターに言われたんだけど、
男のΩって女性の子宮の構造と違って、
多胎妊娠は難しいみたいなんだ。
本当言うと、妊娠初期に流産する事が多いらしくて……」
「じゃあ……」
僕は言葉が出てこなかった。
「あ、いや、陽向の場合、今は18週目に入ったところで
もう妊娠初期は過ぎてるみたいで……」
そうきたので、
「へ?」
と言って陽向の方を見た。
陽向はと言うと、
「何故気付か無かった~
僕は母親失格だ~」
とまだ、なんと言うんだろう?
自分に酔った様な感じで泣いている陽向がいて、
僕は少しクスッと笑ってしまった。
「あ、ごめん、ここは笑う時じゃなくて、
真面目な所だよね」
そう言う僕に、
「いや、良いんだ。
これからあいつの事はドラマ・クイーンと呼ぼう」
と光から僕を庇う言葉が出たのでそれがまた可笑しかった。
「いや、ほんと、定期検診にも行かず、
妊娠も気付かず普通にヤンチャに生活してたのに、
胎児たちがスクスクと育っているのは凄いと言われた。
妊娠初期を上手く抜けても、
胎児がうまく育たないことも多々あるみたいなんだが、
陽向の場合は2人とも周期通りの成長で、
これからは早産に気を付ければ大丈夫だろうって……」
そう言う光を横目に僕は陽向に目をやった。
全く陽向には苦笑いしか出てこない。
「本当に大袈裟だよな。
妊娠に気付け無かったのが
自分で凄く受け入れられなかったみたいで、
アレでも自分を戒めてるつもりなんだ」
そう言って光は照れ笑いすると、
「これからΩ専用の総合病院へ行って
転院の手続きをしなくちゃいけないんだ」
そう言って陽向へ手を差し出した。
「病院変わっちゃうの?」
そう尋ねると、
「仕方ないんだ。
出産に備えて、完全な設備のある所が安全らしいんだ。
まあ、幸いなことにドクターの定期出張先でもあるから
これからもドクターは変わらないんだけどな」
そう言って陽向をベンチから立ち上がらせると、
「じゃあ、俺たちはこれからそっちに向かうから今日はありがとうな」
そう言って陽向の手を引くと、
「ほら、いつまでも泣いてるんじゃ無い!」
そう陽向に喝を入れてスタスタと歩いて行ってしまった。
その光の後ろ姿はこれから父親になると言う威厳があったけど、
陽向はと言うと、ヨロヨロと歩きながら、
ドアの手前の何も無いところで躓いて転げそうになり、
僕は
”アレが母親に……
本当に大丈夫なのかな~“
とこれからやって来る自分の試練も知らずに呑気にそう思いながら
クスクスと笑いっていた。
0
あなたにおすすめの小説
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
生意気Ωは運命を信じない
羊野迷路
BL
小学生の時からかっていた同級生と、進学校(自称)である翠鳳高校で再会する。
再会した元同級生はαとなっており、美しさと男らしさを兼ね備えた極上の美形へと育っていた。
*のある話は背後注意かもしれません。
独自設定ありなので1話目のオメガバースの設定を読んでから進んでいただけると理解しやすいかと思います。
読むのが面倒という方は、
1、Ωは劣っているわけではない
2、αかΩかは2つの数値によりβから分かれる
3、Ωは高校生以上に発覚する事が多い
この3つを覚えておくと、ここでは大体大丈夫だと思われます。
独自設定部分は少しいじる事があるかもしれませんが、楽しんで頂けると幸いです。
追記
受けと攻めがくっつくのはまだ先になりますので、まったりお待ちください。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
病弱の花
雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる